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2010-02-28

上司と部下の「成長欲求」に対するギャップを埋めよう

私はセミナーや研修の場で、「若手社員やアルバイトの動機づけのためには、『成長欲求』に焦点を当てることが最も大切だ!」と、いつも話しています。また、その想いから、コーチング・サイクルを活用して従業員の成長欲求を段階的に高めていく手法を、拙著:「スタッフの“やる気”を引き出す法則」(2009.3、商業界)に書きました。
そのような私の主張を証明してくれる調査結果が、2月5日(金)の日経MJに「上司と若手 成長意識ズレ」というタイトルで掲載されていました。

人事コンサルティングのJTBモチベーションズ(東京・港)は若手社員の成長に関する意識調査を実施した。上司が若手に期待するのは「困難を克服する力」が40.5%で最多だが、若手が伸ばしたいのは「アイデアや工夫を生み出す力」が最多で42.7%。上司は現実的への対応を重視、若手は自らの士気を重んじる。ギャップが鮮明だ。
成長を妨げる要因の1位は若手では、「上司に相談しにくい」(33.7%)だが、上司では「自身に『成長しよう』という意識が薄い」(38.5%)だった。上司では「職場に従業員を成長させようという風土がないこと」(24.9%)も多く、会社の人材育成のあり方にも不満があるようだ。(一部省略)
[調査は入社3年目までの社員309人と、入社4年目以降で直属の部下を2人以上持つ上司309人が回答、グラフは調査報告書から引用]

Jtb_13   
まず、グラフから読み取れるのは、いま目の前にある仕事や現実的な困難のプレッシャーを乗り越え、「早く一人前になってほしい」と考える上司の短期的な視点です。これに対して、若手社員からは業務に関する知識や技術をしっかりと身につけたい、自分のアイデアや工夫も活用しながら、仕事そのものをおもしろいと感じられるようになりたい、成長したい、という願いが強く感じられます。この若手社員の願いは長期的な視点に立ったもので、上司とのギャップは明らかです。

しかし、「成長を妨げる要因」に対するアンケート結果を見ると、上司の24.9%が「職場に従業員を成長させようという風土がないこと」を挙げています。つまり、上司自身は部下の育成に対して長期的な視点で関わりたいと思っているにも関わらず、職場(会社)がそれをゆるさない場合が多いということです。

どうしても、経営環境が厳しくなってくると、多くの企業は短期的視点で成果を求めがちです。しかし、その経営姿勢(社風)が上司と若手社員双方のモチベーションを下げ、さらに業績の低下を招くという「負のスパイラル」に陥っている企業が多いのではないでしょうか。

この調査結果を見て、改めて若手社員の「成長欲求」に焦点を当てた人材育成の必要性を強く感じました。

    

2010-02-21

低アルコール飲料で「粗利益」を確保しよう

最近、学生時代の友人の飲み方が変わってきました。
以前は生ビールを1杯飲んだ後、日本酒を3合以上飲むのが当たり前でした。しかし、1年ほど前から日本酒を1~2合飲んだ後、「そろそろ、守りに入ろうかな」とグレープフルーツサワーを注文するようになったのです。そして、グレープフルーツを専用容器で搾りながら、「最近、体のことを考えると無理できなくてさ。それに、グレープフルーツは悪酔い防止にもいいんだぜ」と、誰も聞いていないのに言い訳をしているのです。

サワーというと、若い人や女性の飲み物というイメージが強いのですが、最近では健康志向の中高年にも飲まれているようです。

そのチューハイやカクテルドリンクなどの【低アルコール飲料の市場に変化が起きている】という記事が、2月12日(金)の日経MJに掲載されていました。その変化とは、低アルコール飲料の売上首位を常にキープしていたキリンビールの「氷結 レモン」が、アサヒビールの「すらっと 果肉入りグレープフルーツ」に抜かれたというものです。

【低アルコール飲料の売れ筋ベスト10】(出典:2010.2.12.日経MJ)
1位:「すらっと 果肉入りグレープフルーツ」350ml、アサヒビール
2位:「氷結 レモン」350ml、キリンビール
3位:「-196℃ ストロングゼロ ダブルレモン」500ml、サントリー酒類
4位:「-196℃ ストロングゼロ ダブルレモン」350ml、サントリー酒類
5位:「ほろよい もも」350ml、サントリー
6位:「すらっと すっきり白ぶどう」350ml、アサヒビール
7位:「氷結 グレープフルーツ」350ml、キリンビール
8位:「コーラショック ゼロ」350ml、キリンビール
9位:「コーラショック」350ml、キリンビール
10位:「氷結 レモン」500ml、キリンビール

“嗜好の多様化”と“飲みやすさを重視”する傾向がある若者や女性の支持で伸び続けている低アルコール飲料市場ですが、やはり消費者のニーズをつかむキーワードは「健康」のようです。

Photo_2 「すらっと」(写真)を見ると、最初に目に入るのは『88kcal』というカロリー表示です。そして、次に目を引くのは「果肉入りグレープフルーツ」という文字とグレープフルーツの写真です。このカロリー表示法は、ノンアルコール飲料としてヒットした「キリン フリー」の『0.00%』と共通するものがあります。また、飲んだ際に搾りたての果汁を入れたようなみずみずしさを感じられる商品であることをアピールしたデザインにも、購買意欲を駆り立てられます。

このように消費者のニーズを細かく捉えながら伸びている低アルコール飲料ですが、販売側にはもう1つ大きな取り扱いメリットがあります。

それは、粗利益率の高さです。

通常、ビールの粗利益率は15%~20%程度、第3のビールでも25%程度が一般的です。しかし、「すらっと」や「氷結」などの低アルコール飲料の多くは、粗利益率が25%~30%以上もあります。また、コンビニでは新商品として発売された当初(約2週間~4週間)、特別原価として40%近い粗利益率をもらえる商品もあります。

これだけ粗利益率が高く、季節性も出しやすい魅力的な商品群であるにも関わらず、力を入れていないコンビニやスーパーがなんと多いことか。

一度、自店のビールと発砲酒、さらには第3のビールと低アルコール飲料の陳列フェィス数、販売本数、販売金額、粗利益額を出して比較してみてください。そこに表れている数値を見れば、「もう少し、低アルコール飲料に力を入れよう!」と考える店が増えてくると思います。

2010-02-14

顧客にとって価値ある商品は、「高くても売れる!」

マクドナルドが始めた「Big Americaキャンペーン」の売れ行きが予想以上で、販売スケジュールや販売地域が変更されるという記事をインターネットニュースで見かけました。

確かに、普段あまりマクドナルドのハンバーガーを食べたいと思わない私も、テレビCMの影響でテキサスバーガーを買ってしまいました。価格は420円と高かったのですが、ジューシーでボリュームたっぷりの1/4ポンドビーフパティ(通常のビーフパティの約2.5倍)は食べ応え十分でした。また、サクッと揚げたフライドオニオン、チーズ、旨みたっぷりのベーコンの組み合わせはCMで流れていた荒野のテキサスをイメージさせる作りで、マクドナルドのマーケティング戦略のうまさに改めて感じ入ってしまいました。

Photo_2 また、これがシリーズだという点もリピーター獲得には有効なのでしょう。その証拠に、私の昨日のランチは第2弾の「ニューヨークバーガー」(写真)でした。こうして私は、第3弾の「ハワイアンバーガー」(2月下旬~3月中旬)、第4弾の「カリフォルニアバーガー」(3月中旬~3月下旬)と買い続けるのだと思います。

しかし、このような低価格志向の流れと逆行するような現象は、商品そのものの「価値」とシリーズで味を楽しむという「付加価値」が、420円という高い金額を払った人のニーズを満たしているからにほかなりません。

先日、これと同じような現象が私の顧問先のコンビニでもありました。
そのコンビニでは以前、お酒のつまみを充実させて他店との差別化を図ろうと、『しめさば』(280円)を品揃えをしてみました。しかし、1週間に1個か2個しか売れず、1ヶ月も経たずに販売を止めました。売場担当者は、「おいしいけど、切るのがめんどうなんですよね。だから、売れないんじゃないですか」と話していました。

しかし、数ヶ月経ったつい先月、本部がカット済みの「しめさば」を推奨してきたのです。
ただ、値段が398円と高くなっているので、担当者は売れるかどうか心配でした。

そこで、「カットされています。すぐ食べられて便利!」

と、売れない理由が解決されたことをPOPで強調しました。するとどうでしょう、、今度の商品は100円以上も高いにも関わらず、1週間に10個以上も売れるようになったのです。

いま、コンビニでも398円弁当やPB商品の取り扱い拡大により、低価格化傾向が進み、客単価の下落(日商の低下)を招いています。しかし、お客様がコンビニに求めている“価値”は、『便利さ』なのだということを「しめさば」の事例で改めて確認することができました。

2010-02-07

バナナのニーズ多様化と「売場作り」への提案

昨日、新聞に掲載されていたバナナに関する記事を読んでいたら無性にバナナが食べたくなり、さっそく近所のスーパーに出かけてきました。すると、私が行ったスーパーの果物売場(エンドゴンドラ)では、さまざまなバナナが販売されていました。

Photo_3 フィリピン産(4本:セール品、ちょっと小さめ)=158円
フィリピン産「甘熟王」(4本)=298円
フィリピン産「甘熟王」(1本)=138円
エクアドル産「サニート」(4本)=298円
エクアドル産「サニート」(1本)=150円
台湾産(4本)=398円

  私は酸味のあるあっさりタイプよりも、甘みのあるもちもちとした「高地産バナナ」が好きなので、いままでに食べて味を知っている「甘熟王」(4本)を買いました。このバナナは1本の重さがなんと200g、とても食べ応えがあり満足できるものでした。

新聞記事によると、バナナの輸入量は2009年が125万2611㌧で、過去最高だった08年を15%上回ったそうです。そういえば、2008年には「朝食にはバナナと水だけ」という“バナナダイエット”がブームとなり、多くのスーパーやコンビニでは連日バナナが品切れになるほど売れていました。通常、このようなブームが去った後、販売量は落ちるものですがバナナ人気は続いているようです。

新聞記事内では、そのひとつの要因としてマラソンブームを取り上げていました。確かに、最近では全国各地で市民マラソン大会が頻繁に開催され、その会場では栄養補給のためにバナナが提供されています。そのため、多くのランナーが「エネルギー補給にはバナナが一番」と考え、普段の練習時にも食べているようです。

Photo_6 また、もうひとつの要因として、朝食にバナナを食べる人が増えているということが書かれていました。日本バナナ輸入組合の「バナナ大学」サイト内にある「朝食に食べているもの」の調査結果を見ると、バナナはパン、ご飯に次ぐ第3位でした。

さらに、月刊コンビニ12月号(商業界)に掲載されていた特集:「若い単身者が作る『内食メニュー』」に紹介されていたデータを見ると、若年単身者が家庭で食べる朝食メニューの「ご飯」の出現率(TI値)は135.24、「食パン」は133.43、「バナナ」は133.63となっており、いかにバナナが朝食で頻繁に食べられているかがわかります。バナナは栄養が豊富で、割安感があり、皮をむくだけですぐに食べられるので、ひとり暮らしの忙しい朝にはもってこいの食材なのでしょう。

しかし、これだけ人気のあるバナナですが、コンビニやスーパーの売場対応は不十分な店が多いのではないでしょうか。

まず、コンビニでは多くの店が、フィリピン産:1本(約120㌘)=105円~120円程度の商品しか扱っていません。若者単身者の朝食需要を考えた時、販売チャンスを得やすいのはコンビニです。できれば、あっさりとした酸味のあるバナナだけではなく、私が購入したような重量感のある甘くてもちもちとした高地産バナナも扱い、朝食需要を喚起するようなPOPを付けてほしいと思います。

また、朝食用には高地産が適していますが、マラソンには疲労回復に効果がある酸味のあるバナナが好まれるなど、バナナに対する消費者ニーズも多様化しています。それらのニーズに合わせた幅広い品揃えや商品提案力は、まさにスーパーならではの“強み”です。ぜひ、積極的な売場作りを行っていただきたいと思います。

※TI値
『㈱ライフスケープマーケティング』社が関東360世帯の毎日の食卓をJANコードベースで観察している食卓データベース(食マップ)で使用している指標。1000世帯あたりのメニューおよび食材出現率を意味しています。
【㈱ライフスケープマーケティング社】 
http://www.lifescape-m.co.jp/

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