進化するスーパーのメニュー提案
妻:「今日のお夕飯、何か食べたいものある?」
夫&子供:「別に、なんでもいいよ」
「霜降りのステーキが食べたい!」
「国産のおいしいうなぎが食べたい!」
「すきやきが食べたい!」
と好き勝手を言われても家計は限られているので困りますが、日々の食事を準備する主婦にとって「別に、なんでもいいよ」という返事が一番困るそうです。いつの時代も、夕食の献立を考えることは主婦の「悩みの種」のようです。
そこで、最近はスーパーの食品売り場でメニュー提案が盛んに行われています。ただその多くが、売りたい商品(特売商品)を食材として活用したメニューを実演と紙ベースのレシピで提案し、使用する食材や調味料を一括陳列して購入を促しているのが現状です。
とはいえ、夕食の準備のためスーパーに買い物に来ている主婦の約8割は、献立を決めていないともいわれますので、このようなメニュー提案は来店客に向けた有効な販促手法にはなると思います。
しかし、このレベルの取り組みでは買い物や夕食の準備が楽しくなるような付加価値=「コト」としては不十分であり、“来店動機”として主婦を引きつけるにはインパクト不足だろうと感じていました。
そんな折、6月13日(金)の日経MJ:「ヨーカ堂売り場を刷新『栗原はるみさんとタッグ』料理提案コーナー」という記事が目にとまりました。
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イトーヨーカドーは、料理研究家で主婦に人気の高い栗原はるみさんと組んで、店舗メニュー提案コーナー「クッキングサポート」を刷新する。本格的な調理器具や家庭の雰囲気のある装飾を取り入れるほか、栗原さんが考案したメニューを分かりやすく提案できるよう、スタッフの教育にも力を入れる。
イトーヨーカドーは栗原さんと「イメージキャラクター」の契約を結んだ。新タイプのクッキングサポートは30平方メートル前後で、まずアリオ亀有店(東京・葛飾)、大森店(東京・大田)の食品売り場内に導入した。
∞∞∞∞∞∞∞∞引用終了∞∞∞∞∞∞∞∞
早速、アリオ亀有店に出かけてきました。
新しいメニュー提案コーナー「クッキングサポート」は、ヨーカ堂の食品売り場奥、食器売り場と隣接した場所にありました。全体的に白を基調にとても明るく、レストランのオープンキッチンを思わせるようなコーナーです。栗原はるみさんのクッキング本や大きな瓶に入った色とりどりのパスタがディスプレイされており、とても楽しい雰囲気が演出されていました(画像参照)。
また、コーナーには[栗山はるみさんのレシピ実演中(画像参照)]というポスターが掲げられ、“うなぎの混ぜずし”の試食とモニターによる栗原はるみさんの調理法実演が行われていました。
私も試食をさせていただきましたが、ちょうど最高気温28度と暑い日だったこともあり、さっぱりとした“混ぜずし”がとても美味しく感じられました。また、紹介コーナーの右横にあるオープンケースでは【本日特売】の国産うなぎ蒲焼をはじめ、みょうが・青じそ・すだちなどの食材が販売されており、試食の後、レシピと一緒に買い物かごに入れているお客もいました(画像参照)。
単なるメニュー提案だけではなく、主婦に人気のある「栗原はるみさん」監修というブランド価値を加えたことで、メニュー提案コーナーと試食メニューの価値も大きくアップしていることがよくわかります。おそらく、このコーナーの売上のみでは採算は取れないと思います。しかし、来店を促す大きな動機づけにはなると思います。
ただ、1点だけ「改善した方が良いのでは…」と思うことがありました。
それは、食材の販売方法です。レシピに4人分の食材として、「キュウリ2本」「みょうが2個」「すだち2個」とあるのですが、コーナー横で販売されていた商品は全て3個入りでした。
また、最近では夫婦二人のみという家族構成の買い物客も多いと思います。そんな人向けに前述の各食材を1個ずつ入れたパック商品も販売すべきではないでしょうか。
最近の消費者は無駄を出すことを嫌う傾向が強いので、多少割高であってもこのような商品があれば、提案メニューを作ってみようという気持ちが一層強くなり、このコーナーの付加価値がよりアップするはずです。