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2008-01-23

2007年度「コンビニエンス・ストア年間動向」分析

先日、(社)日本フランチャイズチェーン協会(JFA)から、2007年1月~12月の「CVS統計年間動向」の発表がありました。http://jfa.jfa-fc.or.jp/tokei.html
この統計はJFA正会員のコンビニチェーン11社を対象に調査されたものです。
【調査の対象】
㈱エーエム・ピーエム・ジャパン、㈱ココストア、㈱サークルKサンクス、㈱スリーエフ、㈱セイコーマート、㈱セブン-イレブン・ジャパン、㈱ディリーヤマザキ、㈱ファミリーマート、㈱ポプラ、ミニストップ㈱、㈱ローソン

まず、全店の年間売上高を見ると、7兆3631億円(前年比101.3%)既存店の年間売上高は、6兆8134億円(前年比99.0%)となっています。
店舗数が40,929店と前年よりも0.8%増加したため、全店の年間売上高は前年を上回りましたが、既存店は9月を除いて前年割れの月が続いた厳しい年となりました。9月は全国的に気温の高い日が続いたことと、前年同月は1回であった3連休が2回あったことが売上好調の要因だと思われます。

次に来店客数を見ると全店ベースでは年間を通して前年を上回り、125億441万人(前年比102.2%)既存店ベースでは116億4111万人(前年比100.1%)と、既存店の売上高は前年を回復していないものの、来店客数は回復傾向にあることがわかります。

一方、客単価を見ると、全店・既存店ともに前年同月のたばこ増税に伴う買い控えの反動でプラスになった7月を除いて、すべての月で前年を下回っています。この傾向はJFAの統計データがある平成11年以降、続いています。
全店ベースの年間平均客単価588.8円(前年比99.2%)既存店ベースでは585.3円(前年比98.9%)となっています。

では、客単価低迷の要因がどこにあるのか、まずは商品構成別売上状況を見てみましょう。
※( )内は構成比率
■日配食品(36.2%)・・・前年比 100.6%
■加工食品(31.8%)・・・前年比 99.7%
■非食品(27.8%)・・・前年比 103.5%
■サービス(4.3%)・・・前年比 106.8%

加工食品がスーパーやドラッグストアなどの安売りに影響を受け、若干前年を下回っていますが、日配食品・非食品・サービスの構成比と伸びでマイナス分は十分カバーされています。
ということは、上記4商品分類以外に要因があることになります。

それは【代行収納業務】を利用したお客様だと、私は見ています。
商品構成別売上の4番目に「サービス」とありますが、これは宅配便・DPE・各種チケット・クリーニング・FAXなどを利用したお客様の売上であり、電気・電話・水道・税金・ネット決済などの代行収納業務分は含まれていません。

しかし、これらを利用したお客様は、まったく買物をしない場合でもレジの客数には含まれます。また、買い物をしていただいたとしても、主目的が代行収納業務の利用であるため、一般のお客様より買上金額(点数)が少ない傾向にあります。

2007年中間決算を見ると、セブンイレブンとローソンでは上記の公共料金等の代行収納業務取扱額が、初めて物販収入(チェーン全店売上高)を超えました。2008年2月期決算では、ファミリーマートを含めた大手3社が物販収入を超える見込みです(日本経済新聞2007.12.11)。

今後、コンビニ各社の業績は、代行収納業務サービスを目的に来店されたお客様に、「いかに商品をお買上いただくか」にかかっているといっても過言ではありません。

これを、個店の「接客」や「POP提示」等にのみ頼るのではなく、チェーン全体のシステムとして作り上げる“マーケティング力”と“革新性”を各本部には期待したいものです。


【お知らせ】

2008年3月11日(火)~13日(木)に、東京ビックサイトで開催される「日経フランチャイズ・ショー」(日本経済新聞社主催)の公開セミナーを担当することになりました。
http://www.shopbiz.jp/top/index_FC.html?PID=0003&TCD=FC

■担当日時
3月12日(水)11:00~12:10  《会場入場・セミナーともに無料》

■テーマ
加盟前から知っておく「パート・アルバイト採用難・定着難時代の備え方」
※「加盟前」となっていますが、開業中の方もぜひお越しください。

■内容
フランチャイズ・ビジネスの多くが、その労働力をパート・アルバイトに依存しています。しかし、近年では「募集を出しても集まらない」「採用してもすぐ辞めてしまう」という声が加盟店から多く聞かれます。そこで、本セミナーでは今後ますます厳しくなる「採用難・定着難時代」を乗り切り、安定した経営と人材育成を実現するための「募集・採用のポイント」と、多くの加盟者が軽視しがちな「定着化・活性化のポイント」について解説します。

2008-01-07

商品バーコードで販売期限識別

昨年は、1月の【不二家による「消費期限切れ原料使用」】問題に始まり、6月の【ミートホープ「原料の食肉偽装」】、8月の【石屋製菓「白い恋人の消費期限改ざん」】、10月の【赤福「製造日改ざん」】、11月の【マクドナルド「調理日時偽装」】、同じく12月の【ローソン「賞味期限切れおでん販売」】と、食品偽装問題が相次いだ年でした。

このような問題が発生する最大の要因は、経営者や現場責任者の「商売に対する倫理観の問題」だと思います。しかし、経営状況が厳しくなり、資金的にも追い込まれていくと、「もう少し販売期限を延ばしてもいいじゃないか」などと“悪魔のささやき”が聞こえてくることがあります。

そんな声が聞こえたとしても、ほとんどの人は会社・チェーン(店)のロイヤルティ維持から思いとどまるものです。
しかし、いつでも“悪魔のささやき”に勝てるとは限りません。

「だから、牽制する仕組みが必要なんだよなぁ…」
などと年末年始に考えていたところ、1月3日(木)付の日本経済新聞朝刊に「バーコードで期限識別」という記事が出ていました。

∞∞∞∞∞∞引用開始∞∞∞∞∞
大手小売業のイオン、セブン&アイ・ホールディングスや食品メーカーの森永乳業など17社・団体は、消費期限や製造工場などがわかる新型バーコードを導入する検討に入った。レジで期限切れを自動的に警告するシステムに活用できるのが特徴で、2010年をメドに国内での普及を目指す。
(中略)
新型の場合、メーカーは同じ製品でも消費期限が異なれば、違うバーコードを印刷する必要がある。小売り側のレジでも読取りシステムの調整などが不可欠。コストは増すが、食の安全・安心を守ることが重要と判断した。
∞∞∞∞∞∞引用終了∞∞∞∞∞

Photoこの期限識別システム、セブンイレブンではずいぶん昔から導入されていました。確か、私が2001年に経営コンサルタントとして独立する以前からあったと思います。

セブンイレブンの「期限識別システム」は、お弁当や惣菜、オリジナルのパンなど、いわゆるインストアマーキング(※)商品のみ対応ですが、スタート時は素晴らしいシステムだと思いました。
(※)特定の店舗やそのチェーン店内だけで利用可能なバーコード。

コンビニでは1日1回~3回程度、商品群ごとに鮮度チェックをします。しかし、売れずに商品がダブつくと、いくつもの販売期限商品が混在し、撤去漏れ発生の可能性が高くなります。時には、お買上になったお客様から指摘され、お叱りを受けることもありました。

それが、「期限識別システム」が導入されてからは撤去漏れが大幅に減ると同時に、お客様から「ここまで販売期限漏れに対応しているから安心だ」と信頼の声も多く寄せられるようになりました。

現在は、上記の頃と比較にならないほど情報技術は進化し、システム構築等の費用も低下しています。ぜひ、小売業とメーカーが手を組んで、安全性を確認できるシステムを構築し、消費者の信頼を回復してほしいと思います。


【お知らせ】

2008年3月11日(火)~13日(木)に、東京ビックサイトで開催される「日経フランチャイズ・ショー」(日本経済新聞社主催)の公開セミナーを担当することになりました。http://www.shopbiz.jp/contents/FC/11_093.phtml

■担当日時
3月12日(水)11:00~12:10  《入場無料》

■テーマ
加盟前から知っておく「パート・アルバイト採用難・定着難時代の備え方」
※「加盟前」となっていますが、開業中の方もぜひお越しください。

■内容
フランチャイズ・ビジネスの多くが、その労働力をパート・アルバイトに依存しています。しかし、近年では「募集を出しても集まらない」「採用してもすぐ辞めてしまう」という声が加盟店から多く聞かれます。そこで、本セミナーでは今後ますます厳しくなる「採用難・定着難時代」を乗り切り、安定した経営と人材育成を実現するための「募集・採用のポイント」と、多くの加盟者が軽視しがちな「定着化・活性化のポイント」について 解説します。

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