あなたのお店の定着率は?
「あなたのお店の『パート・アルバイトの定着率』、高いほうですか?それとも低いほうですか?」と聞かれたら、みなさんはどちらと答えますか?
先日、コンビニ経営者を対象とした「パート・アルバイトの効果的な採用法と定着化」というセミナーの中で、上記のような質問を会場の参加者に投げかけました。その時に参考にしてもらったデータは下記のものです。
3ヶ月以上 半年以上 1年以上
学生 77.8% 62.6% 41.3%
一般 78.4% 64.6% 45.8%
主婦 84.8% 75.9% 59.3%
《平均》 《81.1%》 《69.1%》 《50.6%》
【資料出所:㈱アイデム 人と仕事研究所「パートタイマー白書平成17年度版」】
※種別の定義(有効回答数2729人)
「学生」…学生であって、学業の合間にパート・アルバイトで働いている者
「一般」…パート・アルバイトで働いている者で、「主婦」「学生」以外の者
「主婦」…結婚している女性で、パート・アルバイトで働いている者
会場からの答えは、私が予想していたものよりもはるかに悪い結果でした。
自分の店は「定着率が高い」という方に手を挙げた人は、参加者の1割もいませんでした。
上記のデータを見ると、コンビニの学生アルバイトであれば、10人採用した場合1年後に約4人以上は残っている状態。さらにスーパーの主婦パートであれば、同じく約6人以上残っていないと定着率は高いと言えないわけですね。
さらに、参加者同士のグループ・ディスカッションからは、
「1年どころか半年勤まらないのが半分以上だよ」
「最近はトレーニング期間中に辞めるのも多くなってきたよ」
という声も聞こえてきました。
確かに、働く場所がいくらでもあり経済的にも豊かになった今の時代、いやなことがあるとすぐに辞めてしまう人が多くなってきているのは事実だと思います。
しかし、私の知り合いで3年ほどスターバックスでアルバイトをしている大学生に上記の数値を見せると、
「ずいぶんと低い数字ですね」
という返事が返ってきました。
この違いはどこにあるのでしょうか?
もちろん、コンビニやスーパーという【流通小売業】と【サービス業】という違い、さらには【本部主導(直営方式)】と【フランチャイズ方式(個人経営)】という前提条件の違いもひとつの要因ではあるでしょう。
しかし、それだけではないと思います。
私が考える一番の違いは、経営者の姿勢です。
スターバックスの実質的な創業者であるハワード・シュルツ氏は、
「社員を家族のように扱えば、社員は誠実に働き、持てる能力のすべてを発揮してくれるだろう。会社が社員を支えれば、社員も会社を支えるようになる」(「『勝ち組の人材マネジメント』毛利英昭:商業界」より)
と人材マネジメントの重要性を経営理念の柱にし、その理念を現場に浸透させるためにさまざまな仕組みを作っています。
もちろん冒頭に紹介したように、店長の経営理念が「働くスタッフの成長と満足度」に焦点があたり、定着率が高く地域のお客様に支持されているスーパー・コンビニ店もあります。
ただ、まだ多くのスーパー・コンビニの経営者(店長)は、「社員やパート・アルバイトの働く上での満足度を高めることが売上や利益を増やすことに結びついている」ということに気づいていない、または気づいても実行していないのが現状です。
アンケートの数値を見て、「自分の店は定着率が低いなぁ」と思った方は、ぜひ自分の経営における人材育成の優先順位を見直していただければと思います。