脱・キャンペーン頼み
お盆真っ只中の8月14日(月)、ちょうど昼時に出先から帰る途中のセブンイレブンで買物をしてきた妻と息子が、帰ってくるなり言いました。
「最低な店、買うものが何もない!まだ12時を回ったばかりなのに、弁当ケースも惣菜ケースもがらがらでほとんど欠品状態! 混んでいるのにスタッフは2人しかいないし!」
よくよく聞いてみると、お客は多かったといいます。それに、店の周辺はいつものように昼食を求める会社員でにぎわっていたとのこと。おそらく、この店は今年のお盆期間中の予測を大きく外してしまったのでしょう。
最近、会社員の夏休みの取り方が大きく変化してきています。特にそれを感じたのは、夏期休暇の旅行を申し込んだ時でした。
お盆期間中は旅行代金が最も高いため、毎年その期間は外し、息子が夏休みに入ってすぐの7月末か8月初めに旅行をしていました。しかし、今年は申し込んだ8月初めの期間がお盆期間とほぼ同額になっていたのです。
「つまり、この期間に旅行をする人が増えてきているということですね」
と旅行会社の方に言われてしまいました。
コンビニを取り巻く経済環境・商圏環境・お客様のニーズは、私たちの想像以上のスピードと多様性を持って変化してきています。しかし、上記店のように変化についていけずお客様からの信頼を失い、売上の低迷に苦しんでいる店が増えています。
その原因のひとつが、どのチェーンでも盛んに実施している“キャンペーン”にあると私は考えています。
もちろん、セブンイレブンが行なっている「スヌーピー絵皿プレゼント」やローソンの「ミッフィー絵皿プレゼント」などは、30~40歳代に主婦層の来店や買上点数の増加を促すなど、一定の効果は上げています(セブンイレブンでは今年2月~3月に実施した際は、既存店売上高が大手コンビニの中で唯一、プラスでした)。
しかし、このようなキャンペーンの繰り返しで短期的な本部主導型売上アップ策を続けていては、加盟店の「商売力」はますます低下していくばかりです。
本来なら、キャンペーンと平行して長期的視点に立った個店別の問題解決をしていく必要があることは、本部も加盟店も気づいているのだと思います。
それでも、現実には目先の売上・利益を優先してしまっているわけですが、このあたりで長期的視点に立ち、何を優先すべきなのか再確認する必要があるのではないでしょうか。
そのように考えていた矢先に、下記のような記事が目に留まりました。
この記事からも今のコンビニ業界の迷いとジレンマを感じることができます。
2006年8月16日付日経MJ【消費:見所カン所】脱・キャンペーン頼み
セブン&アイ鈴木敏文会長
どこのコンビニチェーンでも盛んに実施している月替わりのキャンペーン。購入商品に付いているシールを集めると、キャラクター付きの食器などを渡す場合が多いが、「あんなものに頼っていてはダメだ」と手厳しい。セブンイレブンでもこうしたキャンペーンを多用しているが、「何度もやればマンネリ化してしまう。決して良しとしているわけではない」。
手っ取り早く稼ぐキャンペーンよりも、目を向けるべきは「日々の商品発注精度向上」というのが持論。「夏になれば誰でもさっぱりした梅のおにぎりを食べたくなるのに、十分な発注量がないと」商機を取り逃がしてしまう。天候や流行で移り変わる消費者ニーズのありかを見極め、機敏に品ぞろえに反映させることの重要性を力説していた。