コンビニに対するエルダー世代の実態・意識調査
セブンイレブン・ジャパンが昨年11月、全国の30代~60代の一般男女・計2000名を対象に実施した「コンビニエンスストアに対するエルダー世代の実態・意識調査」の結果を見ると、50代~60代の人がいかにコンビニを上手に活用しているか、またコンビニを選ぶ際にどれだけ「お弁当」「おにぎり」を重要視しているかがよくわかります。
【調査結果の詳細はhttp://www.sej.co.jp/news/h18simo/121501.html】
コンビニを取り巻く環境、特に商圏人口の年齢構成は大きく変化しています。セブンイレブンでもお客様の平均年齢は36.6歳と、10年前と比較して5.5歳も上昇しているそうです。この調査結果は、今後コンビニにとって大きな課題となる「高齢化問題」や「団塊世代退職問題」に対して、進むべき方向性を示唆しているのではないかと思います。
【質問①】
「コンビニエンスストアになくてはならない商品」(複数回答)
1位:お弁当 62.3%
2位:おにぎり 59.5%
3位:ペットボトル 54.4%
4位:雑誌 22.1%
5位:サンドイッチ 17.2%
特に1位の「お弁当」は、60代男性で見ると68.8%が回答しており、その支持の高さに驚かされます。ただ、実際に売場にあるお弁当類を見ると、この年代の需要を十分取り込んでいないチェーンや店が多々見受けられます。48歳の私でも買いたい弁当がないコンビニが多いのですから、エルダー世代はなおさらだと思います。
2位の「おにぎり」では、50代女性だと64.7%、60代女性ではさらに高くなり69.6%、同年代の男性よりも10ポイント以上高い点が特徴的です。
この数値の違いはどこからくるのでしょうか。
ひとつは男女の「消費シーンの違い」にあるのではないかと思います。
別の質問:「お弁当・おにぎりを食べるシチュエーションは」では、男性エルダー世代(50代・60代)の77%が「1人で」と回答しています。これに対して女性エルダー世代では、50代で52.3%、特に60代では45.7%の回答にとどまっています。
女性エルダー世代がコンビニを利用して食事をする場面としては、「誰かとおしゃべりをしながら楽しく」という消費シーンが浮かんできます。友人同士が集まって一緒に昼食という時は、お互いにおかずやお菓子を持ち寄ってというシーンも多いのではないでしょうか。そんな時は「お弁当」よりも、それぞれ好みの「おにぎり」の方が食べやすいのかもしれません。
では、その「お弁当」「おにぎり」を購入するコンビニはどのような基準で選んでいるのでしょうか。
【質問②】
「コンビニエンスストアのお弁当やおにぎりを購入する際に重視している点」(複数回答)
1位:美味しさ 74.9%
2位:価格 66.4%
3位:種類の多さ 41.2%
4位:食材、品質 33.7%
5位:安全性 31.2%
この結果からコンビニ各店が今後エルダー需要を取り組んでいくためには、本部の商品開発力と販促活動が大切であることがよくわかります。
特に回答率の高い1位の「美味しさ」(女性60代では83.6%)、2位の「価格」、これらは加盟店ではどうすることもできません。
「おにぎりが美味しいのはやっぱりセブンイレブン」
というエルダーの声をよく聞きます。
確かにセブンイレブンは他チェーンに先駆けてお弁当やおにぎり、さらには調理麺などの品質向上に長年努めてきました。しかし、最近では他のチェーンも力を入れ始め、品質格差が縮小してきています。あとはいかに今までのイメージを払拭するかがポイントとなります。
セブンイレブン以外のチェーンは、美味しくなったお弁当やおにぎりを食べてもらう「機会(試食会など)」をどのように増やすか、ここに焦点を当てた販促活動がますます必要になってくるでしょう。
そして、加盟店がやらなければいけないことは「発注レベルの向上」です。
いくら美味しい商品ができても、時間帯別の品揃え量が不適切で、便ごとの商品が重なり、常に古い商品を売っていたのでは美味しさのアピールはできません。また、本部推奨の種類が増えても、発注量が不適切で、たびたび欠品をしていたのではお客様に失望感を与えてしまいます。
私はこの実態・調査報告書から「高齢化問題」や「団塊世代退職問題」への対応は、本部と加盟店がそれぞれの役割を明確にし、実行することではじめて可能になるということを再確認しました。