食品スーパーとコンビニの売上低迷を「笑顔」が救う
今朝、NHKのニュースを見ていると「“笑顔”で過ごしていますか」というタイトルで、京急電鉄の社員が『笑顔測定器』(パソコン)の前で笑顔作りに苦心している様子が紹介されていました。従来、京急電鉄では「安全性第一の職場なのだから、仕事中の笑顔など必要ない」という方針だったのですが、今は自社の仕事を“サービス業”として位置づけ、笑顔の接客(仕事)に力を入れているということでした。
さて、その笑顔で過ごす時間ですが男性と女性の間では大きな差があるようです。その詳細が8月13日(金)の日本経済新聞:夕刊に掲載されていました。
女性が「笑顔」になる1日の平均時間は男性の2倍以上--。住友生命保険が13日までにまとめたアンケートで、こんな結果が出た。女性がどの年代でも高水準なのに対し、男性は年代が高いほど減ることも分かった。
調査はインターネットによる自由記入形式で、応募者の中から男女とも千人ずつを無作為抽出して分析した。その結果、男性の笑顔の平均時間は1日当たり1時間16分だったのに対し、女性は2時間41分だった。
男女の年代別では、20代以下の女性が最も長く、最も短かったのは40代と、50代以上の男性。男性は20代以下をピークに年齢を経るほど笑顔が減る傾向だ。一方、女性は30代と40代で若干減るものの、常に男性のほぼ2倍。50代以上は3倍近くに“格差”が広がる。
住友生命は「女性は子供や家族、地域など、交流場面が多彩なため笑顔の時間が長いのでは」と分析する。
なるほど、確かに男性は仕事で職場にいる時間が長く、女性は人との交流場面が多彩ですが、京急電鉄のように職場で笑顔の時間が増えれば、これほどの差はつかないのではないかと思います。
また、住友生命のホームページでアンケート結果を見たところ、とても興味深い質問がありました。それは、「あなたを“笑顔”にしてくれるモノ(コト)は何ですか」というもので、結果は次の通りです。
1位:食事(好きな食べ物、手料理など) 全体:24.4% 男性:21.4% 女性:27.4%
2位:お金(ボーナス、臨時収入など) 全体:20.8% 男性:26.1% 女性:15.4%
3位:スイーツ(ケーキ、アイスなど) 全体:10.7% 男性:4.2% 女性:17.1%
4位:テレビ(お笑い番組、DVDなど) 全体:4.7% 男性:5.0% 女性:4.4%
5位:仕事(仕事中、仕事の成功など) 全体:4.2% 男性:4.3% 女性:4.1%
[6位以下省略]
私がここで一番注目したのは、1位の食事と3位のスイーツです。
「家族で食べる食事」「妻の作る料理」「母親の手料理」「おいしい料理」「少し贅沢な食事」などが、何と言っても一番多くの人を笑顔にしているようです。また、特に女性を笑顔にしているのは「おいしいデザート」「ちょっと珍しいデザート」「プチリッチ気分が味わえるデザート」などです。
ただ、これらの商品を取り扱う食品スーパーやコンビニで、このような点に着目している企業はほとんどありません。「食の安全性とおいしさの提供」「便利で快適な店」「より良い商品をより安く」などを経営ポリシーとして掲げている企業は多いのですが、お客様と従業員の“笑顔”を掲げている企業は少ないのが現状です。
食品スーパーもコンビニも売上低迷に喘いでおり、従業員の士気が低下している店も増えています。しかし、このようなアンケート結果を見せ、「私たちは”笑顔”になれる機会を作るための仕事をしているのだ」という新しいスタンスを示すことができれば、従業員の意識や販売の仕方が変わり、お客様に商品をアピールする視点も変化してくるのではないでしょうか。