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2008-09-25

「ザ・プライス」と家計防衛策

今週号の日経ビジネス:特集記事のテーマは「立ち枯れ家計」です。
この特集では、1700世帯の家計調査から「収入減」「物価上昇」「株価下落」の3要因が50歳代の家計を苦境に追い込んでいる現状を浮き彫りにしています。

また、全世代を対象にした「どのような値上げ対策をしているか?」というアンケート結果を見ると、実に6割以上の人が『安売り品や見切り品を買う』と答えています。
まさに、「節約こそ最大の防御」が現実の対策になっているようです。

そのような家計をとりまく環境の中、8月29日に“生活応援型”ディスカウントストアとしてオープンした『ザ・プライス西新井店』(写真参照)を見てきました。

東武伊勢崎線:西新井駅から『ザ・プライス』へ向かうと、徒歩約6分の場所に同じセブン&アイ・ホールディングスのショッピングセンター『アリオ西新井』がありました。アリオの中にはイトーヨーカドーも入居、土曜日の午後ということもあり家族連れなどで大変賑わっていました。

さらに、アリオから歩くこと約7分で『ザ・プライス』に着きました(写真参照)。
しばらく駐車場で観察していると、自転車に乗った主婦や年配の男性、買い物カートを押したお年寄りが次から次へと来店し、9月3日(水)の日経MJに掲載されていた『ザ・プライス』の「設定商圏:半径2キロメートル」を思い浮かべ、まさにその通りの来店状況だなと思いました。
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店内に入り最初に目についたのは、セブン&アイのPB商品「セブンプレミアム」を大々的に販売している光景でした。入り口正面の平台ではパックの惣菜関係が大量陳列され、ドリンク・冷食・加工食品・菓子売り場でもセブンプレミアムの陳列は目立っていました。9月3日の日経MJには、
品揃えは食品80%、日用雑貨と衣料品で20%を計画。他の食品DSと同様に3番手、4番手のNBメーカーの商品も販売し、安さの強調と荒利確保の“一石二鳥”を狙っているようだ。ただ同社は「PB(プライベートブランド=自主企画)商品は原則販売しない」方針。「よく知っている商品がこんな値段で買える」ことを訴え、顧客の「お値打ち感」を刺激するためだ。
とあったので、セブンプレミアムは置いていないと思っていたのですが、どうやら品揃え方針が変わったようです。

また、イトーヨーカドーよりもNB(ナショナルブランド=メーカー品)で1~3割安い価格設定をするために、人件費を中心にした販売管理費等の削減にはかなり工夫をしているようです。パン売り場のほとんどはヤマザキパンの番重を積み上げた状態ですし、牛乳売り場は配送されてきたケースのまま陳列がされています(写真参照)。
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しかし、やみくもに人を減らし、サービスも省いている訳ではなさそうです。
ちょうど私が鮮魚売り場を通りかかった時、お客様が一匹88円のさんまを3匹ビニール袋に入れ、「内臓を取って開いてほしい」と店員に頼んでいました。その注文を快く受ける店員の姿に、『ザ・プライス』の新業態としての意気込みを感じました。

ザ・プライス』の立地は、地域のメインとなる生活道路から一歩住宅地に入ったところで、「よくこんなところでイトーヨーカードーを営業していたな」と思える場所です。しかし、業態を変えたことでこれだけの集客があるということは、「生活応援型」という新しい店作りが消費者の「節約こそ最大の防御」というニーズをしっかり捉えている証拠だと思います。

今後、『ザ・プライス』がどのように店舗展開をしていくのか、売り場や品揃えをどのように工夫していくのか、スーパー業界は目が離せなくなりそうです。

2008-09-11

「廃棄ロス削減」と「食育」で食料自給率アップ 

最近、毎日のように新聞や雑誌の紙面に「食品値上げ」「食料危機」「食料自給率低下」などの記事が掲載されています。皆さんもご存知のように、日本のカロリーベースの食料自給率は39%(2006年度:農林水産省)と先進国の中で最低レベルです。

【参考資料】
①各国の自給率(2003年、日経ビジネス2008.6.16)
    オーストラリア237%、カナダ145%、米国128%、フランス122%、スペイン89%、
    ドイツ84%、スウェーデン84%、英国70%、イタリア62%、韓国46%
②主な食品の自給率(農林水産省:「いちばん身近な『食べもの』の話」)
    コメ94%、大豆5%、小麦13%、魚59%、牛肉43%、豚肉52%、果物39%

そのため、最近ではコメを食品原料や飼料として活用し、自給率を上げようとする試みも増えています。

Photo_3例えば、ローソンでは9月から「コメ粉」を使ったパンの販売を始めました。取り扱いは4品目。全量国産のコメ粉を使用した「あんぱん」「蒸しパン」「カレーパン」「ミニブレッド」です(画像参照)。コメ粉パンの価格は、通常の小麦粉を使ったパンより10円~20円割高になりますが、独特の食感がうけているようです。

また、スターバックスでも6月から販売しているコメ粉の「ロールケーキ」(期間限定)が大変好評で、売上数量は当初計画を上回り、販売期間を延長しています。

さらに、首都圏を中心に展開するパルシステム生協では、コメを飼料にした「日本のコメ豚」を2月に発売しました。国産飼料で育てた安心感と、食料自給率向上にもつながる点をアピールした効果で、一般の豚肉より割高にも関わらず評判も良く、順調に売上を伸ばしています。

「どうして、豚にコメを食べさせると自給率が上がるの?」
と疑問を持たれる方がいるかもしれませんね。

実は、国内で育てられている豚や鶏などの飼料の多くは輸入物に頼っています。生まれてから出荷まで全て国内で飼育した正真正銘の「国内産豚」であっても、その飼育期間の飼料が全て輸入物であれば、自給率にはカウントされないのです。ですから、自給率を上げようとすれば、国内産の飼料で育てる必要があるわけです。

とはいうものの、主に団子や和菓子の食材として使われていたコメ粉をパンなどの原料や家畜の飼料として活用するには、まだまだ技術・価格面で課題も多いようです。

日本がそんな食料問題を抱える中、「日本人のライフスタイルには大きな問題がある」と石川県立大学生物資源工学研究所:高月紘教授は、日経ビジネス・2008年6月16日号:特集「食の細道」の中で警鐘を鳴らしています。

高月教授が実施した2007年度の家庭ごみ実態調査研究によると、全国の家庭から出される食べ残しの量は、推定で年間456万トン。さらに、スーパーやコンビニエンスストアでも賞味期限切れなどで廃棄される食品が発生し、その他にホテルやレストランなど飲食店からの食べ残し食品も合計すると、年間約700万トンの食品が廃棄されていると推定しています。その量はなんと、カロリーベースで見た食料供給量の35%以上に達しているというのだから驚きです。

また、
かつては“もったいない精神”で、1粒のご飯も残さないような食事をしてきた日本人が、無神経に食品を廃棄するようになったのはなぜか。高月教授は食料が収穫される現場と食べられる現場が乖離してしまったことを一因としてあげる
とも書かれていました。

日本の食料自給率を高めるためには「いかに売るか」だけではなく、廃棄ロスを減らすとともに、『食育』にも力を入れていく必要があることを再確認しました。

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