「ハッピーローソン」の視察
ローソンが東京・日本橋にオープンした「ハッピーローソン」を見てきました。
この店舗は2007年6月末までの期間限定営業店です。店舗は日本橋三越百貨店斜め向かいの空き地にあり、いかにも仮設の店舗という感じでした。
同じ敷地内には、サーカスのテントを想わせるプラネタリウム(宮本亜門演出で話題の「北斎の宇宙」を上演中)や屋台村もあり、お昼時ということもあって結構にぎわっていました。
ハッピーローソンは、2005年11月にローソン30周年記念イベントとして行なわれた「未来のコンビニを考えよう」という論文コンテストから生まれました。このときに最優秀賞になったのが子育て中主婦の論文で、自分の「子育て応援コンビニとして、こんなコンビニがあったらいいな」という思いをアイデアにして応募したそうです。
まず「ハッピーローソン」の外観で目を引くのが、店舗入り口脇の壁に描かれている子供の顔のイラスト。これはローソンが進めている「ハッピー子育てプロジェクト」に賛同しているオランダの絵本作家ディック・ブルーナーによるものです。
また、コンビニではあまり見かけない2階建て構造、それも全体にガラス張りというのも特徴的です。さらに外観全体は黒を基調とし、商業地として開発が進められている日本橋の街並みにとてもマッチングしていました。
1階の売場は、通常のローソンとナチュラルローソンを融合したようなレイアウトと商品構成です。ただ、特徴的だなと感じたのは雑誌ゴンドラが2台しかなく、コミックや男性誌は取り扱いなし。そのかわりに、雑誌ゴンドラ向かいには新しいタイプの販売什器(ポーラス什器)が置かれ、絵本や育児関係書がディスプレイされていました。
また、カウンター前には小粒のチョコレートやビスケットなどの量り売り什器があり、思わず買ってみたくなる演出です。
2階はというと、壁や什器などはミッフィー・カラーで統一され、ベビーグッズ・ベビー雑貨・ミッフィーグッズ・絵本・玩具・お母さんの癒し系グッズなど、子育て中親子向け商品がいっぱいです。
うちの息子も小さい頃はミッフィーが大好きで、歯が生え始めた頃ミッフィー人形の耳をかじっていたのを思い出しました。
さらにお母さんが買物している間、子供が遊べるようにと大型遊具も設置されていて、アスレチック的要素を取り入れた室内公園のような作りになっています。これなら子供は飽きないどころか、なかなか帰らなくなるのではと思います。
その他に、休憩スペースはテーブル席とフローリングに分けて設けられています。ちょうど私が行ったときには、若いお母さんがフローリングのスペースで子供に離乳食を食べさせながら、安心して携帯でメールのやり取りをしていました。
開店してまだ1週間しか経たないため、本来の利用客というよりは私のような見学者が多いようで、2階には案内スタッフが待機し説明もしてくれました。
コンビニの既存店売上高は2004年8月以来、たばこの駆け込み需要のあった2006年6月以外前年同月を下回り続けています。
新たな顧客獲得が課題になっているコンビニ各社は、高齢者や女性の潜在ニーズの掘り起こしに取り組み中で、具体的な商品開発や売場展開を次から次と試しています。しかし、まだまだ成果が出てきていないのが現状です。
ハッピーローソンは新業態開発や既存店売上高改善のための位置づけではないと思います。あくまでも、「ローソンは女性、それも子育て中の女性に優しい」というイメージをアピールし、いままで来店していなかった女性の利用を拡大するための戦略的位置づけだと感じました。
ただ、話題性とマスコミへの露出度を見ると、ローソンの「社会的企業姿勢を示す」という戦略は、ある一定の成果を上げているのではないかと思います。