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2009-06-28

“褒め合い族”よりも「認め合い族」

6月15日(月)の日本経済新聞・朝刊に「なぜか“褒め合い族”」というタイトルの記事があり、とても興味を持ちました。

Photo 記事で紹介されていたのは伊勢丹浦和店(さいたま市)の事例です。
伊勢丹浦和店カウンターの裏には写真のような営業成績ボードが貼られていて、「褒めあいぼーど」と命名されているそうです。

この営業成績ボードに貼られているのは、
「観葉植物のホコリを払っていましたね。さすがですね」
「荷物を床に置こうとしたお客様に、すぐいすを用意。素晴らしいですね」
など、従業員同士が贈り合った「褒めあいカード」です。

いま、一部の企業や飲食店などでは「褒め合う」制度を取り入れ、従業員の定着率を高めるなど一定の成果を出しています。しかし、記事の中では次のような意見も紹介されていました。

一部には褒めすぎが反骨心などの喪失につながると、懸念する声もある。子育てに詳しい白梅学園大学学長の汐見稔幸さんは、「自分に自信のない人を多少褒めても効果は一時的。企業などはやみくもに褒めるより、本人が自信を持てるように育てることが大切では」と指摘。
「ほめるな」(講談社現代新書)の著者で、北海道教育大学の伊藤進教授(コミュニケーション心理学)も褒め合いブームについて「いざこざを避けるため、安易に褒めている面があるのでは」と手厳しい。


私も、お2人の意見には賛成ですね。

私はいつもコーチング研修で、
「皆さん、部下をほめようとしなくていいんですよ。でも、認めてください」と話しています。

つまり、仕事上では、 部下がどのように考え取り組もうとしているのか、上司は常に把握している必要があります。その上で、部下の言動をよく観察し、その変化を言葉に出して「認める」ことが必要です。そのような継続的な上司の関わりが「従業員のモチベーション」を高め、離職率を減らし、成長を促していくのです。

私の思いと同様に、記事の最後は次のような言葉で締められていました。

「褒め言葉で元気になるのはよいけれど、言葉に酔い続けていると、そのうちしっぺ返しがくる?」

2009-06-21

「大学は美味しい!!」フェアが大盛況

「産学連携」と聞くと、理系大学の技術・研究力を活かして企業(メーカー)が新製品の開発に取り組み、その新製品の多くは工業品というイメージがありますが、それは昔のことのようです。Photo_5

高島屋新宿店(東京:新宿区)では、6月11日(木)~16日(火)の期間、
第2回『大学は美味しい!!』フェアが開催されていました。
「北海道物産展」「九州物産展」など、地方をテーマにした催事は日常的に開催されていてよく行くのですが、『大学』をテーマにした物産展は初めての体験でした。





近畿大学:水産研究所の「近大マグロ」
宇都宮大学:農学部付属農場の「モッツアレラチーズ」
九州大学:農学部付属農場の「はかた地どりソーセージ」
北里大学:獣医学部の「草熟北里牛コンビーフ」
山梨大学:ワイン科学研究センターの「山梨甲州『海洋酵母仕込み』」ワイン
などなど・・・

27大学が出展しており、私が行ったの時は最終日の午前中にも関わらず多くの商品が売り切れていました。また、近畿大学のマグロを使った丼物を食べられるイートインコーナーは長蛇の列で、食べるのをあきらめたくらい盛況でした。

また、6つの大学ではワイン・日本酒・焼酎を出品しており、すべて試飲させてくるので、それらのブースも大変賑わっていました。
その中でも特に私が関心を持ったのは、奈良女子大学:理学部(奈良の食プロジェクト)の 「奈良の八重桜」(300ml、735円、今西清兵衛商店)です。

Photo_6この清酒は奈良の八重桜から分離した酵母を使用して作られた大変珍しいもので、この酵母を取り出すまでにはさまざまな苦労があったそうです。
その酵母を取り出したという学生の話を聞いていたら思わず飲んでみたくなり、買い求めてしまいました。

「奈良の八重桜」は、ほのかな桜の香りを感じさせる甘みの中に、旨みも味わうことのできる爽やかな清酒で、その日の晩酌にとても美味しくいただきました。
何と言っても古の都「奈良」の八重桜がある風景に思いを馳せながら飲めることが、このお酒をより美味しく感じさせているのでしょう。

商品を買い求めた人が価格以上の価値を感じるためには、その商品が持つ優れた機能性はもちろん大切ですが、それ以上にその商品の開発プロセスや原材料などにまつわる苦労話などが重要です。

この苦労話や逸話などが、『ストーリー性』という価値を商品に与えるからです。

その意味で、各地の大学と企業が共同で商品開発に取り組むことは、新しいマーケットの開拓と潜在ニーズの掘り起こしにつながるのではないかと期待しています。

2009-06-14

「マルエツ プチ」はコンビニの脅威になるか?

最近では都心の人口増加と不動産の賃料下落を背景に、大手スーパーが都心部への小型スーパー出店を加速させています。そのため、近隣のコンビニエンスストアでは少なからず売上に影響を受けています。

そんな競合環境の中、マルエツがコンビニ型店舗を出店したという記事を見かけたのでさっそく視察に行ってきました。

Photo_2 マルエツが6月11日(木)に東京・日本橋に出店したのは、広さが165平方メートルと平均的なコンビニの約1.5倍の広さ、営業時間が午前7時~午後11時までの小型スーパー「マルエツ プチ」です。

「取り扱い品目数は3500~4000程度で、商品価格はマルエツの通常店並み。雑誌や惣菜、飲料、酒類のほか、野菜や肉、魚などの生鮮食品、焼き立てパンを揃えることでコンビニとの違いを打ち出す」と日本経済新聞に紹介されていました。


マルエツはすでに都心部の小型スーパーとして「ポロロッカ」を展開していますが、今回の店舗はかなりコンビニエンスストアを意識した作りになっていました。

まず、入り口右手のフロントガラス沿いには雑誌コーナーがあり、左手は5名程度が飲食ができるイートインコーナーがありました。

また、雑誌コーナー奥のリーチインではソフトドリンクやビール類が豊富なアイテムで品揃えされていました。さらに奥に進むとコンビニで販売されている調理麺類と同様のカップ冷やし中華やそば・うどん類が4尺棚4段程度に陳列されています。
さらに、その隣のお弁当コーナーでは300円から500円台までの丼物や幕の内弁当、焼きそば類などが販売されており、すでに午後の4時頃(土曜日)だったためか、ほとんどの商品に半額シールが貼られ値下げ販売がされていました。

また、弁当売り場前の平台には炊飯ジャーが2台置かれており、炊き立てのご飯を自分で容器に詰めて購入するスタイルが採用されていました。

これは、いいですね!
隣や反対側のオープンケースには揚げ物や焼き物、サラダ等を単品で購入できる惣菜コーナーが あるので、それらを組み合わせて自分好みの食事メニューを作ることができます。
これらの売り場展開は平日のランチや仕事帰りの独身者など、コンビニ需要をかなり意識しているのだと思われます。

4車線道路を挟み、「マルエツ プチ」の向かい側にはセブンイレブンがあります。 このようなタイプの店ができると、特に土曜日・日曜日・祝日などの影響は甚大で、セブンイレブンの売上高はおそらく15~20%程度低下するでしょう。

「マルエツ プチ」のような運営スタイルが、「“収益性”という点で成り立つのか」という疑問はあります。しかし、収益性にめどがつき多店舗展開した場合、近隣に出店されるコンビニにとってはミニスーパーとは比較にならないくらい大きな脅威となることは間違いないでしょう。

2009-06-07

「落語」から学ぶ人付き合いの極意

最近、私のiPodには音楽だけではなく、落語の演目も入っています。「柳家小さん」「三遊亭小遊三」「志の輔」などが中心で、そのほとんどは古典落語です。

もともと、落語に対して特別の興味を持っていたわけではありません。
私が落語を聞く機会といえば、仕事で飛行機に乗った際に機内放送を利用する時ぐらいでした。しかし、久しぶりに会った友人から「最近落語を聞きに行っている」という話を聞いたり、「落語を紹介したCD付き雑誌が発売された」という新聞記事を見たりするなど、いつの間にか「落語」というキーワードを目にする機会が増えてきました。

また、「商人(あきんど)」ねじめ正一:著など、江戸時代を舞台にした小説を読むと、殺伐とした現代とは異なり、人情や経営者の誠実さを感じることが出来る上、時間がゆったりと流れる感覚になることを発見しました。

そのようなことが契機となり、まずはCDで落語を聞いてみたところ、題名は忘れていましたが「長屋の花見」「親子酒」「大工調べ」など、意外にも多くの落語を聞いていたことを思い出しました。

改めて聞いてみると、落語は面白いですね。
また、話の表現方法や間合いの取り方など、色々と学ぶところがたくさんあり、研修や講演を主な仕事としている私にとってはスキルアップにもつながります。

そんなことを思っていたところ、
昨日の日本経済新聞の付録[NIKKEI PLUS1]に、「笑う門には人生訓『人付き合い磨く』落語」というタイトルで、ランキングが載っていました。
(評価はコメントのみ抜粋)

若い世代を巻き込みながら、落語人気が盛り上がっている。古典落語に登場する庶民の日常や生活感覚には、時を超えて現代にも通じる知恵を見いだせるものも多い。そうした古典の中から、処世術を学べ、人間関係を磨くのに役に立つ初心者におすすめの演目を、落語家や専門家に選んでもらった。

1位:百年目
「しかり方の見本。信頼関係に立脚した、ボスの部下に対するあり方」
「旦那(だんな)という言葉の由来を店の主が番頭に静かに語る場面が心にしみる」
2位:井戸の茶碗
「相手に合わせるばかりが人間関係ではない。登場人物がみな自分の信条を貫き 、そこにきずなとさわやかな笑いが生まれる」
「善人ばかりの心洗われる一席」
3位:居残り佐平次
「相手を気分良くさせる術を主人公は良く知っている」
「世知辛い昨今だからこそ、口八丁男、佐平次のサバイバル能力に注目したい」

以下、順位のみ
4位:天災、5位:らくだ、6位:小言幸兵衛、7位:大工調べ、8位:壷算、9位:厩火事、同じく9位:中村仲蔵


ただ、CDで聞くのもよいのですが、できれば寄席に行かれることをお薦めします。
CDだと演者の動作や表情を見ることができないため、話の内容の伝わり方が半減してしまいます。

Photo そこで、私が寄席初心者の方にお薦めするのが、鈴本演芸場(東京都台東区)の「早朝寄席」です。
早朝寄席は日曜日の午前10時~11時30分に「二つ目さん」たちの自主勉強会として
開催されていて、毎回4人の若手落語家が古典演目を中心に話すのですがなかなか楽しめます。

なんと言っても、このご時世、木戸銭(入場料)が500円というのは大きな魅力ですね。

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