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2009-12-27

最後の“一言”で決まる?「顧客満足度」

12月11日(金)の日経MJ:フードビジネスコーナーに忘年会を固定客作りの好機として捉え、なにげない「一言」で好感度アップを図っている飲食店の事例が紹介されていました。

例えば、忘年会の団体客で混雑している時に、店員がお客様に呼ばれたらどんなに忙しくても「はい、すぐ行きます!」と元気よく答えるのだそうです。普通はお客様から「すみません」と声をかけられたら「少々お待ちください」と言いますが、その言葉の裏には「忙しいのだから待ってくれ」という気持ちが見え隠れして、印象が良くないのだそうです。
確かにそうですね、「はい、すぐ行きます」という肯定的な返事からは店員の『できるだけ早くいこうとしています』という前向きな気持ちが感じ取れます。

また、帰り際の接客もファン作りには大切だという解説がありました。例えば、幹事の方に「割り勘にした金額を出しましょうか」と提案したり、店長が出口で一人ひとりにお礼を言いながらチラシやショップカードを手渡したり、帰宅用のタクシーを店が手配した時には、運転手に一言「大事なお客様なので」と言い添えることなどが紹介されていました。

飲食店の忘年会同様、クリスマス・年末年始は小売業にとって最も忙しい時期ですが、「そのような対応ができている店はあるのだろうか?」と思い、最寄りの百貨店などに出かけてみました。

Photo_2 地下の食品売り場はクリスマス・イブだけあって有名パティシエのプロデュースした店やフルーツで人気の店などは長蛇の列ができており、クリスマス用のケーキやデザート、さらにはオードブルなどの料理を買い求めるお客様で大変混雑していました。
そんなケーキを買い求める行列の後ろからショーケース内のケーキを見るふりをして接客に聞き耳を立ててみましたが、チェックした4店舗はいずれもお決まりの接客用語のやり取りのみでした。

せっかくのクリスマス・イブなのですから、会計後商品をお客様に渡す際に一言、
「どうぞ、楽しいクリスマス・イブをお過ごしください」
「今日が素敵なクリスマスになりますように」
と添えてほしいなと思いました。

特に、『ハレ』の日の商売を考えた時には商品そのものだけではなく、お客様がどのような『ハレの消費シーンを過ごすのか』に想いをめぐらせることが重要だと私は考えています。
その上で、商品をお渡しする時に上記のような一言を添えたコミュニケーションを取ることができれば、単に商品とお金をやり取りするだけの商売ではなく、お客様の『満足度』と従業員の仕事に対する『価値』や『誇り』も高めることのできる商売になるからです。

2009-12-20

「Green’sK」はコンビニ、スーパーの脅威となるか?

Photo 「業務スーパー」を全国で507店舗(2009年10月末)展開する神戸物産が10月28日に開業した新業態店『Green’sK』に行ってきました。

『Green’sK』は飲料や豆腐、食パンなど購買頻度の高い日配品も低価格で販売していますが、惣菜やサラダなどを1グラム1円で量り売りしている点と、惣菜類が陳列されているカウンターごしに厨房を設けている点が特徴的でした。

カウンター上の大型中華鍋2台にはマーボー豆腐がグツグツと煮えており、厨房では次から次へと、お客様から注文を受けたパスタや揚げ物、炒め物などを調理していました。その調理をしている様子と音にはとてもシズル感があり、同じ惣菜の量り売りをしている「オリジン弁当」にはない活気がありました。
その感覚は、「餃子の王将」のカウンターで食事をした時に感じたものと同じかもしれません。

G_2 ちょうど、訪店したのが昼時ということもあり、店内には会社員や近隣の主婦などが10人程度いました。また、その半数以上の人が慣れた手つきでタッパーのような容器にご飯やお惣菜を詰めています。よく見ると、カウンター端に「詰め放題、選び放題、My弁当290円」という表示がありました。

そこで、どのように購入するのか店員に聞いたところ、まず規定の容器(縦:11cm、横:17cm、深さ:5cm)にご飯を入れ、「1㌘1円」と表示されている惣菜類を好きな量だけ詰め、フタがしまれば290円だと説明してくれました。また、「ご飯を端に寄せて上から押し、そのご飯の上に揚げ物を乗せるとたくさん入りますよ」と、うまく入れるためのテクニックまで教えてもらいました。

そこで、早速チャレンジです。
ご飯は大きな炊飯ジャーのような機械から好みの分量ボタンを押すだけで炊き立てのご飯が出てきました(私が選んだんの190㌘、他に220㌘・250㌘のボタンもあり料金は同じ)。それを教わったように、しゃもじで容器の端に寄せて上から押し、その上にミートコロッケを乗せました。さらに、まだ半分ほど空いている空間に、鶏肉の黒酢あんかけ、川エビのから揚げ、わかさぎのマリネ、きんぴらごぼう、厚焼きたまごを入れ、最後にコロッケの脇に高菜漬けを乗せました(写真)。

G290 家の帰ってから重さを量ってみると、550グラム(容器分を除く)もありました。この分量は、最近少食になった私には多すぎるぐらいで、これで290円とは驚きです。最近では、スーパーの西友のように298円弁当を出すところが増えてきましたが、この「MY弁当:290円」は自分の好みで作ることができるので、大きな差別化になるのではないかと思います。

神戸物産では2010年までに、『Green’sK』をフランチャイズチェーン方式で東京都23区を中心に100店まで増やす計画をしています。しかし、100店まで増やし、お客様の信頼を得るためには安さだけでは不十分です。今後は、いかに「食の安全・安心・健康」をアピールすることができるかが課題となるでしょう。

しかし、その過程でも、このような店が近隣にできればコンビニやスーパー、さらにはオリジンなどの弁当・惣菜持ち帰り店にとっては大きな脅威となりそうです。

■『Green’sK』の店舗概要
①店舗面積・・・100㎡
②営業時間・・・午前11時~午後9時
③所在地・・・東京都江東区亀戸6-55-18グローハイツ1階

2009-12-13

不安を減らし、財布の紐を緩める「現場の活力」

12月4日(金)の日経MJに、「日本人は世界一『不安』」という記事が出ており、その内容を大変興味深く読むと同時に、お客様に財布の紐を緩めてもらうには“現場の活力”が必要だと改めて感じました。

広告代理店大手J・ウォルター・トンプソン(JWT)は日本を含む11ヶ国で、「世界や国、家族の生活状況全般を考えると、現在、緊張感と不安を抱いているか?」というアンケート調査(注)を行ないました。その結果、日本では「はい」と答えた割合が90%と11ヶ国の中で最も多く、主要な先進国を大きく上回りました。
(注)調査の概要・・・JWTが日本を含む11ヶ国で今年の春から夏にかけてアンケート調査をした。毎年実施しているが日本を対象に加えたのは今回が初めて。日本の調査対象は約500人の成人。JWTは英広告大手WPPグループ傘下で、米ニューヨークに本社を置く大手広告代理店。

【調査結果】 不安を抱えている人の割合(%)
1位:日本・・・90%
2位:ロシア・・・84%
3位:米国・・・76%
4位:インド・・・74%
5位:英国・・・74%
6位:スペイン・・・70%
7位:ブラジル・・・66%
8位:カナダ・・・65%
9位:豪州・・・61%
10位:中国・・・35%

確かに、他の先進国と比較して日本の数値は突出していますね。
この日本の消費者が抱える不安の強さは、失業や賞与・給与の減額、さらには年金問題等による生活水準の悪化などに対する懸念からくるもので、今の日本の個人消費の低迷とデフレ現象の進行を物語っています。

しかし、昨年の秋から始まった世界的な景気後退は日本だけのものではありません。それにも関わらず、日本人の不安が大きいのはどうしてでしょうか。JWTはそれを、「日本人が感じている不安は、単に現在の経済危機から発したものではなく、より長期的な懸念に深く根ざしている」と分析しています。

12月11日に発表された11月度の米小売売上高(季節調整済み、速報値)を見ると、3521億㌦、前月比1.3%増。これは2ヶ月連続の増加で市場予測の平均(0.6%)を上回っており、前年同月比でも1.9%の増加となっています。また、前年同月比でプラスになったのは金融危機発生前の2008年8月以来、1年3ヶ月ぶりで、消費の回復傾向が見られます。

それに対して日本はどうでしょうか。
同じく11日に内閣府が発表した消費者心理を示す「消費者態度指数(一般世帯):11月度」を見ると、39.5で、前月から1.0ポイント悪化しています。この数値が悪化に転じるのは昨年の12月以来11ヶ月ぶりです。つまり、日本の消費者はまだ将来に対する不安感が大きく、消費意欲が冷え込んだままだということです。

では、どうしたら不安感を減らすことができるのでしょう。
マクロ的には財政悪化懸念が払拭され、企業業績が回復し、雇用問題をはじめとするさまざまな不安材料が解決に向かうことです。しかし、そのような問題の解決は一企業(店)にできるものではありません。

ただ、企業や店にもできることはあると私は考えています。それは、売り場に“活気を作る”ことです。
商品作りや陳列・POP等に工夫がなされた興味惹かれる売り場や、笑顔で明るく威勢のいい店員がいる売り場に行くと、気持ちがとても明るくなりませんか。
その明るくなった気持ちが不安を払拭させ、財布の紐を緩めてくれるのです。

ですから、私は管理職者に対して、
「従業員には“ポジティブ・アプローチ”でコミュニケーションを取り、現場の活力を高めていくことが必要だ」と、コーチング研修で常に訴え続けているのです。

2009-12-06

「万引き被害届け」の手続き簡素化と留意点

ここ数ヶ月、新聞やインターネット上のニュースで、「『万引き』に関する記事が多いな」と感じているのは私だけでしょうか。「万引き」という言葉を見たり聞いたりすると、約20年前にコンビニエンス・ストアを経営していた頃の嫌な記憶が思い出され、より敏感に反応してしまうのかもしれません。

万引きの被害を減らすためには、「お客様が入店されたら、目を見ていらっしゃいませを言う」「怪しそうな人物には買い物カゴを勧める」「フェィスアップ(売場の整理整頓)をきちんと行う」など、さまざまな対策があります。しかし、すでに万引きの被害が多く発生している場合は、それだけでは不十分です。最も効果的な対策は、万引きを捕まえて警察に被害届けを出すことです。

警察に110番し、パトカーで店に来てもらえば、万引きが捕まったことは店側で口外しなくてもお客や周辺住民の口コミで広がります。その結果、地域で「あの店は万引きに厳しい」という評判が広がり、被害も確実に減らすことができます。このような対応を1~2年の間に数十件したおかげで、私の経営していたコンビニは万引き被害の少ない店になりました。

しかし、警察に被害届けを出すと、店長(発見者)が警察に呼び出され、現場検証や被害届けの調書作成、被害品の任意提出などで3~4時間も拘束されます。1回あたりの回収可能な被害額を考えると、店側にとってはあまりにも時間的・精神的な負担が大きく、対応できない店も多いのが現実でした。その結果、万引きをした者が「あやまって金を払えば許される」「たかが万引き」と考え、万引き被害が減らないのではないかと当時の私は考えていました。

あれから約20年、そのような状況にようやく警視庁が対応を始めたという記事が、10月22日(木)の日本経済新聞:朝刊に掲載されていました。

増加する万引きの防止策として、店舗側がすべての被害を警察に届け出やすくするため、警視庁は21日、被害届提出などの手続きを簡素化することを決めた。11月1日から実施する。
昨年の都内の万引き認知件数は約1万7800件だったが、同庁は被害にあった店舗側が通報する率は60~70%と推定。店舗側が手続きの負担を嫌って届け出ないケースが多いとみている。
これまでは店の従業員を警察署に呼び、被害届や調書を作成し、被害品の任意提出を求めていたため3~4時間かかった。新方式では被害届や調書のひな型に日時や店名
などを記入。被害品の任意提出は省略し、写真撮影だけで済ませる。店内でも手続き可能で約1時間に時間を短縮できるという。

このような手続きの簡素化はいいですね。1時間程度で済むのであれば、店側の負担も少ないので被害届けを出す件数も増えていくことでしょう。

しかし、全ての万引き被害届けが簡素化されるわけではないことを理解しておきましょう。
この記事について、本富士警察署(東京都・文京区)で確認したところ、万引きした人物に前科があったり、住所不定であったり、被害金額が大きい場合などは逮捕となるため、従来通りの手続きと時間が必要となるそうです。

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