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2007-03-25

フリーターの「ホームレス化」を防げ!

Photo_5 「ビッグイシュー」という雑誌を知っていますか?
ビッグイシューとは、ホームレスの人々に収入を得る機会を提供する事業として、1991年にイギリス:ロンドンで始まった雑誌です。

ビッグイシューの販売者は、現在ホームレスか、あるいは自分の住まいを持たない人たちです。最初、販売者は雑誌を10冊無料で受け取り、その売上金2000円を元手に、以後は90円で仕入れて200円で販売し、110円を自分の収入にすることができます。
販売員全員が行動規範に同意し、顔写真入りの販売者番号の入った身分証明書を身につけて雑誌を販売しています。
現在(3月)は、大阪、神戸、京都、名古屋、東京、千葉、横浜、青森、仙台、広島の主要駅前や繁華街が主な販売場所です。
(より詳しく知りたい方は、http://www.bigissue.jpまで)

私は日本でビッグイシューの販売が始まった翌年の2004年から定期的に買っています。主な購入場所は、池袋東口・御茶ノ水駅・有楽町などです。

そのビックイシューの67号(写真参照)の特集タイトルは、「フリーターの今と未来は?出口なき若者たち」。

記事によると、フリーターのホームレス化が始まっているらしいのです。
都心部ではマンガ喫茶で暮らし、携帯で明日の日雇い仕事を求める家なき若者が増えてきているといいます。
「もう4~5年住んでいる人もいます。27~28歳の男性で、日雇いで仕事をしているみたいです。こぎれいな普通のお兄ちゃんですよ。他にも若いホストとか、年配の人もいます」
という新宿のマンガ喫茶で働く店員の声も紹介されていました。

いま、フリーターのスポット派遣といわれる日雇いバイトは手取りで5000円程度。マンガ喫茶代はナイトパックという料金体系を利用すれば、一晩1500円程度だから3500円が残る計算になります。食べていくだけなら、やっていけない金額ではありません。
しかし、これでは部屋を借りるための敷金や礼金など、いつまでたっても貯まるわけがなく、定職にもつけない。さらに、ひとたび病気やケガをしてしまえば保険もないのだから、ホームレス化するしかないことがよくわかりました。

この記事を読んで、「フリーター問題はここまできているのか!」と認識を新たにしました。
また現在、低収入のフリーターがホームレス化していないのは、親の援助と資産による部分が多い点も指摘されていました。ただ、その親が今後定年を迎え、年金で暮らしていくことにも限界がきた時、その援助を受けることができなくなった「1人で生きる力のない年取ったフリーター」は、どうなるのでしょうか?

いま、コンビニやスーパーなど流通業の多くで、たくさんのフリーターが働いています。確かにフリーターは時間的な融通も利き、貴重で便利な労働資源だと思います。しかし、便利だからといってシフトを埋めるための「都合のよい人」という捉え方をしていないでしょうか。

若者達の「働く」ことに対する価値認識と理解は、単調な仕事の繰り返しの中で次第に麻痺していきます。その結果、働くことや自分自身が成長することの喜びを忘れ、生きることへのモチベーションが低下し、フリーターから抜け出せない人生を歩まざるを得なくなります。

政府は「フリーター25万人常用雇用プラン」として07年度予算案に218億円を盛り込み、雇用保険が提供する職業訓練の機会開放など雇用保険法やパートタイム労働法の一部を改正し、フリーターに能力開発の機会を広げる計画をしています。
また、「2年間でアルバイトと契約社員の5000人を正社員化」する計画を打ち出したユニクロのような企業も増えてきました。

では、コンビニやスーパーの店長・マネジャーには何ができるのでしょうか。
それは、仕事を通してスタッフひとり一人が働くことの喜びと自分自身の可能性を見つけ出し、自分に自信を持つ機会を提供することだと思います。

具体的には、売場担当(発注)を通してマーケティング的知識を学ぶことや、催事の企画・実行に参画機会を与えること、さらには新人や後輩の教育をする機会の提供、本部の資格試験へのチャレンジなどがあります。

これらのことが今の時代、フリーターを雇う側の「社会的責任と役割」であり、自分の店の売上と利益を増やすための基盤作りでもあると考えます。

2007-03-12

2007年「日経FCショー」に行ってきました

Fc 3月6日(火)~8日(木)の3日間、第23回「フランチャイズ・ショー&ビジネス・エキスポ2007」が東京ビックサイトで開催されました。今までに何回か見に行ったことはありましたが、今年は初めて出展者側として参加しました。

参加した立場は、(社)中小企業診断協会東京支部フランチャイズ研究会が毎年担当している無料相談コーナーの相談員です。私が担当した8日(木)は開催3日目最終日ということもあり、入場者数も午後から増え大変賑わっていました。

中でも特に目を引いたのが、会場入り口脇に大きなブースを構えた「アプレシオ」や「自遊空間」などの複合カフェ関係です。
一昔前までは「まんが喫茶」と言われ、コミック好きのアキバ系がマンガを読むためだけに集まっていた印象がありますが、現在は大きく様変わりしています。
たとえば、アプレシオの内容を見ると店内は清潔感があり、インテリアもモダンで落ち着いています。女性客が1人でも気軽に利用できるようにという配慮が感じられます。
さらに間仕切りされたブース席には、薄型液晶テレビに家庭用ゲーム機、光回線のインターネットやフルフラットのリクライニング席、コミックはもちろん、週刊誌から経済誌まであります。飲み放題のドリンクバーに、お腹が空けば本格的な食事も楽しめる。ビリヤードやダーツで遊んだり、マッサージを受けたりもできて、さらに汗ばんだ時にはシャワーも浴びられます。
利用料金は1時間600円、これなら休息の場として人気が出てきているのも頷けます。

次に目を引いたのは学習塾・幼児教室の多さです。今年は11社も参加があり、少子化の中でより教育費が集中されていることを物語っています。また同じ塾でも、クラス制より「ITTO個別指導学院」や「京信スクール・ワン」のような個別学習が主流になってきていることも、今年の特徴でした。

さらに小売業を見ると、循環型ビジネスのリサイクル関連本部が7社出展と目立ちました。反対にデフレ社会の象徴であった100円ショップの参加がなくなりました。ここにも時代の変化の反映を感じることができました。

コンビニ業界からの出展は、昨年全国47都道府県への進出を達成し、今年はさらに店舗拡大を目指す「ファミリーマート」と、MBOが成立して親会社レックス・ホールディングスの事業再構築が迫っている「am/pm」の2社です。
特にファミリーマートは移動用研修バス「SQC号」を会場に持ち込み、いかにファミリーマートの本部が加盟店へのトレーニング・バックアップ体制を整えているかをアピールする力の入れようでした。

それにしても、大きなものはエスバイエルに代表される「住宅販売」から、形の無いマッサージまでフランチャイズ・ビジネスは多様化し、事業の多角化と独立志向を背景に増え続けています。しかしその一方で、「フランチャイズは開業しやすくリスクが少ない」と安易な気持ちで加盟し、失敗例が増加しているのも事実です。

加盟する時には、あくまでも「フランチャイズとは、独立して商売をするためのひとつのツール(手段)」だと位置づけ、主体性を持って事業を始めていただきたいと思います。

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