「特定健診・特定保健指導」と品揃え
先日購入したオリジン弁当の新商品「バランス弁当(680円、467kcal:写真参照)に、「食事バランスガイド」というコマのイラスト(写真参照)が付いていました。
「食事バランスガイド」とは、望ましい食生活についてのメッセージを示した「食生活指針」を具体的な行動に結びつけるものとして、1日に「何を」「どのくらい」食べたらよいかの目安を分かりやすくイラストで示したものです。
(平成17年6月に厚生労働省と農林水産省が共同で策定)
コマは大きく4つの階層に分かれています。
最上段の黄色は、主食(ごはん、パン、麺類等)です。
2段目の緑色は、副菜(野菜、きのこ、いも、海藻料理)。
3段目のピンク色は、主菜(肉、魚、卵、大豆料理)。
4段目は2つに分かれ、紫色は牛乳・乳製品、青色は果物です。
コマは上部分が大きく、下にいくほど小さくなっています。つまり、1日の食べる必要量を表しています。また、コマの軸は「水・お茶」となっています。
ここで、大切なことは食事だけではありません。コマがきれいに回転するためには、回す紐が大切な役割を果たします。それは適度な「運動」なのです。
来年の4月から始まる医療制度改革の柱は、「特定健診・特定保健指導」です。この制度は、メタボリック症候群を早めに見つけ指導することで、糖尿病や心臓病など生活習慣病を減らし、国の医療費削減につなげることを目的としたもので、改善達成率も義務づけられた罰則付きです。
具体的には、企業など健康保険組合では、40~74歳の加入者のメタボリック診断を行い、腹回りの測定で内臓脂肪の蓄積度合いを推定。血糖値、脂肪値、血圧や喫煙歴などを加味して、受診者をリスクに応じて3段階に分類します。そのうち、「積極的支援」に分類された場合は、医師や保健師による保健指導の実施が義務づけられます。
こうなると、「メタボリック」と診断されることは、社内での評価にも影響を及ぼしかねません。今後は、コンビニでも私のように「食事バランスガイド」を意識して弁当などを買い求める中高年がますます増えてくるでしょう。
しかし、その一方で、最近コンビニでは「大盛り」サイズのお弁当やパスタ、デザートなどが次々と販売されています。
代表的なものとしては、ローソンの大盛り商品を集めて好評を得た「なつ得!フェア」(8月に実施)。
am/pmの「ドカ盛りミートソース」:パスタの量はなんと約400g。
サークルKサンクスの「カツ玉ハンバーグカレー」は、通常の2倍の重量があるカツ丼とハンバーグカレーを合わせた弁当で、手に取るとズッシリくる重さです。
ファミリーマートでは大容量にしたデザート「男のデザート」が人気で、特に「男のティラミス」(360円)はデザートの中で販売数トップとなっています。
これら大盛り商品の販売が好調な理由のひとつとして、健康志向の反動が挙げられています。高まる健康志向の流れに押されてカロリーを抑制してきたものの、「たまには思いっきり食べたい」という気持ちはよくわかります。
コンビニの利用客の年齢層が高くなってきているとはいっても、まだまだ過半数は若い男性です。メタボリックを意識する中高年男性客と大盛りサイズを求める20~30歳代の男性客、どちらのニーズにも対応していくことが、今後のコンビニには求められてくるでしょう。
数量だけでも発注予測は難しいのに、さらに細分化されたニーズに合った品揃えをしなくてはいけないのですから、コンビニに求められる発注レベルは今後ますます高くなりそうです。
「『メタボリック症候群』とは腹回りが男性で85cm以上、女性の場合は90cm以上で、かつ高血圧、高血糖、高脂血症の2つ以上に該当する人を指す。1つでも該当すれば予備軍となる。各項目の数値が極端に悪くなくても、重複することで心筋梗塞や脳卒中、糖尿病などの生活習慣病になる危険性は高まる。厚生労働省は同症候群の有病者と予備軍は40歳以上で男性の2人に1人、女性の5人に1人と推計している」とあります。