ついにコンビニ・スーパーも「ICタグ」導入?
「ファミリーマートが東京・池袋の2店舗で『ICタグ』を利用した買物実験を始めた」という新聞記事を見て、さっそく体験してきました。
実験店舗の「ファミリーマート南池袋二丁目店」に行くと、1台のレジカウンターの上一面に「EXPRESS POS」と表示された厚さ5~6センチほどの電子タグリーダーというものが置かれていました。いかにもハイテク機器だなと思わせるデザインが目を引きました。
新聞には、「店頭で扱う商品のうち三分の一に当たるおにぎり、弁当、デザートや飲料など約800品目に約2センチ四方のICタグ付きシールを添付」と書いてあったので、まずは弁当ケースにある商品を見たのですが…、よくわからない。
「ICタグだから、金属っぽいものだよなぁ」
「きっと、スポーツクラブの会員カードに付いているのと同じような…」
その私の先入観がいけなかったのですね。
ICタグは最近コンビニでよく見かける「お皿交換キャンペーン」シールのようなものでした (写真参照:帰ってから中身を出してみると極細の銅線がコイル状に巻かれていました)。
さっそく、ICタグシールが付いているパスタ2個を手に取りレジへ。
「EXPRESS POS」と書かれた電子タグリーダーにのせ、店のスタッフが何か操作をすると一瞬電子音が鳴り、レジ登録終了。
私はクオカードで支払いをお願いし、ものの5~6秒程度で会計が終了。
「早い!」
「すばらしい!」
買物カゴに入れたままでも、ICタグが付いているものは瞬時にレジ登録ができるので、バーコードを読み取るのは一部の商品だけで済むという店員の説明を聞いてますます感激してしまいました。
「ICタグ」とは、ICチップに様々な情報を記録し、無線アンテナを通じて外部とやり取りができるもので、バーコードに代わる商品識別・管理システムとして注目されています。
特徴としては、
①情報量が多い(記憶容量は最高約2キロバイト、バーコードの約150倍に相当)
②情報の書き換えが可能
③複数同時に読み取れる
④汚れに強い
などが挙げられます。
今回のファミリーマートの事例は実験段階ですが、実用化されている事例も多々あります(出典:YOMIURI ONLINE 大手町博士のゼミナール)
【事例Ⅰ】
大手百貨店の高島屋は、主要店舗の婦人靴売り場で、ICタグを使って客が靴の在庫をすぐに調べられるサービスを始めている。陳列されたICタグ付きの靴を、売り場にある読み取り機の上に置けば、別のサイズや色違いの商品の在庫が画面に表示される。
【事例Ⅱ】
高級食品スーパー「クイーンズ伊勢丹」は一部の店でワインの販売に活用している。ワインのボトルに付いたICタグを読み取り機にかざすと、産地や味わい、相性の良い料理などの情報が分かる。
この他にも図書館の書籍貸出業務管理や回転寿司の皿底に付けて精算をスムーズにするなど、利用範囲は広がりを見せています。
しかし、さらに実用化を進めるためには大きな課題が2つあるようです。
そのひとつ目は「コスト」。
現在のICタグは安くても1個20~30円程度するそうです。この価格では単価の高い靴や高級ワインに付けることができても、おにぎりやガムなどには無理ですね。ただ、量産型のタグは月に1億個程度生産すれば1個5円程度にはなるそうなので、期待は持てそうです。しかし、コンビニやスーパーの全商品につけることを前提にすると、5円でもまだ高いかも知れません。
ふたつ目の問題は、「個人情報の扱い」。
欧米では商品に付いたICタグが、店舗を出た消費者の行動を追跡する手段になりうるとして「スパイ・チップ」とも呼ばれており、一部の消費者団体が不買運動を起こした事例もあるそうです。
まだまだ解決しなくてはいけない問題はあるものの、ICタグの普及は人手不足と人件費負担増、売上減に苦しむコンビニやスーパーにとって、嬉しい技術革新だと思います。
というのも、ICタグが全商品に付けば検品作業はほぼ必要がなくなります。また、レジ会計の時間が短縮できるので、スタッフの必要人員を減らすことも可能となります。さらにレジ待ち時間短縮は、「お客様の時間的ストレス軽減」という副産物をもたらし、客数アップ(売上アップ)に結びつく可能性も生まれます。
ぜひ、1日も早いコンビニ・スーパーでのICタグ実用化を期待したいと思います。