フリーターの「ホームレス化」を防げ!
「ビッグイシュー」という雑誌を知っていますか?
ビッグイシューとは、ホームレスの人々に収入を得る機会を提供する事業として、1991年にイギリス:ロンドンで始まった雑誌です。
ビッグイシューの販売者は、現在ホームレスか、あるいは自分の住まいを持たない人たちです。最初、販売者は雑誌を10冊無料で受け取り、その売上金2000円を元手に、以後は90円で仕入れて200円で販売し、110円を自分の収入にすることができます。
販売員全員が行動規範に同意し、顔写真入りの販売者番号の入った身分証明書を身につけて雑誌を販売しています。
現在(3月)は、大阪、神戸、京都、名古屋、東京、千葉、横浜、青森、仙台、広島の主要駅前や繁華街が主な販売場所です。
(より詳しく知りたい方は、http://www.bigissue.jpまで)
私は日本でビッグイシューの販売が始まった翌年の2004年から定期的に買っています。主な購入場所は、池袋東口・御茶ノ水駅・有楽町などです。
そのビックイシューの67号(写真参照)の特集タイトルは、「フリーターの今と未来は?出口なき若者たち」。
記事によると、フリーターのホームレス化が始まっているらしいのです。
都心部ではマンガ喫茶で暮らし、携帯で明日の日雇い仕事を求める家なき若者が増えてきているといいます。
「もう4~5年住んでいる人もいます。27~28歳の男性で、日雇いで仕事をしているみたいです。こぎれいな普通のお兄ちゃんですよ。他にも若いホストとか、年配の人もいます」
という新宿のマンガ喫茶で働く店員の声も紹介されていました。
いま、フリーターのスポット派遣といわれる日雇いバイトは手取りで5000円程度。マンガ喫茶代はナイトパックという料金体系を利用すれば、一晩1500円程度だから3500円が残る計算になります。食べていくだけなら、やっていけない金額ではありません。
しかし、これでは部屋を借りるための敷金や礼金など、いつまでたっても貯まるわけがなく、定職にもつけない。さらに、ひとたび病気やケガをしてしまえば保険もないのだから、ホームレス化するしかないことがよくわかりました。
この記事を読んで、「フリーター問題はここまできているのか!」と認識を新たにしました。
また現在、低収入のフリーターがホームレス化していないのは、親の援助と資産による部分が多い点も指摘されていました。ただ、その親が今後定年を迎え、年金で暮らしていくことにも限界がきた時、その援助を受けることができなくなった「1人で生きる力のない年取ったフリーター」は、どうなるのでしょうか?
いま、コンビニやスーパーなど流通業の多くで、たくさんのフリーターが働いています。確かにフリーターは時間的な融通も利き、貴重で便利な労働資源だと思います。しかし、便利だからといってシフトを埋めるための「都合のよい人」という捉え方をしていないでしょうか。
若者達の「働く」ことに対する価値認識と理解は、単調な仕事の繰り返しの中で次第に麻痺していきます。その結果、働くことや自分自身が成長することの喜びを忘れ、生きることへのモチベーションが低下し、フリーターから抜け出せない人生を歩まざるを得なくなります。
政府は「フリーター25万人常用雇用プラン」として07年度予算案に218億円を盛り込み、雇用保険が提供する職業訓練の機会開放など雇用保険法やパートタイム労働法の一部を改正し、フリーターに能力開発の機会を広げる計画をしています。
また、「2年間でアルバイトと契約社員の5000人を正社員化」する計画を打ち出したユニクロのような企業も増えてきました。
では、コンビニやスーパーの店長・マネジャーには何ができるのでしょうか。
それは、仕事を通してスタッフひとり一人が働くことの喜びと自分自身の可能性を見つけ出し、自分に自信を持つ機会を提供することだと思います。
具体的には、売場担当(発注)を通してマーケティング的知識を学ぶことや、催事の企画・実行に参画機会を与えること、さらには新人や後輩の教育をする機会の提供、本部の資格試験へのチャレンジなどがあります。
これらのことが今の時代、フリーターを雇う側の「社会的責任と役割」であり、自分の店の売上と利益を増やすための基盤作りでもあると考えます。