« 2010年6月 | トップページ | 2010年8月 »

2010-07-25

猛暑効果でコンビニの前年割れは回復?

猛暑が続く中、青森で「ねぶた」を見てきました。
とは言っても、本番のねぶた祭りは8月2日~7日に開催される予定なので、私が見てきたのは制作中のねぶたです。

青森を訪れたのは法人会でセミナーをすることが目的だったのですが、以前にコーチング研修でお世話になった会社の社長さんに市内を案内していただく時間がありました。そこで、連れて行っていただいたのが青森港にある「ねぶた団地」です。

Photo 青森港には縦・横・奥行きそれぞれが約10㍍はあろうかという巨大なテントが十数個並んでいて、その中では今年の新しいねぶたが制作中でした。私が見せていただいたねぶたは「独眼竜正宗」をモチーフにしたもので、制作に携わっている方が社長さんの身内ということもあり、わざわざ照明を入れていただくことができました(写真)。

このような山車燈籠が次から次へと繰り出すねぶた祭りは、さぞ勇壮なお祭りなのでしょうね。機会があれば本番の「ねぶた」をぜひ見てみたいと思います。

さて、そんな夏真っ盛りの日本列島、24日も気象庁の観測点150ヶ所以上で気温が35度以上の「猛暑日」を観測しており、この暑さが今後一週間は続き、残暑も厳しい夏になるといわれています。

この猛暑のおかげでエアコン、涼感をうたう寝具、速乾性の機能性肌着などが昨年の倍以上も売れている家電店・百貨店・スーパーがあるそうです。また、コンビニでもアイスクリーム、ソフトドリンク、栄養ドリンク、ビール、冷やし麺類などが昨年の1.5倍~2倍も売れていて、昼時などオフィス街では冷やし麺類が品切れしているコンビニも続出しています。

6月まで19ヶ月連続で既存店前年割れをしてきたコンビニですが、タスポ導入効果の反動が一巡したことと猛暑のおかげで7月は久しぶりに前年割れを回復できるかもしれません。

しかし、暑さが続くとアイスや冷やし麺類などさっぱりしたものを求める人ばかりではありません。うなぎや焼肉系弁当などスタミナ食もバランスよくアピールしながら、しっかりと多様化するニーズに応えていくことが必要です。

2010-07-18

西武池袋店が狙うのは「130万人の通行客」?

昨日、久しぶりに西武池袋本店(東京・豊島区)に行ったところ、地下1階の食品売り場のあまりの変貌ぶりに驚いてしまいました。何に一番驚いたかというと、本館南入り口に「ねんりん家」が入っていたことです(写真)。

Photo 「ねんりん家」はバームクーヘンショップとして大変人気が高く、松坂屋銀座店や大丸東京店にも入っています。運営は㈱グレープストーンという会社なのですが、東京みやげで有名な『東京ばな奈』を作っている会社と言ったほうがわかりやすいかも知れません。

実はこの「ねんりん家」、同じ池袋駅に隣接している東武池袋店に入っていました。しかし、6月10日に閉店し、2週間後の6月24日に西武池袋店にオープンをしたのです。
私の推測ですが、西武池袋店が地下食品売り場:リニューアルの目玉として、この人気の高い「ねんりん家」をかなり良い条件で誘致したのではないかと思います。

また、京料理で有名な「美濃吉」も入っていました。
リニューアル前、和食惣菜分野では西武池袋店が「なだ万」、東武池袋店が「美濃吉」とすみ分けができていたのですが、「美濃吉」が入ったことで選択の幅が広がり、和食好きにとって西武池袋店の使い勝手は格段にアップしたのではないでしょうか。

7月16日に日本百貨店協会から発表された6月の百貨店売上高は、前年同月比6.0%減と大変厳しい数字でした。年初から百貨店の売上には持ち直し傾向が見られていましたが、中元商戦が振るわなかったことが大きな要因になっているようです。

また、1~6月の全国百貨店売上高は、30,184億円(総額:前年比-4.4%)、さらにその内訳の一部を見ると、下記のようになっています。

紳士服・洋品  2,014億円(-6.5%)
婦人服・洋品  7,199億円(-6.0%)
その他衣料品 1,744億円(-6.5%)
身の回り品   3,788億円(-4.0%)
雑 貨      4,210億円(-3.6%)
家庭用品    1,538億円(-3.0%)
食料品      7,751億円(-3.3%)
サービス      353億円(-2.2%)
その他      1,465億円(-2.2%)

まだまだ厳しい売上状況の中、比較的前年比の落ち込みが少なく、売上規模が大きい「食料品」に百貨店が力を注ぐのは納得できる戦略です。
また、食品商業(商業界):3月号に掲載されていたセブン&アイ・ホールディングスの取締役で西武百貨店:食品売り場の改革リーダーである大高善興氏がインタビューで話されていた内容を思い出しました(参照:以下引用文)。

ターミナル駅の百貨店には、通行されているお客さま、住んでいるお客さま、百貨店の買い物自体を目的に来店されるお客さまの3種類がある。しかし、これまでは3つ目のわざわざ来店されるお客さましか相手にしてこなかった。130万人の通行客、地域に住んでいるお客さまへの商売をしてこなかった。
(百貨店のPB取り扱いに関する質問に対する回答より抜粋)

2010-07-11

部下にも学ばせよう!「職場のコミュニケーション」

(社)日本経営協会では、企業・団体における組織内コミュニケーションの現状と組織外への情報開示の実態把握を目的として、2年に1回の頻度で「ビジネス・コミュニケーション実態調査」を行っています。先日、その報告書となる『ビジネス・コミュニケーション白書2010』の実態調査ハイライトを見る機会がありました。

私が特に関心を持ったのは下記の内容です(日本経営協会:ホームページより)。

◆組織内コミュニケーションの現状については、
「満足できない」が「満足できる」の2倍の65.8%に。その内容としては、「部門間の横のコミュニケーションが不足」が今回も第1位で75.5%、わが国組織の縦割り傾向への危機感を感じさせる結果となった。

◆組織内コミュニケーションを進める上でのネックとしては、
「業務多忙」が今回も51.7%で第1位。また「対面コミュニケーションの減少」も40%を超えて2位に。

◆組織内コミュニケーションについての重要度の認識度合は、
「組織活性化のために不可欠」89.3%、「業績向上のために」44.3%。

◆組織内・職場のよいコミュニケーションのために必要なことは、
「必要とする情報が共有できる環境」80.5%、「組織目標の共通理解」62.8%、「相手を理解しようとする意識」47.3%が今回の3本柱。

これらの内容から、コミュニケーションの大切さは理解しているが、「なかなか時間が取れない」「話す機会が減ってきている」という現状が読み取れます。

私が行っている管理職者向けの『コミュニケーション力アップ研修』では、事後課題として「研修で学んだスキルとマインドを活用し、部下のいま取組んでいる業務(目標)に関する話を30分間聞いてくる」という課題を出しています。

すると、提出された課題シートには、
「部下が思っていた以上に自分の考えを持っていた」
「部下の本音を初めて聞くことができた」
「今まで話す機会を設けなかったことが、いかにやる気を低下させていたかが理解できた」
というような感想・反省が多く出てきます。

そこから、日々の業務が優先され、組織目標や問題点に関する共通認識を持つためのコミュニケーション時間が後回しにされていることを常々懸念していました。白書の調査結果を見る限り、この懸念が多くの職場の現状なのだということを再確認しました。

また、「組織内・職場のよいコミュニケーションのために必要なこと」の3本柱を見ると、管理職者へのコミュニケーション力アップ研修だけでは片手落ちだなと感じます。

なぜなら、コミュニケーションは“双方向”だからです。

Photo_3 最近は、管理職だけではなく、若手社員にもコミュニケーションの取り方(特に報告・連絡・相談)を教えたいというニーズが増えています。
そこで、私も組織内における『部下のコミュニケーション力アップ』を目的に若手社員向けの研修機会を作ることで、企業のより良い“コミュニケーション環境作り”に貢献していきたいと考えています(写真のチラシはその一例)。

2010-07-04

消費者は商品の「付加価値」にお金を払う

Photo 昨日、オリジン弁当の前を通った時、フロントガラスに貼ってあるポスターが目に止まりました(写真)。『管理栄養士が考えた20品目のバランス弁当』というネーミングに惹かれたのは、朝刊でセブンイレブンが管理栄養士:監修の栄養バランスを考えた日替わり弁当を500円で販売するという記事を目にしていたからです。

セブン-イレブン・ジャパンは7月4日から、500円均一の「日替わり弁当」を店頭で販売する。管理栄養士の監修で栄養バランスを重視し、塩分も抑制。女性客や中高年層のニーズが高いとみている。関東地区の約5400店で始め、順次全国に広げる。
日替わり弁当はこれまで子会社が主に宅配向けに販売、店頭での販売は一部に限られていた。ご飯の量は高齢者の利用を想定し150㌘に抑えていたが、店頭用は240㌘にし、宅配ではどちらか選べるようにする。価格はご飯の量に関係なく従来の540円から引き下げる。
7月のメニューのカロリー量は店頭用が平均680㌔㌍。1食あたりの食塩相当量は従来商品の平均より0.4㌘少ない3.1㌘にし、健康に配慮する。[日本経済新聞、2010.6.30]

早速、昼食にと『管理栄養士が考えた20品目のバランス弁当』を買ってきました。
実物を見ると「なんかポスターで見るより、量が少ないなあ~」と思ったのですが、おかずの「あじの竜田揚げ」「野菜いろいろ団子」「枝豆高野巻き」「小なすのおかか揚げ」「切干大根と小松菜の煮びたし」「ひじき煮」「かぼちゃ煮」「茶福豆」をひとつひとつ味わいながら食べてみると、咀嚼する時間が長かったせいか、思ったよりも満腹感がありました。

Photo_2 『管理栄養士が考えた』というキャッチコピーがあることで「素材をしっかり味わおう」とか、「自分の健康のことを考えてしっかりかんで食べよう」という意識が生まれるのですから、不思議なものです。

ここ1年ぐらい、どこのコンビニでもスーパーでも価格の安い弁当を作ることばかりに囚われ、その結果として客単価の下落を招いてきていました。しかし、ここにきて流れが変わってきたようです。

若い男性は「とにかく、安くて腹いっぱいになればいい」という考えの人が多いのでしょうが、健康志向の強い女性や中高年・高齢者は違います。安さも大切ですが、それ以上に栄養バランスや塩分抑制、さらに素材の季節感・安心感などを求めています。

「ニーズに対応した商品を開発提供してくれる企業にしか高い金額を払わない」という傾向は今後ますます強くなってきます。

商品を単なるモノとして捉えるだけではなく、商品を通してどのような付加価値(上記の例であれば“管理栄養士の考えた”)を提供してくれるのかが、いま問われているのだと思います。

« 2010年6月 | トップページ | 2010年8月 »