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2006-09-21

メタボリック症候群とコンビニ弁当

最近、「メタボリック症候群(内臓脂肪症候群)」という言葉を新聞や雑誌、さらにはテレビなどでよく見聞きするようになりました。
新聞に掲載されている内容を見ると、
「『メタボリック症候群』とは腹回りが男性で85cm以上、女性の場合は90cm以上で、かつ高血圧、高血糖、高脂血症の2つ以上に該当する人を指す。1つでも該当すれば予備軍となる。各項目の数値が極端に悪くなくても、重複することで心筋梗塞や脳卒中、糖尿病などの生活習慣病になる危険性は高まる。厚生労働省は同症候群の有病者と予備軍は40歳以上で男性の2人に1人、女性の5人に1人と推計している」とあります。

つい先日、自分の場合はどうなのだろうと春に受けた人間ドックの結果を見てみました。ほとんどの項目は判定評価Aランクと問題なかったのですが、総コレステロール値と中性脂肪値は正常参考値を大きくオーバーしており、高脂血症と判断されていました。
しかし、普段購入しているスラックスのウエストサイズは76cmなので、メタボリック症候群の85cm以上という基準には関係ない。1つしか当てはまらないから大丈夫だと思っていました。

ところが、「CT計測法による内臓脂肪量測定結果」を見てビックリ!
「あなたの肥満度・脂肪分布診断」のコメントに、「あなたのウエスト(おへその位置)周りは86.8cmです」と書いてあるのです(内臓脂肪量は正常でした)。
ということで、医学的にいうところの“腹回り“と“高脂血症”で私はめでたくメタボリック症候群の仲間入りということになってしまいました。

「食事に気をつけなくてはいけないよなぁ」と問題意識を持ち始めていた時、あるニュース番組が目にとまりました。
その番組はメタボリック症候群をテーマとしたもので、昼食に食べるコンビニ弁当を変えたところ、数ヶ月で7キロ体重が減ったという中年のサラリーマンが紹介されていました。
その弁当とはナチュラルローソンの「6マス弁当」です。

そこで、さっそく私も近所のナチュラルローソンに行ってみました。
その6マス弁当には、“お腹ぽってり”タイプの「りんご型」、“下半身どっしり”の「洋ナシ型」、さらに“太るとやせにくい”「バナナ型」と3種類ありました。
なるほど、自分の体型に応じて食べる弁当の種類が異なるわけですね。

私が選んだのは「バナナ型」の6マス弁当、内容は「煮物と和風豆腐ハンバーグのお弁当」です。価格は530円、カロリーは351キロカロリー。
「ボリュームないなぁ~、これひとつで足りるかなぁ」と不安を覚えつつの購入。

食べようと思い弁当上部商品紹介ラベルを見ると、6マスに分かれている御飯とおかずの食べる順番が書かれていました。
さらに、「1~6の順によく噛んで食べてみましょう」と注意書きもありました。
「えっ、食べる順番まで決められているの?」と思いましたが、注意書きに従いながら順番に食べてみました。
①ひじき煮とレンコン入りきんぴらゴボウ
②黒豆、ふき、がんもの煮つけ
③黒豆入りご飯
④とうふハンバーグ(ブロッコリー添え)と鮭焼き
⑤炊き合わせ(かぼちゃ、里芋、いんげん、椎茸、枝豆)
⑥玄米入りご飯

なるほどいきなりご飯を食べるのではなく、まずは野菜を食べてから御飯なんですね。それも良く噛みながら(野菜類は20回、ご飯は30回噛んでみました)。
この食べ方とよく噛むというのは大きなポイントです。
人が満腹感を感じるのは胃ではなく、頭ですからね。
おかげで私も最初のイメージとは違い、結構満足する昼食を取ることができました。
次回はぜひ「りんご型」「洋ナシ型」も食べてみたいと思います。

最初にも紹介したように、メタボリック症候群の有病者と予備軍は40歳以上で男性の2人に1人だといいます。ということは、私のようにコンビニで昼食を買おうとした際、困っている中高年男性はたくさんいるということです。

コンビニ各社の商品開発担当の方には、このような隠れたニーズ(ウォンツ)を満たす商品、それもこの6マス弁当のようにわかりやすい商品をより多く開発していただきたいと思います。

2006-09-10

外国人スタッフの活用と本部支援

9月11日(月)発売・日経ビジネスの特集は、
「こんな国では働けない:外国人労働者『使い捨て』の果て」でした。
(店頭発売は月曜日ですが、定期購読者には前週の金曜日に届きます)

小見出しを見ると、「『きつい、汚い、危険』の3K職場や深夜のコンビニエンスストアは、もはや彼ら抜きでは成り立たない」と、いかに日本の産業が外国人労働者によって支えられているかを強調しています。

確かにそうですね。
数年前まで外国人のスタッフ(特に中国・東南アジア系)が目につくのは、主に外食産業、それも居酒屋に代表されるような飲食店でした。しかし、最近ではコンビニでも片言混じりの日本語を耳にする機会が多くなりました。
そのような時、ネームプレートに目をやると“ひらがな又は漢字一文字”の名前。
「この店もスタッフが集まらなくて苦労しているんだなぁ」
と余計なことを考えてしまいます。

日経ビジネスの記事に、コンビニでどのくらいの外国人が働いているのか調べた結果が出ていました。
調べたのは8月末の金曜日午後11時半。
場所は東京・新宿の歌舞伎町、ここにある21店のコンビニが対象です。

「『王』『張』『呉』…。外国人と思われる店員は、見た目やネームプレートからたやすく見分けられた。全員が外国人だった店は3軒あった。全部で45人いた店員のうち、外国人と判断できた人は20人で、全体に占める割合は44%。その数字は事前の予想をはるかに超えていた。」とあります。

新宿歌舞伎町という日本一の繁華街は治安が悪く、店のスタッフとお客様、さらにはお客様同士のトラブルも多いためアルバイトが集まらない地域として有名です。そのため外国人比率が高くなったのだとは思いますが、今後ますますこの傾向は各地に広がりを見せるのではないでしょうか。

ただ、私が気になったのは、調査の内容そのものよりも、調査にあたっての質問に対するセブン‐イレブン・ジャパンの答え方です。
「実際に大手コンビニチェーンは、外国人店員をどの程度使っているのか。本部に尋ねると、『アルバイトの採用は、すべて店のオーナーの判断。本部では分からない』(セブン-イレブン・ジャパン)。外国人への依存度を自ら把握しようとはしていない。」
日経ビジネスも、本部に対して少し批判的なニュアンスですね。

確かにフランチャイズ・ビジネスですから「人の問題は店の問題、本部が関与することではない」というのは筋が通っています。しかし、これだけ日本が少子高齢化社会になりコンビニスタッフの主戦力となる若年人口が減少している現状、さらには本部の出店戦略、スーパーの24時間営業の拡大、外食産業に代表される働く場の増加という労働市場環境を考えると、「人の問題は店の問題」で片付けられない時代になってきているのではないでしょうか。

いくらすばらしいシステムを作っても価値ある商品を開発しても、「働くスタッフの不足・レベルの低下」⇒「オーナー・店長のマネジメント時間の減少・モチベーション低下」⇒「店の経営管理レベル低下」という負のスパイラルを招いては、お客様の満足度を上げることはできません。
コンビニ本部には「労働市場環境の変化」に対応した加盟店支援(採用、教育・研修、分かりやすいマニュアルの開発等)をより強化してもらいたいと思います。

時代のニーズに対応した店作りが「コンビニ」の価値だと言いながら、加盟店の「人の問題」には対応できていない(していない)ことが、既存店の売上低迷を招いているひとつの要因であることは確かなのです。

2006-09-02

コンビニの「おでん」

9月に入ったというものの、まだまだ暑い日が続いています。
しかし、百貨店の売場を見るとスーツもワイシャツも秋物が占めており、夏物のバーゲン品はほとんどありません。また、ファション誌も秋の着こなし特集のオンパレード。すっかり消費者の嗜好は秋に向いていますね。

そんな気持ちを先取りしてか、今年は早々にコンビニ各社が「おでん」に力を入れているようです。それは、各社のおでんキャンペーンから読み取ることができます。

まずは、コンビニのおでんといえば「セブンイレブン」。
セブンイレブンは9月1日から1週間「70円均一セール」を実施中です。ローソンも9月5日から同じく「70円均一セール」を行なうとホームページで告知中。

そして大手3社の中で、今年最もおでんに力を入れているのはファミリーマートではないでしょうか。今シーズンはセブンイレブンよりも早く、8月29日から「70円均一セール」をスタートさせ、加盟店に「おでん早期展開」を促しています。
さらにセブンイレブンの倍の期間、9月11日までの2週間実施し、多くのお客様にファミリーマートのおでんを食べてもらう機会を増やしてその後の購買につなげていこうとしています。

ところで「コンビニのおでん」、今でこそ当たり前になっていますが、いつ頃から売り始めたか知っていますか?

個店での取り組みは別とし、チェーンとして初めて「おでん」に取り組んだのはセブンイレブン、それも1979年・26年前のことです。
当時、私は㈱セブンイレブン・ジャパンの直営店で働いていました。この頃、コンビニのファーストフードといえばフランクフルト、ディッシュアップのアイスクリーム、スラーピー(飲むシャーベットの類)ぐらいのものでした。
これらの商品は夏向きの商品で、気温が低下する冬場にはファーストフード全体の売上が大きく落ちました。そのため、冬場に売上を稼ぐことのできる「温かい商品」が必要だということになり、その候補にあがったのが「おでん」だったのです。

しかし、最初は本部の商品供給体制や販売のノウハウもなく、「おでん販売」を定着させることに直営店は大変苦労しました。
時には商品供給(発注の不備もあった)の不十分さもあり、売場で販売されている「紀文・おでん汁の素」でつゆを作り、不足した具の代わりに日配品のちくわ、さつま揚げ、こんにゃくなどを自分で切り、おでんを仕込みました。
そんな試行錯誤を繰り返しながらも、次第に商品供給体制・質も向上し、販売ノウハウも積み重なっていきました。

そして1~2年後、私が宮城県でOFC(オペレーション・フィールド・カウンセラー=経営指導員)になった頃から、加盟店にも本格的に取り組み始めてもらいました。
しかし、ここからがまた一苦労。

「なんで、こんな手間のかかることを始めるんだ!」
「この辺でこの味じゃ売れないよ。もっと濃い味にしないと」
「高いよ。商店街のおでん屋だったら半額だよ」

など、さまざまな売れない理由を言われながら加盟店と一緒に取り組み、自分の担当店全店(8店)のおでん売上が1日10,000円(10~11月頃)を超えるには2~3年かかったことを覚えています。
しかし、このぐらい売れるようになるとお店も自信を持ち始め、さまざまな工夫をしながら積極的に販売をしてくれるようになり、毎年のように販売金額を伸ばしていくことができるようになりました。

そんな古い歴史のある「コンビニのおでん」。どうして、今頃になってまた各社で力を入れ始めているのでしょうか。
それは、2つの時代の“ニーズ”への対応だと思います。

まず1つ目は、人口の高齢化によりコンビニを利用するお客様の年齢層が高くなっていることです。年齢とともに食品に対する嗜好は揚げ物・肉系から煮物・魚・野菜系へと変化します。
2つ目には、「健康志向」です。アンチ・エイジングという言葉に代表されるように、多くの人が長くなった人生(平均寿命の伸び)をできるだけ元気で明るく、若々しく過ごしたいと考えています。そのため、食生活に対しても関心が高いということです。

今年のおでん販売のポイントは、「おでん」という商品にいかに上記のニーズに合わせた「情報」を上乗せして販売できるかにかかっています。いま、お客様は商品(モノ)だけではなかなか価値を感じてくれない時代です。

ですから、各店の情報発信とお客様とのコミュニケーションがますます重要性を増してきているのです。

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