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2009-10-25

「1勝1敗1分け」のマルエツプチを見極める

10月21日(水)の日経MJ(日経流通新聞)【消費 見所 カン所】コーナーに、マルエツの高橋社長に対するインタビュー記事が掲載されており、「マルエツプチ」に関して下記のような内容がありました。

小伝馬町駅前店(東京・中央)など都心に3店出した小型店「マルエツプチ」に関しては「おおよそ1勝1敗1分け」と説明する。立地によってコンビニエンスストアかスーパーのどちらに品ぞろえを近づけるか試行錯誤している段階のようだ。「下期にしっかり手直しして来期に本格展開できればいい」と意気込んでいた。

「マルエツプチ」に関しては1号店『日本橋金座通り店』がオープンした直後、6月14日の【石川和夫の流通業界ウォッチング】でレポートしました。そのマルエツプチが3店となり、高橋社長が「おおよそ1勝1敗1分け」と言っている点に興味を持ち、さっそく自分の目で確かめてきました。

Photo まず、1店目は『麹町四丁目店(千代区・麹町)」(写真)です。
店舗はJR四谷駅から東京メトロ有楽町線・麹町駅に向かった新宿通り沿いにありました。店内に入るとすぐ左側にコピー機とATM、電子レンジ4台と3席のイートインカウンターがあり、コンビニをかなり意識した店作りです。
しかし、売場はいかにもマルエツの縮小版=ミニスーパーといった感じで、「日本橋金座通り店」とほぼ同じ商品構成でした。そんな売場で、私が特に気になったのは弁当やパック惣菜類の値下げ品の多さです。訪店したのは土曜日の午後4時です。昼に用意した商品が思うように売れなかったのでしょうか。それとも、雨が降り始めたため客足の鈍りを予測して早めに見切り販売しているのでしょうか。いずれにしても、売場全体が値下げ品という状態から売上予測精度と収益性の低さがわかります。

またJR四谷駅寄り70m先には「肉のハナマサ」の24時間営業店があり、生鮮3品の品揃えと価格では大きな競合となっています。そのためか、私が見ていた15分間に買い物をした6人のお客は単身男性が3人、女性が2人、年配のご夫婦が1組で、いずれも買い物点数が少ないコンビニ的な利用でした。

Photo_3 次に向かったのは、『小伝馬町駅前店』(写真)です。
店舗は東京メトロ日比谷線の地下鉄出口から15m程度の便利な場所にあり、競合店は地下鉄出口脇にあるローソンぐらいです。また、この店舗は歩道から5m程度セットバックしており、買い物した商品を飲食できるようにイスやテーブルが置かれていました。
店内の商品構成は『麹町四丁目店』とほぼ同じでしたが、弁当や惣菜類の値下げ品は2割程度と少なく、商品の種類や陳列量も時間帯を考えると適正なボリュームです。
また、来店客を観察しているとベビーカーを押した若い夫婦やいかにも近隣の主婦という女性客が多く、午後5時15分の時点で店内に25人もお客がいました。さらに、買い物している内容と量を見ても、スーパーとしての使われ方が中心でした。

最後に向かったのは、6月にも訪問した『日本橋金座通り店』です。
訪店時間は午後5時45分、この時点で店内にいたお客は10人。近隣の主婦や単身の男性が半々で、スーパーとして利用している人と、コンビニとして利用している人が入り混じっている状態です。
また、店内の商品構成や売場に関しては6月に見た時との違いを感じませんでしたが、弁当・惣菜売場の状態には驚きました。なぜなら、弁当やパック惣菜売場は棚段の半分以上が空いている状態で、自分でパック詰めする揚げ物も9アイテムのうち4アイテムが完全欠品、さらに在庫がある5アイテムについてもトレーに2~5個程度しかないガラガラの状態なのです。
『麹町四丁目店』のボリュームと値下げ品の多さ、『日本橋金座通り店』の欠品、いずれの状態も店づくりとオペレーションがまだまだ“試行錯誤”の状態であることを物語っていました。

私は、『10月24日・雨の土曜日の夕方』という一時点しか店を見ていませんが、あえて「おおよそ1勝1敗1分け」を見極めるとすれば下記の通りではないかと思います。

1勝=小伝馬町駅前店
1敗=日本橋金座通り店
1分け=麹町四丁目店

2009-10-18

「成長を実感したい!」U29(29歳以下)の本心

会社選びで安定志向を強めているとされるU-29(29歳以下)世代。とはいえ右肩上がりの昇進や昇給が保証される時代ではなくなった。それがわかっているせいか、成果や評価を性急に求めがち。上司の目には「自己中心的」とも映る。心のどこかに不安を抱えつつも内向きにならず、認めてもらいたい欲求を隠さない20代の仕事への意気込みを、40代の上司の証言を交えて探った。

「自分の思い通りに仕事を進めたいと考える20代が多い。自己実現のために会社を利用しているように見える」(大手玩具メーカー勤務 43歳)

「20代に『言わなくても分かるだろう』は通用しない。仕事を頼む時も『君に期待しているから』と、できるだけ言葉に出してコミュニケーションするようにしている」(大手銀行勤務 42歳)

「若い部下にはなるべく短期的に成果が見える仕事を与えている。仕事の意義に納得しないとモチベーションが上がらないようだ」(大手文具メーカー勤務 46歳)

一見、わかりにくそうな20代の精神構造だが、納得感や心意気といった、古典的な発想の裏にやる気を引き出すスイッチが隠れている。短期的に明確な評価を手に入れたい彼らは目標設定や成果への称賛といったきめ細かい配慮があってはじめて能力を発揮する


以上は、日本経済新聞(2009.8.22)「日本geneU-29」の『自分が主役・・・褒めてくれ』に掲載されていた記事からの一部抜粋です。この内容を見て、40代以上の管理職の方は“U-29”に対してどのような印象を持ったでしょうか。もしかしたら、「甘えている」と感じた方が多かったかも知れません。しかし、その一言で片付けては、20代社員の能力を開発し、戦力化していくことはできません。

40代以上の方が経験した20代と、現在の会社を取り巻く社会・経済環境は大きく異なっています。経済の成長は期待できず、大手の企業であってもいつ業績が悪化して他企業に買収されたり、倒産するかもわからない。また、年金問題に代表されるような社会システムの崩壊に、国や会社に対する不信感も強くなっています。そのような“切迫した不安”が、「褒められたい」「認められたい」という欲求をますます強くしているのではないでしょうか。

Photo 【棒グラフ】を見てください。
これは、日本経済新聞が2007年8月に行った「あなたが働き甲斐を感じる要素はなんですか?」というネット調査です。対象は日経ネットPLUS会員:男女3,452人。年齢構成は公表されていませんでしたがネット調査という特性上、アンケートに答えた方は若い方が多いと思います。

1位:「自己の成長」・・・46.4%
2位:「達成感」・・・43.4%
3位:「自分の職場への貢献」・・・41.7%
4位:「仕事を通じた社会への貢献」・・・40.3%
5位:「ユーザー、顧客からの評価」・・・35.6%
6位:「会社からの評価」・・・31.8%
7位:「賃金」・・・31.1%
8位:「会社や組織の業績」・・・23.1%
9位:「出世」・・・5.0%

この調査結果を見ると、いかに多くの人が自分の「成長」を感じた時に働き甲斐を感じているかが分かります。では、どのような時に「成長」を感じることができるのでしょうか。それは、会社や上司から「褒められた時」「認めれた時」でしょう。
そこで私は、20代社員の本心は「褒めてくれ」ではなく、『自分の成長を実感したい!』なのだと考えています。

ですから、上司は特に若い(経験が浅い)部下に対しては、1週間~1ヶ月程度の期間で成果が確認できる目標設定を行い、そのプロセスと成果について「適切で効果的なフィードバック」を定期的に行うことが必要なのです。

2009-10-11

「産地直売所」が都心部スーパーの競合になる日

気持ちの良い秋晴れの連休の朝、東京でも最先端の情報発信地・青山(渋谷区)に出かけてきました。目的は、産地直売市を見るためです。「えっ、都会のどまん中、それも青山に産直?」と思われかも知れませんが、本当なんです。

Photo この産直市「ファーマーズマーケット」は、農林水産省の「マルシェ・ジャポン・プロジェクト(仮設型直売システム普及事業)のひとつで、㈱マインドシェアが事業者として選定され、毎週土日に青山にある国連大学前の広場で開催しているものです。

私が訪れたのは開店直後でしたが、天気が良かったためか多くの買い物客が出ていました。中には本格的なサイクリング用のヘルメットをかぶったサイクリストのカップルや外国人親子が買い物をしていたりと、都会ならではの産直市風景がそこにはありました。

  また、特徴的だったのは販売に携わっている人のほとんどが20~30代の若者であることです。農薬不使用、有機栽培や珍しい品種の野菜・果物、自家製の野菜ペーストなど、こだわりの商品を生産している若いエネルギー溢れる人達との会話は、買い物する楽しさを味わうことができると同時に、商品に対する安心感を与えてくれます。

Photo_3日本経済新聞:10月11日(日)朝刊には、下記のように書かれていました。
農林水産省が今年の9月から始めた「マルシェ・ジャポン・プロジェクト」。全国事務局となる、ぐるなびによると現在、同様の産直市場が東京や大阪など全国7都市11ヶ所で開かれている。
1日の来場者は約5千人、そのうち2千人強が購入していく。国連大学前で産直市を開くマインドシェア(東京・港)の川畑博専務は「小・中規模の農家の産品は質が高くても、量が少なく大手流通の販売ルートに乗せるのが難しかった。マルシェが都会の住民と農家を結ぶ窓口のひとつになれば」と期待する。

最近では、千葉のホームセンター・タカヨシが50店舗を展開する「わくわく広場」のように、産直のフランチャイズ化も進んでおり、全国の農産物直売所は増え続けています(2005年で1万3千店)。今までは産直販売所というと郊外立地というのが定番でしたが、今後は都心部のスーパーにとっても産直販売所は新たな競合となりそうです。

2009-10-04

柿安「黒毛和牛牛めし」とデパ地下の価値

昨日、夕方5時頃、池袋の西武百貨店(東京・豊島区)の地下食料品売場に行ったところ、惣菜売場や弁当売場はまっすぐ歩けないくらいの人で混雑していました。また、鮮魚売場ではちょうど「まぐろの解体ショー&即売会」が始まったところで、ショーケースにも近づけないくらい多くの見物客がいました。
景気低迷の影響を受け、衣料品を中心に販売不振に喘いでいる百貨店ですが、地下の食料品売場はまだまだ百貨店としての価値が評価されているようです。

そんなことを考えながら買い物をした後、以前にファイリングしていた日経MJを見てみると「デパ地下の惣菜・弁当売れ筋ベスト10」という記事がありました(2009.9.25号)。このベスト10は、高島屋新宿店(東京)地下1階の食品売り場で、8月の1ヵ月間に販売数量が多かった惣菜・弁当をランキングしたものです。

1位:柿安ダイニング・・・「黒毛和牛牛めし」1,050円
2位:RF1・・・「緑の30品目サラダ」399円(100g)
3位:プルミエサンジェルマン・・・「プルミエエクセルブラン」 336円
4位:まい泉・・・「ひれかつサンド(6切れ)」777円
5位:まつおか・・・「手羽先の甘辛揚げ」95円
6位:鳥芳・・・「炭火やきとり(たて・塩)」147円から
7位:古市庵・・・「うず潮巻き」1,344円
8位:米八・・・「和風焼肉弁当」1,050円
9位:富惣・・・「かれい煮付け」525円
10位:四陸(フォールー)・・・「海老のチリソース」441円(100g)

上記の内、3位・7位・9位・10位以外は全て食べているデパ地下好きの私としては、確かに「黒毛和牛牛めし」が1位と言うのは納得です。少し甘辛で濃い目に味付けされたタレが国産黒毛和牛のおいしさを引き出し、さらには「肉の柿安」というブランドイメージがスパイスとなり、1,050円という価格は値頃感どころか大きな満足感を与えてくれます。

Photo 「黒毛和牛牛めし」は2007年7月の発売から累計150万食以上を売り、2年あまりにわたって前月比で販売数量を伸ばしているそうです。その要因としては「肉の柿安」としてのイメージを明確に打ち出したこと、精肉部門の加工技術や牛鍋店のタレのノウハウ応用、調達コスト削減、店内厨房で作ることによる出来たて感の演出などがあるようです。

近頃はスーパーの298円弁当やコンビニの398円弁当、さらには100円惣菜ばかりが話題になりますが、消費者は節約志向ばかりではないと思います。普段は節約していても週末や自分へのご褒美で、時にはデパ地下で上質で満足感のある商品を求める傾向も併せ持っています。

ぜひ、百貨店にはスーパーやコンビニに追随するのではなく、百貨店で買い物することに喜びや楽しさを感じられる商品や販売方法をますます工夫してほしいと思います。

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