« 2007年8月 | トップページ | 2007年10月 »

2007-09-29

「特定健診・特定保健指導」と品揃え

Photo 先日購入したオリジン弁当の新商品「バランス弁当(680円、467kcal:写真参照)に、「食事バランスガイド」というコマのイラスト(写真参照)が付いていました。
「食事バランスガイド」とは、望ましい食生活についてのメッセージを示した「食生活指針」を具体的な行動に結びつけるものとして、1日に「何を」「どのくらい」食べたらよいかの目安を分かりやすくイラストで示したものです。
(平成17年6月に厚生労働省と農林水産省が共同で策定)

Photo_2 コマは大きく4つの階層に分かれています。
最上段の黄色は、主食(ごはん、パン、麺類等)です。
2段目の緑色は、副菜(野菜、きのこ、いも、海藻料理)。
3段目のピンク色は、主菜(肉、魚、卵、大豆料理)。
4段目は2つに分かれ、紫色は牛乳・乳製品、青色は果物です。
コマは上部分が大きく、下にいくほど小さくなっています。つまり、1日の食べる必要量を表しています。また、コマの軸は「水・お茶」となっています。
ここで、大切なことは食事だけではありません。コマがきれいに回転するためには、回す紐が大切な役割を果たします。それは適度な「運動」なのです。

来年の4月から始まる医療制度改革の柱は、「特定健診・特定保健指導」です。この制度は、メタボリック症候群を早めに見つけ指導することで、糖尿病や心臓病など生活習慣病を減らし、国の医療費削減につなげることを目的としたもので、改善達成率も義務づけられた罰則付きです。

具体的には、企業など健康保険組合では、40~74歳の加入者のメタボリック診断を行い、腹回りの測定で内臓脂肪の蓄積度合いを推定。血糖値、脂肪値、血圧や喫煙歴などを加味して、受診者をリスクに応じて3段階に分類します。そのうち、「積極的支援」に分類された場合は、医師や保健師による保健指導の実施が義務づけられます。

こうなると、「メタボリック」と診断されることは、社内での評価にも影響を及ぼしかねません。今後は、コンビニでも私のように「食事バランスガイド」を意識して弁当などを買い求める中高年がますます増えてくるでしょう。

しかし、その一方で、最近コンビニでは「大盛り」サイズのお弁当やパスタ、デザートなどが次々と販売されています。
代表的なものとしては、ローソンの大盛り商品を集めて好評を得た「なつ得!フェア」(8月に実施)。
am/pmの「ドカ盛りミートソース」:パスタの量はなんと約400g。
サークルKサンクスの「カツ玉ハンバーグカレー」は、通常の2倍の重量があるカツ丼とハンバーグカレーを合わせた弁当で、手に取るとズッシリくる重さです。
ファミリーマートでは大容量にしたデザート「男のデザート」が人気で、特に「男のティラミス」(360円)はデザートの中で販売数トップとなっています。

これら大盛り商品の販売が好調な理由のひとつとして、健康志向の反動が挙げられています。高まる健康志向の流れに押されてカロリーを抑制してきたものの、「たまには思いっきり食べたい」という気持ちはよくわかります。

コンビニの利用客の年齢層が高くなってきているとはいっても、まだまだ過半数は若い男性です。メタボリックを意識する中高年男性客と大盛りサイズを求める20~30歳代の男性客、どちらのニーズにも対応していくことが、今後のコンビニには求められてくるでしょう。

数量だけでも発注予測は難しいのに、さらに細分化されたニーズに合った品揃えをしなくてはいけないのですから、コンビニに求められる発注レベルは今後ますます高くなりそうです。


「『メタボリック症候群』とは腹回りが男性で85cm以上、女性の場合は90cm以上で、かつ高血圧、高血糖、高脂血症の2つ以上に該当する人を指す。1つでも該当すれば予備軍となる。各項目の数値が極端に悪くなくても、重複することで心筋梗塞や脳卒中、糖尿病などの生活習慣病になる危険性は高まる。厚生労働省は同症候群の有病者と予備軍は40歳以上で男性の2人に1人、女性の5人に1人と推計している」とあります。

2007-09-09

進化する「万引き防止策」 

9月5日(水)の日本経済新聞(夕刊)に、スーパー店長が「万引き男性殴り死なせる」という記事が載っていました。また2003年には、古書店で万引きして逃げた中学3年の男子生徒が踏み切りで電車にはねられ死亡するという事故がありました。このような事件や事故報道を見るたびに、「万引きをする側」と「される側」との“万引き”に対する大きな認識差を感じます。

私もコンビニエンス・ストアを経営していた時、「万引き問題」では大変苦労をしました。おそらく捕まえた万引き犯の数は50名を越えていると思います。捕まえた万引き犯は圧倒的にホームレスが多かったのですが、中には小学1年生の児童、近隣の会社のOL、1人暮らしのお年寄りなどもいました。

コンビニの営業利益率は10%程度しかありません。つまり、原価500円の商品を万引きされた場合、その10倍=5000円の売上を生み出さないと損失を埋めることができないのです。そのため、「万引きは犯罪だ」と認識していない万引き犯と経営者との間には、「万引き」に対する認識に大きな差が生じるのは当然のことだと思います。

ところで、最近では万引き防止策も大変進化してきているようです。
8月29日(水)の日経MJに、「万引き退治 製販一体で ソースタギング:メーカーが防犯タグ付け」という記事が掲載されていました。

∞∞引用開始∞∞
小売店への万引き被害が深刻になっている。少年犯罪が主体だった数年前と異なり、被害金額が高騰し、小売り側だけの対策では追いつかなくなってきた。そこでメーカーが製造段階から防犯タグを取り付けて出荷する「ソースタギング」に注目が集まる。これまでメーカー側はコスト増を理由に拒否一辺倒だったが、将来のICタグ導入を見据え、その姿勢に変化がみえる。
∞∞引用終了∞∞

「ソースタギング」とは、セキュリティタグを商品の製造や梱包、または物流段階で商品に装填・内蔵することです。このソースタギングが実現すると、販売店側には3つのメリットが生まれます。

まず、万引き対策にかかるコストが削減できることです。
現在は、店側でセキュリティタグを貼り付ける万引き防止策が一般的(高額商品)ですが、この時間的コスト(人件費)を削減することができます。

2つ目は、万引き抑止策としての期待です。
現在の防犯タグは店舗で商品の外側に貼り付けるスタイルです。しかし、ソースタギングになればパッケージの内側にも貼れ、万引き対策を施した商品かどうかが分かりにくくなり、万引き抑止力につながります。

3つ目は、売上アップが期待できることです。
ドラッグストアなどでは一部の高額商品は空箱展示をし、商品がほしいお客様は空箱をレジに持参して現物と交換するという手法をとっています。しかし、この手間を嫌がるお客様は意外と多いようです。ある医薬品メーカーの調査によると、空箱陳列から実物陳列に変えることで売上が2割アップしたというデータもあるそうです。

また、記事には「業態別のロス金額の売上構成比」一覧がありました。
■生活協同組合                 3.18%
■書籍・文具                      1.77%
■服飾・服飾雑貨               1.54%
■靴                                 1.39%
■酒類販売                       1.37%
■総合ディスカウントストア    1.34%
■スーパー                        1.23%
■楽器・CD販売                 1.01%
■コンビニエンス・ストア        0.78%
■ホームセンター・カー用品   0.75%
■その他専門店                  0.69%
■医薬品・ドラッグストア        0.64%
        (以下、省略)
【参考コラム:「棚卸減耗」と「万引」の相関関係

私は万引きが最も多いのは「書籍・文具」だと思っていましたが、意外にも1位に出てきたのは “生活協同組合(生協)”でした。

しかし、この表を見るときに気をつけなくてはいけない点がひとつあります。それは、この表はあくまでも「ロス金額」であり、「万引き」金額ではないという点です。ロス金額はいわゆる「棚卸減耗」といわれるもので、万引きの他に従業員による不正(いわゆる「内引き」)や検品ミス、さらにはレジでの登録ミスなども含まれます。生活協同組合の突出したロス率の高さは、万引きよりも店舗レベルの管理体制に問題があることが考えられます。

「万引きは犯罪です」というキャッチコピーがあります。
コンビニを経営している時、年1回程度開催される所轄警察の防犯会議にいくとよく聞かされました。特に子供の万引きを捕らえた際は親や学校への連絡のみで済まさず、かならず警察に連絡をしてほしいということを言われました。

「万引き⇒警察=犯罪」という意識を子供のうちに持たせないと、万引きを契機に犯罪に手を染めていくケースが多いのだそうです。

« 2007年8月 | トップページ | 2007年10月 »