「エキタマ」に見る“駅ナカ”の変化
JR東日本ステ―ションリテイリングが東京・JR田町駅構内にオープンした「エキタマ」を見てきました。エキタマの開発コンセプトは「駅に新しいたまごを産み出す」ということですが、店舗を見ると“たまご”というよりもコクーン(まゆ)をイメージさせるようなデザインでした(写真参照)。
【営業時間:平日午前8時~午後9時。土日祝日は休業】
エキタマが販売しているのはホットドックです。
しかし、ただのホットドックではありません。ソーセージは豚肉の最高峰といわれる金華豚と三元豚を使用した平田牧場のもの。
【平田牧場】 http://www.hiraboku.info/
さらに、パンは石窯で丁寧に焼いたタカキベーカリーのものを使用しています。
【タカキベーカリー】 http://www.takaki-bakery.co.jp/
イチ押しメニューはシンプルな「ヒラボクプレーンドック」(280円)ということでしたが、野菜好きの私としては「香りほおばるシャキシャキバジル」(370円:写真参照)を注文しました。野菜たっぷりの上にバジルソースがトッピングされ、ネーミングぴったりの香り豊かな商品でした。この野菜やサイドメニューのサラダなどはデパ地下:サラダ惣菜売り場で有名なRF-1と提携をしています。
ただ、このエキタマはホットドック店として展開していく計画ではありません。4月2日(水)日経MJのエキタマ紹介記事を見ると、
「楽しいモノ」や「新しいコト」を発信する店舗を目指している。だから、販売する商品に制約はない。今後新店を展開する際には、現在の店舗形態を生かしながら別の商品を広げる見通しだ。
と書かれていました。
コンビニやスーパー、さらには飲食店にとって「駅ナカ」はますます競合としての位置づけが強まりそうです。そのことが「2007年商業統計」にも明確に現れています(2008.4.7.日経MJ)。
∞∞∞∞∞∞∞記事要約:開始∞∞∞∞∞∞∞∞∞
今回の商業統計は鉄道駅の改札内に立地するいわゆる「駅ナカ」店舗を初めて調査した。これによると、駅改札内にある事業所は1960店。年間販売額は2337億6千万円、12600人強が就業している。売り場面積1平方メートル当たりの販売額は小売業平均の約8倍に達し、群を抜いて販売効率が高いことが明らかとなった。駅ナカの実力が際立つのは505万円に達する1平方メートル当たりの販売額。小売業平均の65万円を大きく上回る。書籍・雑誌小売業は11倍強。コンビニエンスストア業態(161事業所)も3倍の421万円だった。
∞∞∞∞∞∞∞記事要約:終了∞∞∞∞∞∞∞∞∞
確かにコンビニ平均日商を見ても、JR東日本が展開するコンビニ「ニューデイズ」は2007年中間期決算で662千円(前年通期比8.7%増)と、セブンイレブンの平均日商:606千円(前年通期比0.7%減))を大きく上回っています。
この逆転現象は、JRのキオスク閉店縮小(2007年3月末:813店⇒9月末:685店)に伴うニューデイズの日商増ということもありますが、それよりセブンイレブンの日商減が大きな要因であると思います。
私はコンビニの客単価低迷要因のひとつとして、「駅ナカ」の商業施設充実があると考えています。
例として、今までは仕事の帰りに自宅近くのコンビニで夕食(つまみ類含む)とビールを購入していた独身男性の購買行動を挙げることができます。
【会社 ⇒ ターミナル駅 ⇒ 最寄り駅 ⇒ 帰宅途中のコンビニ ⇒ 自宅】
この帰宅ルート中の「ターミナル駅」または「最寄駅」にスーパーや惣菜の持ち帰り店等が増え、品揃えも充実しています。さらに、夜7時~9時頃の間には値引き販売もされています。すると、当然のように夕食やつまみは「駅ナカ」で購入した方が選び甲斐があるし、お得ということになります。その結果、自宅近くのコンビニではビールしか購入する必要がなくなり、客単価が低下するということです。
JR東日本ステ―ションリテイリングでは大宮、品川、立川で成功した「エキュート」に続く新しいプロジェクトとしてエキタマを位置づけ、他の駅でも展開をしていく予定です。
今後ますます「駅ナカ」の変化には目が離せなくなりそうです。