「新入社員」「先輩社員」それぞれが気になる言動とは?
日本経済新聞の土曜日版には「NIKKEIプラス1」という付録があり、1面には『何でもランキング』という特集が掲載されています。昨日のテーマは「先輩と新人 お互いのここが気になる!」というもので、社内コミュニケーション研修を主な仕事としている私にとって大変興味深い内容でした。
■先輩社員に聞いた「気になる新人の言動」
①メモを取らずに同じことを何度も聞く 502
②あいさつがきちんとできない 435
③指示待ちで言われたことしかやらない 430
④雑用を率先してやろうとしない 350
⑤同じミスを何度も繰り返す 324
⑥注意するとふてくされた態度をとる 307
⑦ホウレンソウ(報告、連絡、相談)ができない 247
⑧敬語がうまく使えない 233
⑨感情表現に乏しい 213
⑩注意してもどこかひとごとでいる 209
■新人に聞いた「改めてほしい先輩の言動」
①あいさつをしたらきちんと返して 531
②機嫌が悪いと口調が荒くなるのはやめて 409
③指示はこまめに出して 342
④飲み会はだらだら続けず、終わり時間を決めて 311
④日々の業務の意味や目的をきちんと説明して 311
⑥「ゆとり世代」とレッテルを張らないで 302
⑦カラオケや一発芸の強要はやめて 301
⑧「1度教えたでしょう」という態度で接するのはやめて 292
⑨情報はきちんと共有して 273
⑩先輩同士の悪口を吹き込まないで 267
※新聞には15位まで掲載されていたが、10位まで紹介。
《調査方法》
インターネット調査会社のマクロミルを通じて、2010年度の新入社員と、職場に新入社員を迎えたか、日常的に接する30~40代前半の先輩社員に尋ねた。有効回答は各516で男女同数。まず、当てはまる項目をいくつでも選んでもらい、そこから「特に気になる」ことなどを最大3つまで選んでもらった。
まず、「気になる新人の言動」の1位:『メモを取らずに同じことを何度も聞く』に対して、紙面ではメモの取り方の上達方法を解説していましたが、そういうことではないのでは?と私は感じました。
上司から業務上の話を聞く時、聞いたことを正しく理解するためにメモを取ることはもちろん必要ですが、それだけがメモを取る目的ではありません。
皆さんは自分が話し手であった場合、相手が話をしっかりと聞いているか理解しているかをどこで判断していますか? おそらく相手の「相づち」や「表情」など目に見えるものから判断していると思います。それと同様に、メモを取るという行為は「私はあなたの話をしっかり聞いています」という相手に対する意思表示なのです。また、この行為は相手を先輩として『認める』ことにもつながるのです。
ですから、「言われたことを忘れないためだけにメモを取るのではなく、先輩や上司に『自分はしっかり聞いています』という思いを伝えるためにも、メモを取ることは大切なのだ」ということを先輩や上司は後輩に教える必要があるのです。
次に気になったのが「気になる新人の言動」2位:『あいさつがきちんとできない』と、「改めてほしい先輩の言動」1位:『あいさつをしたらきちんと返して』です。
新人に対してあいさつで不満を漏らす先輩が多い一方、新人があいさつをしているにも関わらずパソコンの画面を見たままあいさつをするなど、相手を見ないであいさつを返している先輩も多いようです。
これも、気持ちの良いあいさつや円滑なコミュニケーションのためには、いかに「表情」や「態度」が重要かということを表しています。
アメリカの心理学者であるアルバート・メラビアンの実験によると、言葉の内容が相手に伝わる割合は、言語情報が7%、聴覚情報(声のトーン)が38%、視覚情報(表情)が55%だとされています。
この実験からも、いかに私達は言葉そのもの以外から相手の真意を判断しているかが分かります。職場で自分の思いを正しく相手に伝え、理解してもらうためにも「表情」「態度」をより意識してコミュニケーションを取っていく必要がありそうです。