« 商売の原点 | トップページ | ミネラルウォーター売場 »

2006-06-18

「2対6対2」の理論

企業研修を実施する際に、特に重要視していることがあります。
それは、受講者の研修テーマに対する理解度をできるだけ早く把握することです。
もちろん、研修担当者と内容レベルについて事前に打ち合わせをしているのですが、実施してみないとわからない部分も多分にあります。

昨日も、昼休みに研修担当者と受講者の反応について相談をしていました。
受講者の実務経験に大きな開きがあり、それが理解度の格差になっていることは明白でした。このような場合、研修の目的と照らし合わせ、研修レベルをどこに合わせるかを修正・確認しておくことが大切です。

そこで、担当者から出てきたのが「2対6対2」の理論でした。
つまり、理解度上位の2割、下位の2割に焦点を当てず、6割に焦点を当てたレベルで進めて行こうということです。

「2対6対2」の理論は、経営学やリーダーシップ論などを勉強する際に、組織論のところで使われることがよくあります。私も中小企業診断士の試験勉強をしている時に、経営管理の授業で初めて聞きました。

簡単に説明すると、例えばひとつの組織または店に10人のスタッフがいれば、そのうち2人は組織の「目的と役割」、さらに自分が取るべき「役割と行動」を理解し、自ら動くことができます。次の6人はリーダーの適切な指示と支援があれば自分の取るべき「役割と行動」を理解し、動くことができます。しかし、あとの2人は「理解と行動」が取れないばかりか、組織のお荷物になりかねません。

いかがでしょうか?
自分の所属する組織やグループ、お店で働くスタッフを考えた時、
「確かにこの理論にあてはまっているなぁ」
と考える方も多いのではないでしょうか。

この「2対6対2」の理論は別名“アリの理論”とも呼ばれています。
イソップ物語「アリとキリギリス」に出てくるように、アリは働き者だと言われています。しかし、アリの活動をよく観察すると、一生懸命働いているアリは約2割、約6割は働いたり休んだり、そして残りの約2割のアリは動いていないと言われており、そこから「アリの理論」という言い方が生まれたようです。

このアリの実態を調べた人がいます。北海道大大学院農学研究科の長谷川英祐助手(進化生物学)です。
以下は日本経済新聞 2003年11月15日からの引用です。

「長谷川助手らは、林の土中などに生息するカドフシアリ約30匹ずつの3つのコロニー(血縁集団)を、石こうでつくった人工の巣に移し、1匹ずつマーカーで印を付けて観察。1日3時間、昨年5月からの5ヶ月間で、行動類型を分類した。すると『女王アリや卵をなめてきれいにする』『巣の掃除をする』などの労働行為をするアリは各コロニーの約8割で、『停止している』『自分の体をなめている』『何もせず移動している』だけで、ずっと働かないアリが約2割いた」と研究成果を発表しています。

また、こんな興味深い実験もしています。
「このうち1つのコロニーで、最もよく働く6匹のアリを取り除いてみたところ、次によく働くアリの労働量が増えたが、働かないアリは何があっても働かなかった」

なるほど、面白いですね。
これって、会社組織やお店のスタッフなどにも通じるところがありますよね。

「それだったら、2割のアリは必要ないじゃないか」
という声が聞こえてきそうです。
その点について長谷川助手は、
「働かないことでコロニーに何らかの貢献をしている可能性もある。集団で行動する生物にとってどんな個性が必要なのか、興味がある」
と話しています。

会社や店で「働かないスタッフ」というのは大いに問題がありますが、仕事上の成果が上位8割より低くても、上記の報告のように「何らかの貢献」をしている場合も確かにありますよね。私はこの「何らかの貢献」というところで、“釣りバカ日誌”(映画・ビックコミックオリジナル)の「浜ちゃん」を頭に思い浮かべてしまいました。

« 商売の原点 | トップページ | ミネラルウォーター売場 »