“褒め合い族”よりも「認め合い族」
6月15日(月)の日本経済新聞・朝刊に「なぜか“褒め合い族”」というタイトルの記事があり、とても興味を持ちました。
記事で紹介されていたのは伊勢丹浦和店(さいたま市)の事例です。
伊勢丹浦和店カウンターの裏には写真のような営業成績ボードが貼られていて、「褒めあいぼーど」と命名されているそうです。
この営業成績ボードに貼られているのは、
「観葉植物のホコリを払っていましたね。さすがですね」
「荷物を床に置こうとしたお客様に、すぐいすを用意。素晴らしいですね」
など、従業員同士が贈り合った「褒めあいカード」です。
いま、一部の企業や飲食店などでは「褒め合う」制度を取り入れ、従業員の定着率を高めるなど一定の成果を出しています。しかし、記事の中では次のような意見も紹介されていました。
一部には褒めすぎが反骨心などの喪失につながると、懸念する声もある。子育てに詳しい白梅学園大学学長の汐見稔幸さんは、「自分に自信のない人を多少褒めても効果は一時的。企業などはやみくもに褒めるより、本人が自信を持てるように育てることが大切では」と指摘。
「ほめるな」(講談社現代新書)の著者で、北海道教育大学の伊藤進教授(コミュニケーション心理学)も褒め合いブームについて「いざこざを避けるため、安易に褒めている面があるのでは」と手厳しい。
私も、お2人の意見には賛成ですね。
私はいつもコーチング研修で、
「皆さん、部下をほめようとしなくていいんですよ。でも、認めてください」と話しています。
つまり、仕事上では、 部下がどのように考え取り組もうとしているのか、上司は常に把握している必要があります。その上で、部下の言動をよく観察し、その変化を言葉に出して「認める」ことが必要です。そのような継続的な上司の関わりが「従業員のモチベーション」を高め、離職率を減らし、成長を促していくのです。
私の思いと同様に、記事の最後は次のような言葉で締められていました。
「褒め言葉で元気になるのはよいけれど、言葉に酔い続けていると、そのうちしっぺ返しがくる?」