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2006-08-27

「ロングテール」とリアル店舗

最近、新聞や雑誌で「ロングテール」という言葉をよく見かけます。
ロングテール」とは、直訳すると「長い尻尾(しっぽ)」です。
インターネットの普及に伴って発生した新しい消費行動で、これからのマーケティングを考える際に、とても重要な要素となります。

これまでの消費市場では、「2割の品目が全体の8割の売上(利益)を支える」とされる「パレートの法則※注釈)」がマーケティングの基本でした。

例えば、40アイテムのカップラーメン品目別販売個数を棒グラフ(ABC分析)にした図をイメージしてください。
おそらく上位10アイテム程度の棒グラフは高い数値を示し、全体の70%程度の販売量を占めます(Aランク)。さらに、次の10~15アイテムから急激に売上が低下し、最後の40アイテム目までなだらかな長い恐竜の尻尾(ロングテール)のようなグラフになります。

今までのマーケティングの考えでは、このなだらかな長い尻尾の最後の部分、つまりCランク商品(90~100%の販売構成比品目)は商品ライフサイクルが終了したと考え、死に筋としてカット、新しい商品に入れ替える。または、Aランクに経営資源を集中させることが成功へのカギとされていました。

これは当然のことだと思います。コンビニの売場は限られています。その限られた売場ですから、できるだけ販売数が期待できる商品を置いて売場効率を高めようとしているのです。

しかし、インターネットの普及で全国に散るニッチな少数消費者を相手にすることで、このCランク商品でも商売をすることが可能になってきました。

リアルの店舗だと売場が限られ、陳列できる商品の品目数は限られます。しかし、インターネット上ではまずデータとして置かれるため、限りなく品目を置くことが可能です。また、販売数量が少なくても店舗家賃や人件費が大幅に削減できるため、在庫コストも少なく、商売として成り立つわけです。

例えば、先ほど出てきたカップラーメン。
いま、コンビニの売場に行くと、カップヌードルに代表されるような定番の売れ筋商品、チェーンのオリジナル商品、新製品でほぼ売場は占められています。
私が個人的にときどき食べたくなる“まるか食品”の「ペヤングヌードル」などはまず置かれていません。
当然です!
これらの商品はとうの昔にライフサイクルの衰退期、それも末期になっているのですから。

しかし、従来であれば世の中から消えるはずの商品が、インターネット上で商品情報や販売店情報が提供される(商品によってはファンクラブまである)、少数派がネット通販で購入するなど、商品として成立し続けているわけです(ロングテール現象)。

ここでコンビニ業界のみなさんは、よく考えなくてはいけません。
消費のパイが一定であるという前提で考えれば、ロングテール現象で購入された分の売上はリアルの店舗では減るということです。

つまり、コンビニとインターネットという2大市場は、商品寿命という点では相反する役割にあります。今後はコンビニもリアル店舗に加え、インターネット市場の需要(購買窓口・手数料収入・来店機会の向上)も取り込んでいく工夫をしなければいけません。

その時、重要になるのは、各チェーンが取り組んでいるオリジナルの「カード」です。今後このカードがリアル店舗とインターネット市場を結びつける重要なツール(情報の玄関口)となるからです。

※注釈パレートの法則
一国の富、企業の売上高、不良品の発生などにおいて配分・分布・発生原因を考えたとき、その大勢は少数の要因によって決定されるという経験則です。
イタリアの経済学者、ヴィルフレド・パレートが、欧州各国や米国のデータに基づいて統計的に所得配分の研究を行い、1896年にローザンヌ大学の論文集に成果を発表しました。
ここでパレートは、経済・社会体制が異なる国々でも、また異なる時期においても一部(約20%)の高額所得者が、社会の多くの部分(約80%)の所得を生み出していることを主張しました。 パレートの法則は早くから所得分配だけではなく、自然現象にも当てはまると指摘され、現在では品質管理、在庫管理、売上管理、マーケティングなどにも活用されています。
【例】「売上の80%は、全商品の20%が作る」
   「売上の80%は絶対客数の20%がもたらす」

2006-08-19

脱・キャンペーン頼み

お盆真っ只中の8月14日(月)、ちょうど昼時に出先から帰る途中のセブンイレブンで買物をしてきた妻と息子が、帰ってくるなり言いました。
「最低な店、買うものが何もない!まだ12時を回ったばかりなのに、弁当ケースも惣菜ケースもがらがらでほとんど欠品状態! 混んでいるのにスタッフは2人しかいないし!」
よくよく聞いてみると、お客は多かったといいます。それに、店の周辺はいつものように昼食を求める会社員でにぎわっていたとのこと。おそらく、この店は今年のお盆期間中の予測を大きく外してしまったのでしょう。

最近、会社員の夏休みの取り方が大きく変化してきています。特にそれを感じたのは、夏期休暇の旅行を申し込んだ時でした。
お盆期間中は旅行代金が最も高いため、毎年その期間は外し、息子が夏休みに入ってすぐの7月末か8月初めに旅行をしていました。しかし、今年は申し込んだ8月初めの期間がお盆期間とほぼ同額になっていたのです。
「つまり、この期間に旅行をする人が増えてきているということですね」
と旅行会社の方に言われてしまいました。

コンビニを取り巻く経済環境・商圏環境・お客様のニーズは、私たちの想像以上のスピードと多様性を持って変化してきています。しかし、上記店のように変化についていけずお客様からの信頼を失い、売上の低迷に苦しんでいる店が増えています。

その原因のひとつが、どのチェーンでも盛んに実施している“キャンペーン”にあると私は考えています。
もちろん、セブンイレブンが行なっている「スヌーピー絵皿プレゼント」やローソンの「ミッフィー絵皿プレゼント」などは、30~40歳代に主婦層の来店や買上点数の増加を促すなど、一定の効果は上げています(セブンイレブンでは今年2月~3月に実施した際は、既存店売上高が大手コンビニの中で唯一、プラスでした)。

しかし、このようなキャンペーンの繰り返しで短期的な本部主導型売上アップ策を続けていては、加盟店の「商売力」はますます低下していくばかりです。
本来なら、キャンペーンと平行して長期的視点に立った個店別の問題解決をしていく必要があることは、本部も加盟店も気づいているのだと思います。

それでも、現実には目先の売上・利益を優先してしまっているわけですが、このあたりで長期的視点に立ち、何を優先すべきなのか再確認する必要があるのではないでしょうか。

そのように考えていた矢先に、下記のような記事が目に留まりました。
この記事からも今のコンビニ業界の迷いとジレンマを感じることができます。

2006年8月16日付日経MJ【消費:見所カン所】脱・キャンペーン頼み
セブン&アイ鈴木敏文会長
どこのコンビニチェーンでも盛んに実施している月替わりのキャンペーン。購入商品に付いているシールを集めると、キャラクター付きの食器などを渡す場合が多いが、「あんなものに頼っていてはダメだ」と手厳しい。セブンイレブンでもこうしたキャンペーンを多用しているが、「何度もやればマンネリ化してしまう。決して良しとしているわけではない」。
手っ取り早く稼ぐキャンペーンよりも、目を向けるべきは「日々の商品発注精度向上」というのが持論。「夏になれば誰でもさっぱりした梅のおにぎりを食べたくなるのに、十分な発注量がないと」商機を取り逃がしてしまう。天候や流行で移り変わる消費者ニーズのありかを見極め、機敏に品ぞろえに反映させることの重要性を力説していた。

2006-08-12

弁当・惣菜の「揚げ物」ばなれ

名古屋で研修を終えた帰り、新幹線の中でお弁当でも食べていこうと思い、駅ホームでお弁当を選んでいました。しかし、どのお弁当も「エビフライ」「みそかつ」「名古屋コーチン」などがふんだんに使われており、暑さと疲れでさっぱり系のお弁当が欲しかった私には重過ぎるものばかりでした。
そりゃそうですよね、この3点が名古屋名物ですものね。
唯一、「これはいいかな」と思った煮物中心の弁当は売り切れ、しかたなく笹寿司を買って新幹線に乗り込みました。

いつの頃からでしょうか。2~3年前? いやもう少し前からかも。肉系から魚系に、揚げ物から煮物系にと食の嗜好が変化してきました。その傾向が顕著に表れるのが居酒屋などに行った時です。
つい野菜・魚系、それも煮物・焼き物系を注文しがちで、一緒に行った若い仲間が注文するものと比較し、年代による嗜好の違いを再認識してしまいます。

先日、日本経済新聞(2006年8月8日付)に【スーパー・コンビニ 揚げ物がらぬ人気】という記事が掲載されていました。
「スーパーやコンビニエンスストアの惣菜売場に変化が起きている。主役だった揚げ物が、カロリーの取りすぎを気にする女性やコレステロールに気を配る中高年の増加で、売れ行きが鈍り始めたためだ。小売各社は揚げ物を除いた弁当を売り出したり、てんぷらなどに使う揚げ油を脂肪が付きにくい健康効果をうたったものに切り替えるなど、対応を迫られている」

やはり、そうでしょう!?
私の嗜好は特別なものではなく、健康志向が強まっている時代の流れと人口の高齢化ということを考えれば、当然のことですよね。
しかし、まだまだスーパー・コンビニの弁当や惣菜売場は時代のウォンツ(顕在化されていないニーズ)に応えられていないのが現状です。
実際に店に行ってみると、前出の駅弁同様「商品はたくさんあるけどほしいものはない」という売場が大部分です。

お客様から「A店のような『魚の煮つけ』がほしい」(これはニーズ)と言われてから品揃えしていては遅いのです。
さまざまな情報からお客様のウォンツに対する仮説を立て、他店に先駆け取り組むことが差別化につながり、より自社の価値を高めることができるのです。

とはいうものの、特に魚の煮物系などはコスト・技術(味付け)・提供価格面などで難しい問題も多々あるようです。しかし、そのような問題を解決することが自社(自店)の価値を高め、差別化につながる訳ですから、スーパー・コンビニ各社にはより力を入れて取り組んでもらいたいと思います。
そして、私のような客がもっと行きたくなる、買いたくなる売場を作ってください。

ちなみに、私の一押し駅弁は東海道新幹線の主要駅(東京・品川・新横浜・名古屋・京都・新大阪)と車内で販売されている「幕の内弁当 日本の味博覧」1000円です。
もともとこの弁当は愛知万博の開催に合わせて、その会期中の限定販売商品でした。しかし、好評のため現在も販売されています。
季節の素材や御飯をしっかり食べることができて629カロリーととてもヘルシーなうえ、目と舌と両方で楽しむことができるお弁当です。
東海道新幹線に乗った時は一度お試しください。

【商品説明:株式会社ジェイアール東海パッセンジャーズHPより】
6月26日より、『日本の味博覧』が夏バージョンに衣替えをします。元なだ万調理長田中博敏氏監修のもと、今回は夏を感じさせる食材や良質な素材にこだわりました。
甘辛くて香ばしい「焼き穴子」をはじめ、彩り豊かな季節野菜の焚き合わせとして、揚げ煮で味がよく染みている「茄子」、煮汁を含んだみずみずしい「冬瓜」、自然な甘みがおいしい「パプリカ」、シャキシャキと歯ごたえのよい「絹さや」をご用意しました。
新しいこだわりの食材として、じっくり煮込んで味の染みた「紅鮭昆布巻き」、それぞれに違った甘さのある「おたふく豆」と「白花豆」、香りが良く、ピリッと辛い「からし菜」やパリパリと歯ごたえのよい「新生姜漬け」を入れました。

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