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2007-10-28

働きがいは「賃金」より「自分の成長」

「離職率の“七五三”現象」――このテーマについては、5月21日号のコラム「離職率をさげる!『ジュニアコーチ』制度」でも取り上げました。特に最近は、「向上心の高い」「能力のある」人材ほど3年以内に退職するケースが増えてきているようです。

2007年10月1日(月)付の日本経済新聞朝刊に掲載されていた「働くニホン:現場発」に興味深い調査結果が掲載されていました。
(日経ネットPLUS会員にメールで呼びかけ、10歳代~60歳代以上までの男女3452人が回答)

Q.あなたが働きがいを感じる要素は何ですか(複数回答)

A.1位・・・自分の成長(46%)
  2位・・・達成感(43%)
  3位・・・職場への貢献42%)
  4位・・・仕事を通じた社会への貢献(40%)
  5位・・・顧客からの評価(36%)
  6位・・・会社からの評価(32%)
  7位・・・賃金(31%)
  8位・・・会社や組織の業績(23%)
  9位・・・出世(5%)
  ※調査の詳細については日経ネットPLUS(http://netplus.nikkei.co.jp

「自分の成長」が1位になっていることは、現代の働く環境を象徴しているのではないかと思います。

大企業や大手銀行ですら破綻し、自分の親世代は信じていた組織からリストラの対象とされ、終身雇用制度も形骸化している。また、毎日のように報道される老舗企業の消費者を欺くような行為。さらに、年金問題に代表されるような政治・社会システムに対する不信・不安はますます増大しています。
そうした中、何を信じて働き続ければ良いのか?

ひとつの答えが「自分の成長」なのだと思います。

組織や社会(国)に頼らず生きていくために、常に自分を成長させ自己価値を高めたいと思う人が増えてきているのです。この傾向は若い人ほど顕著です。

それでは今後、社員に「働きがい」を感じてもらうためには何をすべきなのか?
会社として取り組むべき方策は2つあると思います。

まずは、社員が成長を感じられるように上司や先輩が的確にフィードバックすることです。
これは日々の関わりと定期面談との2段階で対応することが効果的です。より効果的に進めるためには、上司や先輩が相手の抱えている問題や目標を把握し、その解決や達成に向けた行動を観察し、関わることです。
また、効果的なフィードバックができるように、上司や先輩にコミュニケーション・スキルを身につける機会を与えることも重要です。

2つ目は、次のステップにチャレンジできる仕組み作りです。
次のステップは組織の大きさによりさまざまだと思います。部署間の異動、職務の拡大、責任委譲など、できる範囲で選択肢を増やしておくことが必要です。

2つ目の方策ができている会社は比較的多いのですが、1つ目が形だけで実態が伴っていない会社が多々あります。定期面談は実施しているものの面談者にコミュニケーション能力がなく、日々の関わりも不足しているケースです。

このような会社は結果のみを重要視し、プロセスを軽視する傾向にあります。
社員のモチベーションを高め離職率を下げるには、まずはその社風から変えていく必要がありそうです。

2007-10-15

コンビニの利便性と防犯対策

コンビニエンスストアが誕生してから約30年、コンビニは全国のいたるところに店舗を構え、地域社会になくてはならない「生活インフラ」としての地位を確立しています。しかし、その一方で、サービス業務が次から次に付加されることは、店舗経営側にとって業務負担が増すと同時に、さまざまな問題と不安要因となっています。

2008年1月4日から大手コンビニチェーン約10社:全国4万店で、国税納付が可能になる予定です【10月7日(日)付・日本経済新聞・朝刊】。
対象は納税額が確定している国税(所得税・法人税)で、上限は30万円。
所得税の場合、個人事業主や高額所得者らの予定納税が主な対象で、対象者は年間150万人ほどいます。コンビニ納税は自動車税などの地方税が先行しており、2004年に東京都などが初めて取り入れ、今では全国に広がっています。2006年度には東京都の自動車税収のうち、約3割はコンビニで取り扱われました。

政府がコンビニ納税を進める理由は2つあります。
まず、納税拠点を増やし利便性を高め、滞納者を減らすことです。
現在、国税の納付は税務署だけでなく全国の銀行や郵便局でも可能です。しかし、夜間や休日は窓口が開いていないため、期限までに収められない人が増えているのが現状です。
2つ目は徴税コストの削減です。
最近は小額滞納者が増加しており、事務コストは増加傾向にあります。国の徴税コストは税100円当たり1.45円(2005年度)ですが、コンビニを利用すれば税額に関わらず1件当たり数10円の手数料で済みます。

この記事を読んで、
「国税の扱いが始まると、店側のお金の取り扱いが大変になるなぁ…」
と思っていたところ、同じ日の社会欄に、
【19歳と15歳少年逮捕 大阪・コンビニ店員刺殺事件 強盗容疑などで】
という記事が掲載されていて、不安と心配がより大きくなりました。

コンビニ強盗は2003年の742件をピークに、04年=376件、05年=374件と一時は減少したものの、06年には527件、07年は6月末までで230件と増加傾向にあります。【数値は警視庁調べ:「深夜におけるコンビニエンスストア・スーパーマーケットを対象にした強盗事件の認知件数の推移」】

いまでもコンビニの代行収納業務は多岐にわたっており、扱い金額も増加傾向にあります。特に電話代、電気代等の光熱費、保険料などは25日(一般的に給料日)から月末に支払いが集中し、代行収納金額の合計が1日の商品売上金よりも多いというコンビニが増えています。

私も実際にコンビニのレジに立っていた経験があるからわかるのですが、保険料や税金など多額の代行収納業務を取り扱う時は大きなプレッシャーがあります。それは、受付ミスをしてはいけないという緊張感と周囲の目です。
周囲の目に対するプレッシャーとは、「いま、レジに多額のお金が入ったということをレジに並んでいるお客様や店内にいる人に見られている」ことに対する不安と緊張感です。

上記の大阪コンビニ店強盗事件に対するチェーン本部のコメントが毎日新聞に掲載されていました。その記事によると、

本部は対策として
■深夜勤務の店員は最低2名
■レジに多額の現金を置かない
■非常通報装置やカラーボールを活用する
など指導をしている。

ということですが、これだけでは働くスタッフと経営者の不安を取り除くことはできません。このような事件が頻繁に発生すれば、コンビニで深夜働こうと考える求職者はますます少なくなり、円滑な経営を阻害します。

代行収納業務の取り扱い範囲を増やすことが、来店頻度の向上につながることは認めます。しかし、それ以上に加盟店(働く人)に新たな不安とリスクが発生するのだということを十分認識し、コンビニチェーン各本部にはより時代の変化に対応した防犯対策を講じてもらいたいと思います。

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