« 2006年5月 | トップページ | 2006年7月 »

2006-06-26

ミネラルウォーター売場

いま、はまっているミネラルウォーターがあります。
それは、「クリスタルカイザースパークリング〈レモン〉」。正確に言うと、昨年もこの時期からはまっていました。

気温が上がってくると、どうしても冷たいものがほしくなります。特に食事の時や湯上り時はなおさらですね。こんな時に一番美味しいのは、もちろん“よく冷えたビール”。
でもまだ仕事が残っている時などは、ビールの誘惑を打ち消すためにクリスタルカイザースパークリング〈レモン〉を飲んでいました。
しかし、最近はビール代わりということではなく、食事の時や仕事中のリフレシュによく飲んでいます。

もともと微発泡性(炭酸入り)のミネラルウォーターは「胃に適度な刺激を与えてくれ、食欲が進む」、または「油っぽい食事を取る時に口の中をさっぱりしてくれる」という効果があり、食事とはとても相性が良いのです。
以前、私が経営に関わっていたイタリアンレストランでは、「サンペレグリノ」という炭酸入りミネラルウォーターがよく注文されていました。
(サンペレグリノは最近スーパーでも販売されていますが、ペットボトル入りではなく瓶入りがお薦めです)

それじゃ、ミネラルウォーターはコンビニの売場でどんな展開をされているのだろうと思い立ち、さっそく近所のコンビニをチェックしてきました。
(チェックしたのは500mlサイズ以下の商品に限りました)

■ナチュラルローソン 18アイテム(微発泡炭酸入り:7、酸素入り:2)
■セブンイレブン     9アイテム(微発泡炭酸入り:1、酸素入り:1)
■サンクス         9アイテム(微発泡炭酸入り:3、酸素入り:1)
■ampm         10アイテム(微発泡炭酸入り:2、酸素入り:1)
■ファミリーマート    17アイテム(微発泡炭酸入り:5、酸素入り:2)

さすがトップはナチュラルローソン、女性向きに健康志向を打ち出しているだけあって、おしゃれな輸入物を中心に18アイテムを展開していました。また、微発泡炭酸入りを7アイテムも品揃えしていました。

それに反してセブンイレブン、9アイテムと少ない上に微発泡炭酸入りは1アイテム。
特に残念に感じたのは、リーチイン2段半のスペースを取っていながらクリスタルカイザースパークリング〈レモン〉を5フェイス、ボルヴィックを4フェイスも取っている売場作りでした。
一般的なソフトドリンクやお菓子などの新商品であればこのフェイス取りでも良いのかも知れません。しかし、ミネラルウォーターは同じ水でありながら、コンビニのお客様が求めるニーズは非常に多様化しています。

そんなことを考えながら「サンクス」「ampm」と見てまわり、最後に行ったファミリーマートの売場を見て驚きました。
なんと、ナチュラルローソンに匹敵する17アイテム、そのうち微発泡炭酸入りも5アイテム、さらには女性に人気のある“硬度”の高い「コントレックス」や「ヴァットヴィレール」も品揃えされており、売場にはミネラルウォーター専用の黒色でシックなPOP(商品特徴と原産国表示)が付いていました。

硬度とは、水の中にカルシウムとマグネシウムがどれくらい含まれているかを数字で表したものです。一般的に、硬度が100以上のものは「軟水」、100~300までだと「中硬水」、そして300以上が「硬水」といわれています。
ダイエット時はカロリーの摂取量を気にして、カルシウムが豊富な牛乳やチーズ、マグネシウムが豊富なナッツ類は敬遠されがちです。しかし、これでは栄養が偏ってしまいます。そこで、500ml中に牛乳瓶約1本分のカルシウムとアーモンド約10粒分のマグネシウムを含有しているコントレックスを中心にした「硬水」が若い女性を中心に飲まれています(成分解説等はコントレックスのホームページより)。

ちなみに日本の水は大半が軟水で、硬水はなかなかなじめないかも知れません。そのため、どうしても売れ筋は軟水になりますが、若い女性の多い店は硬水を品揃えのひとつに入れるのも差別化になります。
今年のミネラルウォーター売場は、微発泡炭酸入り・酸素入り・硬水などバラエティー豊かになりそうですね。ぜひ、今後の動きに注目したいと思います。

【参考資料:輸入ミネラルウォーターの売れ筋ベスト5】
1.ボルヴィック(仏)       136円(硬度 61)
2.クリスタルカイザー(米)   110円(硬度 38)
3.エビアン(仏)         136円(硬度 291)
4.ヴィッテル(仏)        120円(硬度 307)
5.コントレックス(仏)      204円(硬度 1551)
《資料出所:2006年2月17日:日経MJより一部抜粋》

2006-06-18

「2対6対2」の理論

企業研修を実施する際に、特に重要視していることがあります。
それは、受講者の研修テーマに対する理解度をできるだけ早く把握することです。
もちろん、研修担当者と内容レベルについて事前に打ち合わせをしているのですが、実施してみないとわからない部分も多分にあります。

昨日も、昼休みに研修担当者と受講者の反応について相談をしていました。
受講者の実務経験に大きな開きがあり、それが理解度の格差になっていることは明白でした。このような場合、研修の目的と照らし合わせ、研修レベルをどこに合わせるかを修正・確認しておくことが大切です。

そこで、担当者から出てきたのが「2対6対2」の理論でした。
つまり、理解度上位の2割、下位の2割に焦点を当てず、6割に焦点を当てたレベルで進めて行こうということです。

「2対6対2」の理論は、経営学やリーダーシップ論などを勉強する際に、組織論のところで使われることがよくあります。私も中小企業診断士の試験勉強をしている時に、経営管理の授業で初めて聞きました。

簡単に説明すると、例えばひとつの組織または店に10人のスタッフがいれば、そのうち2人は組織の「目的と役割」、さらに自分が取るべき「役割と行動」を理解し、自ら動くことができます。次の6人はリーダーの適切な指示と支援があれば自分の取るべき「役割と行動」を理解し、動くことができます。しかし、あとの2人は「理解と行動」が取れないばかりか、組織のお荷物になりかねません。

いかがでしょうか?
自分の所属する組織やグループ、お店で働くスタッフを考えた時、
「確かにこの理論にあてはまっているなぁ」
と考える方も多いのではないでしょうか。

この「2対6対2」の理論は別名“アリの理論”とも呼ばれています。
イソップ物語「アリとキリギリス」に出てくるように、アリは働き者だと言われています。しかし、アリの活動をよく観察すると、一生懸命働いているアリは約2割、約6割は働いたり休んだり、そして残りの約2割のアリは動いていないと言われており、そこから「アリの理論」という言い方が生まれたようです。

このアリの実態を調べた人がいます。北海道大大学院農学研究科の長谷川英祐助手(進化生物学)です。
以下は日本経済新聞 2003年11月15日からの引用です。

「長谷川助手らは、林の土中などに生息するカドフシアリ約30匹ずつの3つのコロニー(血縁集団)を、石こうでつくった人工の巣に移し、1匹ずつマーカーで印を付けて観察。1日3時間、昨年5月からの5ヶ月間で、行動類型を分類した。すると『女王アリや卵をなめてきれいにする』『巣の掃除をする』などの労働行為をするアリは各コロニーの約8割で、『停止している』『自分の体をなめている』『何もせず移動している』だけで、ずっと働かないアリが約2割いた」と研究成果を発表しています。

また、こんな興味深い実験もしています。
「このうち1つのコロニーで、最もよく働く6匹のアリを取り除いてみたところ、次によく働くアリの労働量が増えたが、働かないアリは何があっても働かなかった」

なるほど、面白いですね。
これって、会社組織やお店のスタッフなどにも通じるところがありますよね。

「それだったら、2割のアリは必要ないじゃないか」
という声が聞こえてきそうです。
その点について長谷川助手は、
「働かないことでコロニーに何らかの貢献をしている可能性もある。集団で行動する生物にとってどんな個性が必要なのか、興味がある」
と話しています。

会社や店で「働かないスタッフ」というのは大いに問題がありますが、仕事上の成果が上位8割より低くても、上記の報告のように「何らかの貢献」をしている場合も確かにありますよね。私はこの「何らかの貢献」というところで、“釣りバカ日誌”(映画・ビックコミックオリジナル)の「浜ちゃん」を頭に思い浮かべてしまいました。

2006-06-11

商売の原点

先週から今週にかけて株式市場が荒れています。
原因はニューヨーク市場の低迷などさまざまな要因が考えられますが、投資家心理を冷やしている一番の出来事は、村上ファンド問題だと個人的に思います。
1月のライブドア、その後の中央青山監査法人問題が一段落ついたかと思った頃に「村上お前もかっ!」という思いの個人投資家は多いのではないでしょうか。

ホリエモンも村上さんも、最初から今回のような不正行為を働くことを目的に事業を始めた訳でなないと思います。事業を始めるにあたっては、なんらかの仲間との目標や夢、社会的貢献願望があったはずです。
「しかし、金銭的に麻痺していく過程で『事業の原点』を忘れてしまったのだろうなぁ」と考えながらニュースを見ていて、ふと「自分にとっての『商売の原点』はどこだろう」と思いをめぐらしました。

私が「商売の原点」を強く体感したのは、7年間の会社勤めのあとにコンビニ経営を始め、予想に反して伸びない売上、出ない利益に苦しんでいた開店3ヶ月目頃のことです。
“金銭的に麻痺した”コンビニ経営者の多くが最初に取り組むことは、過度の人件費抑制と商品廃棄ロスの削減です。私もアルバイトのいない時間帯に無理をしてシフト入りし、商品廃棄を減らすために発注を抑え始めていました。

そんな時期、いつものように早朝からシフト入りしてレジを打っていると、若い女性がお弁当を買われました。
私:「お弁当温めますか?」
お客様:「いいえ、結構です」

当時、早朝にお弁当を購入する若い女性が多くなり、その理由が気になり始めていた頃でした。

私:「お昼にお召し上がりですか?」
お客様:「はい」

その時、私の視線がお弁当のラベルにとまりました。
【賞味期限:昼12時】

ラベル表示を見ながら、私の心は揺れました。
○「お昼に食べる時は賞味期限が切れているよな」
●「でも、販売期限は9時だからいいじゃないか」
○「お客様がお昼に食べようとした時、賞味期限が切れているのに気づいたら、
  販売した私に対して、いや店に対してどう思うだろう?」
●「だって、9時までは売っていいんだから、悪いことはしていないよ」
○「でも、昼に食べるって聞いてしまったし…」
●「これを売れば、9時の廃棄ロスが450円確実に減るんだぞ!」

そんな葛藤の中、自分が店を始める時に立てた、
「地域のお客様に商品とサービスを通して便利性(コンビニエンス)を提供する」
という経営スタンスを思い出しました。

それから私はお弁当ケースに走り、深夜に届いていてお客様がお持ちになった商品の下にあった同じ商品をお客様にさしだしました。
「お昼にお召し上がりでしたら、こちらの新しい商品をお持ちください!」
私の言葉に、お客様は大変喜んでくださいました。

それがキッカケで、そのお客様と会話もできるようになりました。さらに、早朝に弁当を購入する女性達が、勤務交代のため近くにある大学病院に向かう看護師達だということもわかりました。そこで、私がいない時にも対応できるように、販売期限9時のお弁当類は7時で売場から下げることにしました(廃棄が増えないように便別ウェートを工夫)。
その後、弁当取替えの話などが看護師寮で話題(口コミ)となり、看護師のお客様が増え、母の日やクリスマスにはたくさんの予約注文もいただきました。
このことが契機となり、私の店は近隣での評価も高まって、それを追うように売上も伸び始めました。

これが私の“商売の原点”であり、その後の店作りの礎となりました。

2006-06-05

女性の活用は「目的」ですか?

5月15日号の日経ビジネス:メイン特集のタイトルは、
「できなければ会社は潰れる『女性の活用待ったなし』」でした。内容ではイオン・岡田社長の言葉が印象的でした。

「いやぁ、もう最悪。成果はほとんどゼロ。確かに女性の登用は進んでいるけれど、それは店舗数が増えて業容が拡大しているためで自然増に過ぎない。2年前、『結婚や出産など女性のライフステージに合わせるように人事制度を作らないと会社は社会から取り残される』と社内で訴えて新人事制度を導入したが、言行不一致と言われても仕方がないですね」

そうですね、岡田さん。イオンにかぎらずスーパー業界の多くが主婦をお客様の中心に置き、さらに働いているパートさんも主婦中心でありながら、まだまだ女性の潜在能力と可能性を活用できていないのが現状ですね。

女性を活用するためには、結婚や出産後も働け、正当な評価を受けられる制度作り、さらには“円滑なコミュニケーション環境” を作るための男性上司のマインドとスキルアップ、この2つが必要だと思います。しかし、前者のみで後者に取り組んでいる会社はほとんどないのが現状です。
いくら素晴らしい制度を作ってみても、それを運営する管理職者(男性)の女性に対する理解と期待、さらにはコミュニケーション上の対応力が不足していては、女性が活躍できる組織を作ることはなかなかできません。

また、「女性の能力を活用する」ということは、あくまでも“手段”であって“目的”ではないはずです。スーパーであれば多くの企業が、
「地域のお客様により豊かな生活を提供する」
というような経営理念(目的)を持っていると思います。その達成度、つまりお客様からの支持率を量るのが売上・利益であり、その達成手段の一つとして「女性の活用がある」ということをもう一度考える必要があるのではないでしょうか。

先週、ある小売業のスーパーバイザー向けコーチング研修を行いました。このような研修の場合、参加者はほぼ全員男性なのですが、その企業では4分の1が女性でした。コーチングスキルの練習時に、男性2人と女性1人という組合せにすると、男性だけの時よりも活気がでますね。また、男性同士のフィードバックではなく男性から女性へ、女性から男性へ行なうと、異なる視点からの意見を受けることになり、お互いにたくさんの気づきがあったようです。

会社・店は、異なる価値観・考え方・行動傾向・働くことに対するニーズなど、多様性を活用してこその組織だと思います。その多様性が機能していればいるほど、市場の変化に対応していくことが可能になり、地域のお客様に支持をされる店作りをすることができます。
その多様性の最大の魅力である“女性の力”、これを活用できない会社・店に
「明るい未来はない!」
と再確認した1週間でした。

« 2006年5月 | トップページ | 2006年7月 »