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2010-05-30

「ちょっと贅沢」で平日の客単価アップ

先日、「プリンセス・トヨトミ」(万城目学:文藝春秋)を読んでいると、登場人物の1人である中年男性の会計検査員が一日に何度もアイスクリームを食べるシーンが出てきました。そのシーンを読むたびに私もアイスクリームが食べたくなり、思わず隣のコンビニに買いに出かけてしまいました。

Photo 私が買い求めたのは、森永乳業が「デイリープレミアム」という新たなコンセプトでリニューアルした『パルム』(税込み:120円)です。最初にパルムのテレビCMを見た時、「どうして、アイスのテレビCMにヒゲ面の寺尾聰を起用したのだろう。どう見てもアイスが美味しそうに見えないよな・・・」と不思議に思っていたのですが、日経ビジネス:5月10日号の「平日の『ちょっと贅沢』に商機」という記事を読んで、寺尾聰のCM起用に納得しました。

森永乳業が2009年7月に行った消費者調査では、「平日、ちょっとした贅沢をしたいと思う」人が約90%に上ったという。加えて、「週末の贅沢のレベルを落としてでも、平日にちょっとした贅沢を楽しみたい」と考える人も半数以上いた。
そこで、森永乳業は2009年9月上旬、パルムシリーズ全品のパッケージデザインを刷新。ブランドメッセージである「なめらかな口どけ 上質の証」をアピールしたブランドロゴを採用すると同時に、プレミアム感を彷彿させる絹のような布地をモチーフに背景をデザインした。
CMには寺尾聰氏を起用し、「仕事後の夜にちょっと贅沢なモノを楽しみ、ストレスを発散したい」という消費者ニーズに応えるイメージをPRした。

この「ちょっと贅沢な気分が味わえる」というコンセプトが消費者に受け入れられ、数十円高くても販売は好調で、リニューアル前の約50%伸びているそうです。

Photo_2 このような商品として、サントリー「ザ・プレミアムモルツ」や老舗のフリーズドライのカップ味噌汁などが取り上げられていました。確かに、コンビニのスイーツなどでも同様の現象は出始めています。これらの背景には、リーマンショック以降の節約生活に対する疲れがあるのではないかと思います。
しかし、まだまだ週末に思いっきり贅沢する時期ではないので、平日の仕事後にちょっとした贅沢をするという消費行動が平日の消費金額を押し上げているのではないでしょうか(グラフ参照:日経ビジネスより)。

スーパーもコンビニも週末の客単価アップを狙い高額商品を投入する傾向が強いのですが、この平日の消費行動の変化を丁寧に拾っていくことの方が、いまは得策なのかも知れません。

2010-05-23

POP作成に役立つ「擬音語」の活用

Photo私が通っているスポーツジムの男性用トイレの前には、ゴルフをする人向けのスポーツ飲料&サプリメントのポスターが貼ってあります。そのポスターには、次のような4つのシーンがイメージできる写真が付けられており、商品の利用を薦めています(写真)。

【集中&回復】集中したい時や疲れがちな時に(BCAA顆粒タイプ)
【エネルギー&水分補給】ラウンド中に飲むドリンクを探している時に(CCDドリンク)
【回復&パワー】誰よりも遠くに飛ばしたい時や後半が崩れがちな時に(クエン酸&BCAA)
【回復】翌日もがんばりたい時に(エキストラ・アミノ・アシッド)

トイレを利用するたびに、「このようにアピールをされると、ひとつでもスコアを伸ばしたいゴルフ好きは使ってみたくなるのだろうな」と、購買意欲を喚起するポスターに明確な理由もなく感心していました。

しかし、つい先日、日経MJ(2010.5.14)に掲載されていた『感情表す擬音語、販促に活用』を読んで、「なるほど、そうだったのか!」と思わず納得してしまいました。

Photo_2 博報堂生活総合研究所は2010年2月、全国の20~59歳の男女計6000人に感情オノマトペに関するインターネット調査を実施した。(中略、オノマトペ=擬音語)
個別の感情オノマトペに注目すると、「じーん」では61.6%の女性が感じたのに対し、男性は40.4%どまりと最も男女差が大きかった。感じた理由を自由回答で聞いたところ、女性は「オリンピック選手の母親のコメントで」「親がやさしい言葉をかけてくれた」といった「バーバル(言葉)系」に“じーん”とする一方、男性では「オリンピックで選手ががんばっている姿を見て」「娘の学芸会を見て」といった「ビジュアル(行動・姿)系」に心を打たれているようだ。(中略)
「こういった感情オノマトペの各語についての情報を知っていると店頭販促物(POP)などを作る時などに役に立つ」と夏山氏は解説する。たとえば、じーん。女性に商品を手に取らせるには、キャッチコピーなど言葉の力が大切となる一方、男性の場合は、具体的な場面を思い起こさせるような仕掛けが重要となる。男女差を意識した使い分けが求められる。

そうか、だから私はスポーツジムのポスターに心を動かされたんですね。
いまの時代、お客様は「物」そのものよりも、そこから得ることのできる「精神的満足」や「心の豊かさ」を求めています。『感情オノマトペ』のような視点は、POPやポスター、リーフレットなど店頭販促物を作成する上で、今後ますます重要なポイントとなりそうです。

2010-05-16

「フランチャイズ店戦略」と「直営店戦略」、どちらが有利?

400 2010年4月26日号の日経ビジネスの特集は「勝つための撤退」(マクドナルド400店閉店の勝算)でした。

日本マクドナルドホールディングスCEO(最高経営責任者)・原田泳幸氏は2月の決算説明会の席上で、「2010年内に、全店舗の1割に相当する433店舗を閉店する」という方針を説明し、会場がどよめいたと記事に書かれていました。しかし、この業績好調期の閉店は主に不採算店舗やマクドナルドが目指す店舗作りに対応できない物件などが対象になっており、前向きな閉店であると評価されているようです。

また、マクドナルドは財務体質の強化も積極的に進めています。その1つが、直営店のフランチャイズ(FC)化です。マクドナルドは数年前から直営店のFC化を積極的に進めており、2009年12月期末には全3715店の54%がFC店。ここ1年間でFC店比率は12ポイントも上昇しています。
将来的にこの比率は7割まで上げられる予定で、固定費比率が減少するため総資産経常利益率の改善につながります。

しかし、コンビニ業界ではマクドナルドと逆の戦略で好調な業績を上げているチェーンがあります。それは北海道を中心に出店している『セイコーマート』です。

北海道が地盤のコンビニエンスストア、セイコーマート(札幌市、丸谷智保社長)が業界全体の苦境を尻目に好調だ。増収は5期連続。食材や調味料にまでさかのぼり自ら生産する100円総菜や、割安なプライベートブランド(PB=自主企画)商品が、厳しい経済環境にある北海道で消費者の心をつかむ。新店開発もグループ直営のみ。業界常識にとらわれない異色の経営で、新しいコンビニのかたちを作ろうとしている。(2010.5.14、日経MJ)

大手コンビニの直営店比率は約6%~12%程度ですが、セイコーマートの直営店比率は今年3月末時点で北海道の全店舗約970店の半数を占めています。当初は加盟店オーナーの高齢化や後継者不足の受け皿として直営店化を進めてきたようですが、現在はFCオーナーは新たに募集をせず、新規出店は全て直営にしているそうです。

確かに、直営の方が本部で把握する売れ筋情報などを品揃えに直接反映したり、費用がかかる改装や店舗の再配置をしたり、さらには従業員の教育を強化するなど、消費者ニーズ変化への対応力は強くなるでしょう。しかし、FCに比べ店舗運営効率が低下し、本部の財務体質は悪化することなります。

最近では大手コンビニが既存オーナーに複数店経営を勧め、セイコーマートとは逆に直営店を減らそうとしている動きもあります。

財務体質改善につながる「FC店化戦略」と徹底力・対応力につながる「直営店化戦略」、どちらに軍配が上がるのか、コンビニ業界・外食業界いずれも目が離せなくなりそうです。

2010-05-09

「農産物直売所」を支持する消費者が増加中!

Photo_7 今年のゴールデンウィークは全国的に晴天に恵まれ気温も高かったため、スーパーやコンビニでは売上が前年を大きく上回った店も多く、厳しい売上状況の中、一息つけた連休だったのではないでしょうか。私も久しぶりに宇都宮(栃木県)の実家に出かけ、東京では味わえないのんびりした時間を過ごしてきました。

滞在中、両親がスーパーに買い物に行くというので私も同行しました。お目当てはトマトや大根など野菜の購入です。しかし、スーパーには値段と品質のバランスが取れたトマトがなかったため、すぐ近くのドラッグストアに隣接している農産物直売所に移動しました。

Photo_3すると、スーパーはお客様がほとんど居なかったにも関わらず、直売所は野菜やくだもの、さらには柏餅や赤飯など農家手作りの食品類を買い求める人でいっぱいでした。

しかし、ここでも納得のいくトマトはなく、車で10分程度の郊外にあるひと回り大きな農産物直売所に移動し、ようやく気に入った商品を買い求めることができました。私は「何もそこまでこだわらなくても・・・」と思うのですが、このように農産物の品質へのこだわりはうちの両親だけではないようです。

昨年の12月23日(水)の日経MJに掲載されていた農畜産物の「普段Photo_4の購入場所」(グラフ参照)を見ると、最も多いのはスーパーで直売所は4位ですが、「今後購入を始めたい、または頻度を増やしたい場所」は、『道の駅や直売所』が27.4%とスーパーの16.5%、生協の9.4%を大きく上回っています。

直売所は立地や品揃えが限られているため、現時点ではスーパーにとって大きな脅威にはなっていませんが、ホームセンターが敷地内にフランチャイズで直売所を出店するなど、新たな動きも出てきています。

今後、スーパーもコンビニ同様、「業態間競争がますます厳しくなりそうだな」と感じたゴールデンウィークでした。

2010-05-02

あなたの「幸福感」と仕事の関係は?

「あなたの『幸福感』は10点満点で何点ですか?」と聞かれたら、あなたは何点と答えますか?
4月28日(水)の日本経済新聞:朝刊に「国民の幸福感6.5点」という記事があり、思わず自分の幸福感は何点だろうと考え込んでしまいました。

Photo_8 内閣府は27日、国民に幸福感を10段階で聞く初めての調査の結果を公表した。幸福感は平均値で6.5点となり、同様の調査をした欧州諸国28ヵ国の平均値の6.9点に比べて0.4点低かった。欧州で最高のデンマーク(8.4)やフィンランド(8.0)とは開きがあるほか、英国やドイツ、フランスも7点台で、日本はこれらを下回る結果になった。
調査は15歳~80歳までの全国の男女4000人を対象に3月に実施し、2900人から回答を得た。10点を「とても幸せ」、0点を「とても不幸」と設定したうえで、どの程度幸せかを点数で聞いた。

「幸福感」と言われても、何を基準にして考えるかは人それぞれだと思います。また、調査対象となった人は15歳~80歳と年齢に幅があり、人生のステージごとに何を重視して幸福感を考えるかも変化すると思います。

そこで、「何を判断材料として幸福感の点数をつけたのだろう?」と、内閣府の調査概要を見たところ、「自分の理想との比較」が64.0%、「将来への期待と不安」が55.7%、「過去の自分との比較」が30.2%、「他人との比較」が26.8%。重視した項目としては、
健康状況(69.7%)、家族関係(66.4%)、家計の状況[所得・消費](65.4%)が上位を占めていました(図表問3:参照)。

確かに、私も今年で52歳になり健康上のトラブルに遭遇する機会が増えてきました。また、妻や子供だけではなく、自分や妻の両親なども含めた家族の関係性にも変化が生まれ始めています。今回の調査報告には各問いの年齢別データが出ていませんでしたが、50歳以上のみを対象にした場合、「健康状況」「家族関係」はあと10~20%程度数値が上がるのではないかと思います。

Photo_9 幸福感を考える時、仕事ではどのようなことが重視されているのだろうと、【仕事】分野の最も重視する項目に関するアンケート結果を見たところ、1位:「賃金などの報酬」42.4%、2位:「雇用の安定」40.6%、3位:「仕事と生活のバランス確保」39.5%、4位:「仕事のやりがい」36.2%、5位:「職場の人間関係」20.9%という結果でした(図表問8:参照)。

現在のように雇用不安や賃金の伸び悩みが続く労働環境では、「賃金などの報酬」「雇用の安定」が上位になるのは当然です。しかし、限られた収入の中でいかに「自分らしい生活」をするか、仕事の中にいかに「意味(自己の成長や社会貢献など)」を見い出していくか、という若い世代の価値観の変化が3位:「仕事と生活のバランス確保」39.5%、4位:「仕事のやりがい」の数値の高さに表れているのではないでしょうか。



※調査の
【内閣府:平成21年度 国民生活選好度調査の概要】

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