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2006-12-22

「ハッピーローソン」の視察

Photo_2 ローソンが東京・日本橋にオープンした「ハッピーローソン」を見てきました。
この店舗は2007年6月末までの期間限定営業店です。店舗は日本橋三越百貨店斜め向かいの空き地にあり、いかにも仮設の店舗という感じでした。

同じ敷地内には、サーカスのテントを想わせるプラネタリウム(宮本亜門演出で話題の「北斎の宇宙」を上演中)や屋台村もあり、お昼時ということもあって結構にぎわっていました。

ハッピーローソンは、2005年11月にローソン30周年記念イベントとして行なわれた「未来のコンビニを考えよう」という論文コンテストから生まれました。このときに最優秀賞になったのが子育て中主婦の論文で、自分の「子育て応援コンビニとして、こんなコンビニがあったらいいな」という思いをアイデアにして応募したそうです。

まず「ハッピーローソン」の外観で目を引くのが、店舗入り口脇の壁に描かれている子供の顔のイラスト。これはローソンが進めている「ハッピー子育てプロジェクト」に賛同しているオランダの絵本作家ディック・ブルーナーによるものです。
また、コンビニではあまり見かけない2階建て構造、それも全体にガラス張りというのも特徴的です。さらに外観全体は黒を基調とし、商業地として開発が進められている日本橋の街並みにとてもマッチングしていました。

1階の売場は、通常のローソンとナチュラルローソンを融合したようなレイアウトと商品構成です。ただ、特徴的だなと感じたのは雑誌ゴンドラが2台しかなく、コミックや男性誌は取り扱いなし。そのかわりに、雑誌ゴンドラ向かいには新しいタイプの販売什器(ポーラス什器)が置かれ、絵本や育児関係書がディスプレイされていました。
また、カウンター前には小粒のチョコレートやビスケットなどの量り売り什器があり、思わず買ってみたくなる演出です。

2階はというと、壁や什器などはミッフィー・カラーで統一され、ベビーグッズ・ベビー雑貨・ミッフィーグッズ・絵本・玩具・お母さんの癒し系グッズなど、子育て中親子向け商品がいっぱいです。
うちの息子も小さい頃はミッフィーが大好きで、歯が生え始めた頃ミッフィー人形の耳をかじっていたのを思い出しました。

さらにお母さんが買物している間、子供が遊べるようにと大型遊具も設置されていて、アスレチック的要素を取り入れた室内公園のような作りになっています。これなら子供は飽きないどころか、なかなか帰らなくなるのではと思います。

その他に、休憩スペースはテーブル席とフローリングに分けて設けられています。ちょうど私が行ったときには、若いお母さんがフローリングのスペースで子供に離乳食を食べさせながら、安心して携帯でメールのやり取りをしていました。

開店してまだ1週間しか経たないため、本来の利用客というよりは私のような見学者が多いようで、2階には案内スタッフが待機し説明もしてくれました。

コンビニの既存店売上高は2004年8月以来、たばこの駆け込み需要のあった2006年6月以外前年同月を下回り続けています。
新たな顧客獲得が課題になっているコンビニ各社は、高齢者や女性の潜在ニーズの掘り起こしに取り組み中で、具体的な商品開発や売場展開を次から次と試しています。しかし、まだまだ成果が出てきていないのが現状です。

ハッピーローソンは新業態開発や既存店売上高改善のための位置づけではないと思います。あくまでも、「ローソンは女性、それも子育て中の女性に優しい」というイメージをアピールし、いままで来店していなかった女性の利用を拡大するための戦略的位置づけだと感じました。

ただ、話題性とマスコミへの露出度を見ると、ローソンの「社会的企業姿勢を示す」という戦略は、ある一定の成果を上げているのではないかと思います。

2006-12-07

コンビニ・スーパーの商店街加入問題

コンビニエンスストアやスーパーなどのチェーン店に商店街加入を促すため、大分県が12月議会で商店街加入促進条例を制定するという記事が2006年12月3日(日)付の日本経済新聞朝刊に載っていました。

記事によると、
「商店街では空き店舗にコンビニやスーパーが進出する例が増えている。こうしたチェーン店はイベント、清掃などで商店街から恩恵を受ける一方、団体に加入しない店が多く『ただ乗り』批判が出ていた」
とあります。
そこで、大分県ではすべての小売事業者を対象に、商店街団体への加入と集客イベントや清掃などへの費用負担を求めるそうです。これらの条例には罰則規定がないため、どこまで効果が及ぶかが注目されるところだと思います。しかし、最近の大手企業はコンプライアンス問題を重要視しているので、条例に逆らうことはしないでしょう。

ただ、この記事で勘違いされては困ることが1点あります。
それは、同じコンビニといっても直営店ではない「フランチャイジー」店の多くは、商店街に加入しているということです。

私もセブンイレブンを経営していた時は、地元に住居も構えていましたし、商店街に加入しさらに商店街としての活動にも参加していました。
やれお祭りだ、年末福引だ、子供会のイベントだといっては、協賛金や賛助品などを求められました。また、お祭りで御輿をかつぐメンバーが足りないと言われ、アルバイトの子を参加させたこともあります(もちろん、勤務時間内に時給を払った上で、です)。

また記事には、
「負担増となる大手チェーンからは反発もでそうだ」
「条例が全国に広がれば、大手商業施設の郊外出店を規制するまちづくり三法改正に伴い中心市街地への回帰を探る流通・外食各社の出店戦略にも影響を与えそうだ」
とあります。
しかし、これはその企業の経営理念に問題があるのではないでしょうか。

コンビニやスーパーの商圏は大変狭く、いかにその地域に根を下ろして商売をするかが成功の鍵となります。商店街や地域のお客様に支えられて商売をし、利益を得ているにもかかわらず、その商店街・地域に参加しないというのは、利益の使い道に対する「社会的責任」の欠如だと思います。

大手チェーンの店長は2~3年で勤務地の異動もあり、地域に根ざした商売をするのは難しいことかもしれません。しかし、本社がはじめから商店街への加入も渋っているようでは、地域に根ざした「商売」をする店長を育てることはできません。

このような経営理念のもとで人材教育をしていれば、店の「運営」はできるが「商売」はできない人材を輩出してしまいます。
その結果は、といえば、コンビニでは、地域に根ざした視点でカウンセリングをすることができないスーパーバイザーを生み出し、スーパーや外食企業でも「商売」視点の欠如した管理職者が増加、そしてその企業は次第に出店地域からの信頼を失い競争力が低下することになるのではないでしょうか。

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