「こんがり焼き魚パック」で鮮魚売り場の客単価アップ!
時々、酒のつまみを買いに行く御徒町のスーパー『吉池』(東京:台東)の店頭には焼き魚の売場があり、さば・さんま・ほっけなどの定番商品を中心に、旬の魚が次から次へと焼き上げられています(写真)。
今回の旬の魚は「あゆの塩焼き」でした。思わず、たで酢を搾った鮎の塩焼きを肴に淡麗辛口の冷酒を一杯、という組み合わせを想像してしまいました。しかし、買っているのは私のようにつまみ目的の客だけではありません。主婦が夕食のおかずとして2~3品購入していく姿を多く見かけました。
スーパーで「焼き魚」を購入する場合、吉池のようにすでに焼き上がっている商品の中から選ぶのが当たり前だと思っていましたが、その常識を覆す販売方法を始めた事例が日経MJ(2010.5.26)に紹介されていました。
小田急電鉄グループのスーパー「オダキューOX」は鮮魚売り場の魚を焼いてから販売するサービスを始めた。今夏をメドに小規模店を除く全店に広げる。売り場にあるすべての魚が対象で、店頭価格に手数料を上乗せする。魚の総菜を販売するスーパーは多いが、客の注文を受けて焼きたてを提供するのは珍しい。魚を焼く手間やにおいを敬遠する客の需要を見込む。
鮮魚売り場にある魚の切り身やひもの、エビなど50~60品が対象。客の注文を受けてから店内で焼く。イワシなどの小さな魚なら5分ほど、イサキなど大型の魚は20分ほどかかる。2~3キログラムあるタイなども1時間近くかけて焼く。手数料は焼き時間によって異なるが100~300円程度。
これはいいですね!
どうしてもスーパーで販売されている焼き魚類は定番物ばかりで飽きてしまうし、選ぶ楽しさがありません。その点、このように自分の好みで魚類も焼いてもらえるのであれば、魚売場の利用頻度は上がるでしょう。また、その店にいく理由(来店目的)も生まれます。さらに、焼き上がるのを待っている間に買い物をすると思うので、滞店時間が延び客単価アップも期待できそうです。
最近、魚を焼く手間や臭いが台所に残るのを嫌う主婦が増えているそうです。その影響でスーパーやコンビニ、商店街の魚屋などの「焼き魚」が売れているのでしょう。また、そのような主婦のウォンツ(潜在的ニーズ)に目をつけて開発された調理用品も売れています。
それは、小林製薬の『こんがり焼き魚パック』(写真)です。
この商品は魚を専用パックに挟んでレンジアップするだけで「こんがりと美味しい焼き魚」ができるという優れもので、東急ハンズの電子レンジ関連用品では一番の売れ筋になっているそうです。しかし、近隣のスーパーを5店回ってみましたが、干物や切り身売場にこの商品を置いている店はありませんでした。
オダキューOXのような取り組みは大変だと思いますが、干物や切り身売場に『こんがり焼き魚パック』を置き、「焼き魚は食べたいけど、手間が・・・、臭いが・・・」という理由で購入をためらっているお客に対してその解決法を提案することは、どのスーパーでもすぐに取組める販促手法ではないでしょうか。