バナナのニーズ多様化と「売場作り」への提案
昨日、新聞に掲載されていたバナナに関する記事を読んでいたら無性にバナナが食べたくなり、さっそく近所のスーパーに出かけてきました。すると、私が行ったスーパーの果物売場(エンドゴンドラ)では、さまざまなバナナが販売されていました。
フィリピン産(4本:セール品、ちょっと小さめ)=158円
フィリピン産「甘熟王」(4本)=298円
フィリピン産「甘熟王」(1本)=138円
エクアドル産「サニート」(4本)=298円
エクアドル産「サニート」(1本)=150円
台湾産(4本)=398円
私は酸味のあるあっさりタイプよりも、甘みのあるもちもちとした「高地産バナナ」が好きなので、いままでに食べて味を知っている「甘熟王」(4本)を買いました。このバナナは1本の重さがなんと200g、とても食べ応えがあり満足できるものでした。
新聞記事によると、バナナの輸入量は2009年が125万2611㌧で、過去最高だった08年を15%上回ったそうです。そういえば、2008年には「朝食にはバナナと水だけ」という“バナナダイエット”がブームとなり、多くのスーパーやコンビニでは連日バナナが品切れになるほど売れていました。通常、このようなブームが去った後、販売量は落ちるものですがバナナ人気は続いているようです。
新聞記事内では、そのひとつの要因としてマラソンブームを取り上げていました。確かに、最近では全国各地で市民マラソン大会が頻繁に開催され、その会場では栄養補給のためにバナナが提供されています。そのため、多くのランナーが「エネルギー補給にはバナナが一番」と考え、普段の練習時にも食べているようです。
また、もうひとつの要因として、朝食にバナナを食べる人が増えているということが書かれていました。日本バナナ輸入組合の「バナナ大学」サイト内にある「朝食に食べているもの」の調査結果を見ると、バナナはパン、ご飯に次ぐ第3位でした。
さらに、月刊コンビニ12月号(商業界)に掲載されていた特集:「若い単身者が作る『内食メニュー』」に紹介されていたデータを見ると、若年単身者が家庭で食べる朝食メニューの「ご飯」の出現率(TI値)は135.24、「食パン」は133.43、「バナナ」は133.63となっており、いかにバナナが朝食で頻繁に食べられているかがわかります。バナナは栄養が豊富で、割安感があり、皮をむくだけですぐに食べられるので、ひとり暮らしの忙しい朝にはもってこいの食材なのでしょう。
しかし、これだけ人気のあるバナナですが、コンビニやスーパーの売場対応は不十分な店が多いのではないでしょうか。
まず、コンビニでは多くの店が、フィリピン産:1本(約120㌘)=105円~120円程度の商品しか扱っていません。若者単身者の朝食需要を考えた時、販売チャンスを得やすいのはコンビニです。できれば、あっさりとした酸味のあるバナナだけではなく、私が購入したような重量感のある甘くてもちもちとした高地産バナナも扱い、朝食需要を喚起するようなPOPを付けてほしいと思います。
また、朝食用には高地産が適していますが、マラソンには疲労回復に効果がある酸味のあるバナナが好まれるなど、バナナに対する消費者ニーズも多様化しています。それらのニーズに合わせた幅広い品揃えや商品提案力は、まさにスーパーならではの“強み”です。ぜひ、積極的な売場作りを行っていただきたいと思います。
※TI値
『㈱ライフスケープマーケティング』社が関東360世帯の毎日の食卓をJANコードベースで観察している食卓データベース(食マップ)で使用している指標。1000世帯あたりのメニューおよび食材出現率を意味しています。
【㈱ライフスケープマーケティング社】
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