スイッチ
どこか醒めてるひと。
夫あたりは私をそんなふうに見てるかもしれないが、
いま私が頭に思い浮かべてるのは自分のことじゃなくて、
息子のこと。
彼ってどこか醒めてる。
いままで、ふとした拍子にそう思うことがあった。
力は十分もっているはずなのに、なかなかスイッチを入れない。
いや、あえて『スイッチを入れない』というより、
気持ちはあるのに『スイッチが入らない』。
それが、彼になんとなく醒めた印象を与えていたのかもしれない、と
いまになってみればわかる。
自分が心から望むものならば、入れる気がなくてもスイッチは自然と入るのだ。
TAP BOYSのときみたいに。
祝日の今日、彼の大学は通常通り講義だった。
しかし、1時限目と2時限目が休講になったので、彼は午後から行けばいいことに。
「やった! 先生のレッスンが受けられる!」
休講がわかった時点で、彼はガッツポーズ。
そしてそのことばどおり、リュックに辞書やテキストと一緒にレッスン着を入れて
今朝、先生の稽古場に向かったのだ。
きのうの今日である。
まだまだバレエ仕様のカラダにはほど遠く、
1回レッスンすれば使い慣れない筋肉があちこちで悲鳴を上げている状態だ。
ちょっと前までの彼なら、疲労感を理由に家でゆっくり、というところである。
それが2日連続のレッスンとは。
もし条件が許すなら、いまの彼は毎日だって先生のレッスンを望むところだろう。
「だって、楽しいんだよ」と彼はいう。
確かに、きのうのレッスンでもほんとうにうれしそうにしてた。
帰宅後の“補講レッスン”では、私の注意に思わず「はいっ!」と返事するほど
熱が入ってたっけ。
すこしでも柔軟性や筋力が上がるようにと、ストレッチやトレーニングもがんばっている。
ほんとうに心から望むものならば、スイッチは自然にじゃんじゃん入るのだということを
私はいま目の当たりにしている。
やりたいこと、やれるだけとことんおやりなさいな。
そこで経験することは、どんなことでもかならずキミの宝になるはずだから。

