「食の安全・安心」を商機に変える
「いなだ鰤」という食品をご存知でしょうか?
「いなだ」はいわゆる出世魚、東京付近ではワカシ⇒イナダ⇒ワラサ⇒ブリの順に成長につれ呼び名が変わります。
その鰤を半年以上軒先につるし、手間暇かけて干物にしたものが、能登半島氷見周辺で昔から伝わる伝統食品「いなだ鰤」です。流木のようになった鰤をのこぎりで引いてスライス片になっているもの(画像参照:10g966円)をかるく火で炙り、口に含むと、かむうちに鰤の脂と潮の香りが口の中に広がり、冷えた純米酒との組み合わせは至福のひと時をもたらしてくれます。
この「いなだ鰤」、どこでも手に入るものではありません。
私が買い求めたのは、渋谷:西武百貨店(東京)の地下食品売り場にある「平翠軒コーナー」(画像参照)です。私は平翠軒を日経MJの4月13日号で知りました。
∞∞∞∞∞日経MJより一部抜粋∞∞∞∞∞
岡山県倉敷市。古い町並みが残る美観地区に平翠軒はある。約100㎡の店内には珍味や海産物、肉加工品、調味料など1000~1100点がずらりと並ぶ。百貨店の熟練バイヤーが「初めて見た」とうなる逸品ばかり。1年間で新たに店頭に並ぶ商品は約150点に上る。
各商品に添えられたPOP(店頭販促)広告は森田が文を練り、径子夫人が一枚一枚和紙に筆でしたためたもの。作り手や製法、食べ方まで内容は様々。照明をあえて抑えているので、じっくりと読むことになる。結果的に滞在時間が延び、店内に5時間いた客もいる。
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社長の森田氏はもともと造り酒屋を営んでいました。しかし、冒頭で紹介した「いなだ鰤」と出会ったことで、自然への畏怖と、風土や素材と向き合うモノづくりの素晴らしさを再確認、酒造りに改めて向き合うとともに「そんな商品を集めた店を作ろう」と決意し、3年がかりで全国各地を訪ね歩き、約150点の商品を集め「平翠軒」を立ち上げたそうです。
いま、「食の安全・安心」に対する消費者意識の高まりから、平翠軒の商品は百貨店にもならび、全国に広がっています。
このような流れは百貨店や専門店特有のものではありません。最近では、全国展開しているコンビニエンスストアも地方自治体と連携を強化し、地元の食材を利用した弁当やお惣菜の開発に力を入れ始めています。
セブンイレブンでは、奈良県で地元産の大豆やシイタケを使用した弁当を販売。価格が550円と通常の弁当よりも割高にも関わらず、1店当たり1日30個も売れているそうです。この数字はコンビニで販売している弁当単品としては異例の売れ行きです。
また、自治体との連携は農協や生産者からの商品調達が容易になると同時に、自治体のキャラクターなど認証マークもつけることが可能なので、主婦やお年寄りにも安心感を持って買ってもらえ、客層の拡大にも貢献しているようです。
最近は、新聞や雑誌等で「地産地消」というキーワードを目にする機会が増えました。「食の安全・安心」問題から、多くの人が地元の食材や食文化に関心を持つことは大変有意義なことだと思います。
5~6年前に注目を浴びた、その土地の伝統的な食文化や食材を見直す運動である「スローフード」、いま一度取り組むことが必要な時期なのかも知れません。

