究極の美しさ
ちょうど2週間前のこと。
先にスタジオでウォーミングアップしている私に、
後から来た息子が小声でささやいた。
「とんでもないひとが来た、と思う」
とんでもないひと?
だれ?
「思う」ってなに?
その意味深ないい方、気になるなあ、と思っていたら、
にわかにスタジオが入り口のほうからざわめきはじめた。
まるでさざ波が静かに広がるように。
ざわめきのほうを見て、息をのんだ。
凛とした長身の女性。
SHOKOさん。
「やっぱりSHOKOさんだよね」と息子。
チェックインの時に目が合って会釈したのだという。
「ね。とんでもないひとでしょ」
バレエの神さまから思いがけない贈りものをいただいて、
その日私たちはSHOKOさんとレッスンをご一緒することができた。
SHOKOさんはウォーミングアップとバーだけだったが、
同じ時間と空間を共有できたことはほんとうに光栄だった。
踊りのみならず、周りの人たちに温かい気配りをするさまにも強く魅かれた。
ホンモノはむしろえらぶらないもの、と思っていたが、やっぱりそう。
世界のプリマ・SHOKOさんの豊かな人間性を垣間見る気がした。
どうしてもSHOKOさんの舞台が観たい。
私以上に息子が強く望み、今日SHOKOさんの「ロミオとジュリエット」を観ることに。
バルコニーのシーンでロミオにリフトされるとき、息が止まりそうになった。
重量感がまるでない。
空気と戯れる、ってこういうこと。
のびやかな肢体、ってこういうこと。
それは、あえていうならバレエの究極の美しさ。
SHOKOさんの神々しいまでに美しい舞姿に、呼吸すらも忘れた。