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2006-07-30

コンビニ・スーパーと「食育」

1998年に明石海峡大橋が開通し、その後兵庫県淡路島の子供たちに肥満児が増えたそうです。その原因がコンビニだという記事を読んで、
「えっ、それってコンビニだけを悪者扱いしすぎでは?」
と思わず言いたくなりました。

日本経済新聞(2006年7月9日)の「食と長生き」というコラムによると、
「かつて淡路島にはコンビニが一軒もなかった。橋が架かりその後まもなくコンビニが島のあちらこちらにできるようになった。現代人にとってコンビニが生活を便利にしてくれる側面はもちろん否定できない。しかし、食の面からすると、コンビニで売られている弁当やインスタント食品類などは、塩分が多く高コレストロールでしかもカロリーが高い、野菜が少ないなど栄養バランスを欠くものが多い。
兵庫県では過去15年間で肥満児童の割合が1.5倍になった。食生活を調べてみると、朝食や夕食をコンビニ弁当やサンドイッチなどで済ます子供が多い。明石大橋ができたことで、淡路島も例外ではなくなり、ある小学校では兵庫県下で三番目に肥満児童の割合が多かった。」
とありました。

確かに、コンビニができたことによって子供達(もしかしたら親?)の購入場所と商品選択の幅が広がり、カロリー過多の食事やおやつが手に入りやすくなって、肥満化傾向要因のひとつにはなったと思います。しかし、コンビニと同様のインスタント食品や弁当類などの商品は、スーパーや一般商店・弁当店でも販売をしています。
コンビニを肥満の原因としてしまうのは、いかがなものかと思います。

今後、私たち大人が子供にすべきことは、多くの商品の中から「自分の健康を考え食品を選ぶ」判断材料としての知識を身につけさせることではないかと思います。
そのために平成17年7月には「食育基本法」も制定されているわけです。
食育基本法には、
「食育とは、食に関する適切な判断力を養い、生涯にわたって健全な食生活を実現することにより、国民の心身の健康増進と豊かな人間形成に資することを旨として、行なわれなければならない。」
とあり、いかに食に関する正しい知識を増やし、適切な判断力を持つことが大切かを挙げています。

コンビニの本部・加盟店さらにスーパーは、「食育」をキーワードに自分達が取り組んでいるヘルシー志向や、表面に出ない原材料の工夫などをもっと積極的にお客様へ、地域の住民へ、さらには世論へアピールする必要があると思います。
特にコンビニは、「体に悪い商品が多い」という印象を多くの大人から持たれています。この負のイメージを払拭する活動が今後ますます重要になります。

なぜなら、その活動が高齢者や女性という新たな客層を取り込み、客数を増やし、売上と利益を確保することにつながるからです。

2006-07-23

笑顔の効用

最近、コンビニもスーパーも各社・各店接客に力を入れており、2~3年前と比べれば「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」の声がよく出ている店は多くなったように思います。ただ、残念ながらその挨拶に「笑顔」がプラスされている店は、まだまだ数えるほどしかありません。

「『笑顔で接客できる店』と『できない店』、どこに差があるのだろう?」
と考えていた時に、【満面より60%のスマイル】という日本経済新聞(2006年7月8日)の記事が目に留まりました。

この記事では、笑顔を大きく分けて3段階で紹介していました。
■   笑顔度0%
 無表情は冷たい印象を与えてしまう。
■   笑顔度60%
 口角をわずかに上げると品の良い笑顔に。
 初対面の相手にも悪い印象を与えない。
■   笑顔度120%
 歯を見せると親しみやすさが増す。
 ただし、公の場では下品にならないように注意。

この記事によると、「満面の笑み」が必ずしも好印象を与えるとはかぎらないそうです。「仕事で初対面の人と会う場合は敵意がないことを示しつつ節度を保つ、60%あたりの笑顔が適当」とされていました。

そうですよね、「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」も60%の笑顔がプラスされていたら、嬉しくなるし安心しますよね。

私もコミュニケーション研修時には、言葉だけではなく「表情」の大切さを“メラビアンの法則”をもとに話しています。
メラビアンの法則とは、心理学者であるアルバート・メラビアンが「特定の感情を伝える言葉」はどのような割合で相手に伝わるのかを実験し、ひとつの法則として発表したものです。最近では、この法則が「コミュニケーションの伝わる割合」を示す時に引用されることが多くなりました。

この法則によると、話の内容が伝わる割合を100%として
1.        言葉そのもの=7%
2.        声のトーン・大きさ・速さ=38%
3.        表情・態度・身振り=55%
とされています。

「えっ、言葉そのものってそんなに少ないの?」
と思う方が多いかもしれません。
確かに、おなじ「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」でも、感情がこもっておらず、そのうえ表情もなく言われても嬉しくはありませんよね。

では、笑顔で接客ができる店にするには、どうしたらよいのでしょう。
それは、スタッフを「認める」ことです。

言葉にこそ出しませんが、誰でも自分の存在や価値を「認めてほしい!」と思っているものです(私もいつも思っています)。

よく仕事が「楽しい」「楽しくない」という言い方をします。それは「仕事そのもの(仕事の内容)」よりも、いま働いている職場で仕事を通した自分の存在や価値が認められているかどうかを指している場合が多々あります。

ですから、店長やマネジャーは一人ひとりの仕事ぶりをよく観察して、取り組んだプロセスや成果、スタッフそれぞれの強みに焦点を当て、たくさん「認める」ことをしてほしいと思います。

そのようなことが日常的に行われる店では、スタッフが仕事を楽しいと感じ、自然と笑顔で接客する機会が増えるはずです。

2006-07-16

コンビニ大手3社の共同開発

つい先日、「ローソン・ファミマ・サークルKS、清涼飲料など共同開発」という新聞記事を見て、ついにコンビニ業界もここまできたか、と思いました。

「ローソン、ファミリーマート、サークルKサンクスの3社は共同で商品開発に乗り出す。日本コカ・コーラなどと組み、8月から3種類の清涼飲料を売り出す。コンビニ業界2、3、4位の店舗総数は約21000店で最大手のセブンイレブン・ジャパンのほぼ2倍。規模のメリットで仕入れコストを削減し、セブンイレブンに対抗する。(中略)3社は競合関係にあるが、商品開発面で提携し、売上高や利益率で優位に立つセブンイレブンとの取引条件の格差を埋める方が得策だと判断した。今後、酒類や加工食品などの共同開発も検討する。」
(日本経済新聞、2006年7月12日より)

同じ日の記事に、「セブン&アイ、営業益16%増」という記事もありました。この3~5月期は新たにグループ入りしたミレニアムリティリングの収益寄与やイトーヨーカ堂、さらには金融事業の大幅増益も業績向上に貢献しました。
秋には食品スーパーの優等生「ヨークベニマル」もセブン&アイに加わり、さらにシナジー効果(相乗効果)をもたらし、セブンイレブンの力はますます大きなものとなると予想されます。

日販で上記3社を約15万円上回るセブンイレブンの強さは、ドミナント戦略やオペレーションの現場徹底度など、さまざまな点を挙げることができます。
しかし、最大の強さはスケールメリットとメーカーとの共同開発によるオリジナル商品の量と質だと思います。
現在、売り場にある商品の約50%はオリジナル商品だといわれています。オリジナル商品は他店との差別化(セブンイレブンに行く必要性を生み出す)、さらには同じ売上でありながらより高い粗利益をもたらします。
ますます強化されていくセブンイレブンの強さに、上記3社が力を合わせ対抗しようとすることは、自然な流れかも知れません。
今回の共同開発は、コンビニ業界が大きく変化し始めるほんの序章にすぎません。今後は業界再編成も含め、より早く大きな変化が次から次と出てくることが予測されます。

しかし、このような大きな戦略を考え決めるのは本部であり、加盟店は関わることができません。では、加盟店は再編成も含めた予測できない将来に備え、何をすべきなのでしょうか。

それは、「商売力」を高めることだと思います。
どのチェーンにも、すばらしい経営をしており地域のお客様に愛されている店はたくさんあります。そのような店の経営者は、年齢や性別に関係なく「商売力」のある人たちです。
このような人たちに共通している「商売力」とは、主体的にコンビニ経営をしているということです。

つまり、本部から言われたから行動を起こすのではなく、自分の商売をするために本部システムを活用しているのです。

これがフランチャイズ本来のあり方であると私は思います。

2006-07-03

シニアのコンビニ 

毎日のように新聞、雑誌、インターネット、テレビなどで、「少子高齢化」という言葉を見聞きします。日本の人口構成の加速度的変化は、若者中心の店作りをしてきたコンビニ業界に変革の必要性を迫っています。

コンビニ各社は商品開発や配達などのサービスを通して高齢化社会への対応を行なっていますが、抜本的な変革は暗中模索の状態です。
そんな中、【シニアのコンビニ:ローソン、2割を改装へ】という日本経済新聞:7月2日(月)付の記事は目を引きました。

「ローソンの新浪剛史社長は1日、今後3年間で全店(約8300)の約2割を高齢者向けに改装する方針を明らかにした。少子高齢化に対応し、他社に先駆けて高齢者に狙いを定めた店舗戦略に本腰を入れる。
秋までに全国7地区に高齢者向けのモデル店を開業して運営ノウハウを蓄積し、2007年度から高齢者の多い地方都市を中心に店の改装を本格化する。周辺住民の4割超を50歳以上が占める店を改装対象とする。
1日、兵庫県淡路市に開業した高齢者向けのモデル店(220平方メートル)は白髪染め、和菓子などの品揃えを増やし、座って飲食や会話が楽しめる休憩コーナー(40平方メートル)を設けた。60歳以上の顧客には電話注文で商品を自宅に届ける会員制サービスも手がける」

どれだけの需要があるのかは疑問ですが、健康志向を先取りした「ナチュラルローソン」、少量低価格で生鮮食品を販売する「ローソンストア100」など、次から次へと新たなコンビニフォーマットを模索・チャレンジするローソンならではの取組みだなぁと感心します。

ただ、今後ますます進むとされる高齢化社会への対応ということでは、本部はハード面だけではなく、ソフト面の対応も行なうべきです。
というのは、現在コンビニで働く社員やアルバイトはまだまだ若者が多く、お年寄りの肉体的・精神的な負担や大変さを理解していないと考えるからです。

 1.入り口のドアが重くて開けにくい
 2.最上段に商品があっても視線に入らない(気づかない)、取りにくい
 3.最下段の商品はしゃがまないといけないので取りにくい(負担がかかる)
 4.納品されたパレット(番重)が高く積まれていて怖い
 5.自分の荷物と買物カゴの商品を持って店内をあるくのは大変だ
 6.商品説明の印刷が小さくて見えにくい
 7.商品やサービス(コピーなど)のことで聞きたいが聞きにくい
 8.レジで精算時に動作が遅く迷惑をかけるようで気がひける
などなど、お年寄りがコンビニを利用している様子を見ると、さまざまな「困った声」が聞こえてきます。

私の年代(40代後半)になると自分の親が高齢者の仲間入りをしており、身近にお年寄りの大変さを見て感じることが出来ます。さらに、育ってきた生活環境の中に年老いた祖父母が存在している場合も多々ありました。
しかし、核家族化が進行した時代に育った若者は、「お年寄りと身近に接する機会が少ない」、または「祖父母がまだ若い」などの理由で、その大変さを想像することが難しく、上記のような声は聞こえないのが現状のようです。

そこで、コンビニ本部にはソフト面の対応もしてもらいたいと思うわけです。
加盟店の店長・マネジャーがお年寄りの買物する際の苦労や不安を知る機会の提供、各店が取り組んでいる対応策の意見交換など、意識を高めるようなセミナーを実施することがハードの整備と平行して必要です。

そして、加盟店が自発的に上記の1~8のようなお年寄りの「困った声」に対応することが、今後の高齢化社会に変化対応していく第一歩だと思います。

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