ベルギービールの季節
昨日、近くのコンビニエンス・ストアに「ザ・プレミアム・モルツ」350ml缶(サントリー:249円)を買いに行ったのですが売り切れており、仕方なく普通の「モルツ」350ml缶(同:207円)を買いました。週末ぐらい少し高くても美味しいビールを飲みたいと思っていたのにガッカリです。私に失望感を与えたうえ、このコンビニは1本あたり42円も機会損失をすることになりました。
ビールの販売量は1994年をピークに低下が続いています。要因として考えられるのは、まず若者がビールを飲まなくなっている点です。
サントリーが5月に実施した調査によると、
1週間に1回以上ビール系飲料を飲む人は40代で男性が62.4%、女性が42.4%に対し、20代では45.6%、25.0%と若年層ほど飲まない姿が鮮明になっている。
2007年のビール飲料の課税出荷量はピーク時の1994年に比べ13%減の628万キロ㍑に減少。[2008.7.16 日経MJ]
次に挙げられる要因は、1995年からの「発泡酒」、2004年からの「第3のビール」の発売です。景気の低迷と同時に消費者の節約志向は強まり、ビールから「発泡酒」⇒「第3のビール」への乗換えが加速度的に増加しました。
さらに、昨年からはメタボリック(内臓脂肪)症候群対策を意識する消費者が増えたために、健康志向をアピールした「糖質・糖類ゼロ」「カロリーオフ」などの発泡酒が数多く発売され、ますますビールの販売量は低下しています。
しかし、そのようにビールが売上低迷を続ける状況の中、売上を伸ばしているビールもあります。それが、冒頭で紹介したサントリーの「ザ・プレミアム・モルツ」に代表されるちょっと贅沢なプレミアムビールです。
そして、その極めつけは何といっても「ベルギービール」でしょう。
「ベルギービール」は、中世に修道僧が作ったのが始まりだといわれています。ベルギーは冷涼な気候でワイン作りに適したブドウを育てることができなかったため、穀物を原料とするビールを作るようになりました。
ベルギービールは香辛料などを加えて作るものが多く、アルコール度数が5~10%と高いのも特徴のひとつです。
以前は酒販店や百貨店などに販路が限られていましたが、最近では一般のスーパーでも扱う店が増え、2007年に日本がベルギーから輸入したビールの量は206万3268㍑と、2002年の約2倍にまで増えています(資料出所:財務省)。
これから秋に向かいビールの売上は低下傾向にありますが、コクがあり、ホップの強い苦味や果実のような酸味のあるタイプなど、味や香りの種類が多いベルギービールは週末に美味しい料理と合わせ、ゆったりと味わうのに最適のビールです。
この秋、プレミアムビールや黒ビールなどが売れているスーパーやコンビニで、ベルギービールを数種類扱ってみることをお薦めします。ベルギービールが客単価の高い顧客を誘引するひとつの契機になるかもしれません。
以下、私のお薦めベルギービールを3種類紹介しておきます。
■デュベル 《525円、容量330ml、アルコール度数8.5》
現地の言葉で「悪魔」を意味する「デュベル」。「世界一魔性を秘めたビール」と称されるゴールデン・エールの最高峰。1918年以来、独自の酵母を用いたオリジナルなレシピが現在も守られ、2ヶ月にわたる長い熟成とビン内二次発酵がその繊細な香りと絶妙な苦味を生み出す。スプーンですくって食べられるほど豊かな泡が特徴。スパイシーな香りがホップ苦味と調和し、キレが良く、食中や食後にも合う。
■オルヴァル 《630円、容量330ml、アルコール度数、6.2》
世界中7ヶ所のタラピスト修道院で造られる「トラピスト・ビール」のひとつ。ドライホッピングによるホップの香りが豊かなビール。トラピストビールの最高峰といわれる。独特の苦味とホップのさわやかな香りが持ち味。食前酒としても最適。
■ドゥシャス・デ・ブルゴーニュ 《562円、容量330ml、アルコール度数、6.2》
ヴェルハーゲ・ヴィヒト醸造所が造る、ベルギーのフランダース地方に古くから伝わるレッドビールの傑作。オーク樽熟成が醸し出す独特の酸味と、上品な甘さの絶妙なハーモニーが特徴。特有の酸味と果実のような甘さが赤ワインのよう。いままでのビールの概念を変えてくれる一品。ビールの苦味を嫌う女性や若者におすすめ。