「時間の価値」への対応が売上を伸ばす!
コンビニもスーパーも売上を伸ばそうと、新商品の開発や次々にキャンペーンを行なうなど販促活動に力を入れていますが、なかなか成果に結びついていないのが現状です。しかし、お客様の立場になり「時間」という価値に注目すると、まだまだ売上を伸ばす余地が見えてきます。
日本経済新聞の「消費をつかむ」というシリーズに、「時間」を商品ヒットの新機軸として捉えた記事が載っていました(2006年9月12日付)。
「390円ラーメンが売り物の『日高屋』で、ギョーザの注文が増えている。ニンニク入りが5個190円。値段や具材を少しも変えていないのに売れ行きがよくなった。秘密は6~7分かかった焼き上げ時間を1分半に縮めたこと。注文からほぼ3分で出す一皿の時間差で消費をつかんだ。…(中略)時間短縮は昼間の客のイライラを解消、夜のつまみの価値を高めた。」
なるほど、確かにラーメンとギョーザを頼むとラーメンができてきても、ギョーザが出てこない店は多いですよね。中にはラーメンを食べ終えるころにギョーザが出てくるという店もあります。このような店では次回からギョーザは注文しませんし、よほどラーメンに価値がなければ行かなくなってしまいます。
さらに自分の体験を振り返ってみると、「時間」の問題で買物をしなかったということは多々あります。
つい先日も家に帰る途中のスーパーでバナナを買おうとしました(この店のバナナはたしか「完熟王」というブランドでとてもおいしい)。しかし、レジに行ってみるとどのレジも5人程度のお客が買物カゴいっぱいに商品を持って並んでいます。どうみても、私の番がくるまでには5分間ぐらいかかりそうだったので、買うのをやめてしまいました。
また、事務所の隣のコンビニでも同様の経験をよくします。近くに美容関係の専門学校があるため、お昼時の店内は大変混雑します。私はできるだけその混雑を避けようと12時前に行くようにしているのですが、時々専門学校の授業時間が変わっていて既にレジに多くの人が並んでいることがあります。
そんな時はやはり買うのをやめてしまいます。
日清食品によると、1971年のカップヌードル発売時、カップ麺の待ち時間を3分に決めたのには理由があったそうです。
その理由とは、「日本人が待つのに長くも短くもない心地よい時間」が3分だからということです。ただ、技術的には1分や5分でも作ることは可能で、タイでは国民性に合わせて1分にしているそうです。
また、シチズン時計の調査「スーパー、コンビニなどでのレジ待ちで、どのくらい待たされるとイライラしますか?」によると、「3分」(33%)が最も多く、以下ほぼ同数で「2分」(24.8%)、「1分」(24%)。「2分」までで半数弱(48.8%)がイライラしています。特に男性は54.6%と女性の41.7%を大幅に上回るとされています。
日高屋と日清食品の取り組み事例と、シチズンの調査から改めて時間と消費との関係の大切さを感じます。
この「時間」という新機軸で消費を捉えるということは、コンビニやスーパーでも今後ますます重要性を増してくるものと考えます。
そこで、注目をしたいのがエディやスイカに代表されるようなプリペイド(先払い)の電子マネーの登場です。週間ダイヤモンドによると、電子マネーによるレジ会計時間は通常の会計よりも約8秒短縮されているということです。
私もエディを使っていますが確かに会計は早いですよね。
並ぶお客の数が少なくなる上に、自分の会計時間が大幅に短くなるのですから、その体感は8秒以上のものがあります(体感気温と同じです)。
この体感が顧客満足度を向上させることにつながるのです。
コンビニ、スーパーの多くがいま自社カードの普及に取り組んでいます。そこで、会員の獲得と利用頻度アップの目的を「時間」という価値にも焦点を置いてほしいと思います。