« 2010年7月 | トップページ | 2010年9月 »

2010-08-29

食品スーパーとコンビニの売上低迷を「笑顔」が救う

今朝、NHKのニュースを見ていると「“笑顔”で過ごしていますか」というタイトルで、京急電鉄の社員が『笑顔測定器』(パソコン)の前で笑顔作りに苦心している様子が紹介されていました。従来、京急電鉄では「安全性第一の職場なのだから、仕事中の笑顔など必要ない」という方針だったのですが、今は自社の仕事を“サービス業”として位置づけ、笑顔の接客(仕事)に力を入れているということでした。

さて、その笑顔で過ごす時間ですが男性と女性の間では大きな差があるようです。その詳細が8月13日(金)の日本経済新聞:夕刊に掲載されていました。

女性が「笑顔」になる1日の平均時間は男性の2倍以上--。住友生命保険が13日までにまとめたアンケートで、こんな結果が出た。女性がどの年代でも高水準なのに対し、男性は年代が高いほど減ることも分かった。
調査はインターネットによる自由記入形式で、応募者の中から男女とも千人ずつを無作為抽出して分析した。その結果、男性の笑顔の平均時間は1日当たり1時間16分だったのに対し、女性は2時間41分だった。
男女の年代別では、20代以下の女性が最も長く、最も短かったのは40代と、50代以上の男性。男性は20代以下をピークに年齢を経るほど笑顔が減る傾向だ。一方、女性は30代と40代で若干減るものの、常に男性のほぼ2倍。50代以上は3倍近くに“格差”が広がる。
住友生命は「女性は子供や家族、地域など、交流場面が多彩なため笑顔の時間が長いのでは」と分析する。

なるほど、確かに男性は仕事で職場にいる時間が長く、女性は人との交流場面が多彩ですが、京急電鉄のように職場で笑顔の時間が増えれば、これほどの差はつかないのではないかと思います。

また、住友生命のホームページでアンケート結果を見たところ、とても興味深い質問がありました。それは、「あなたを“笑顔”にしてくれるモノ(コト)は何ですか」というもので、結果は次の通りです。

1位:食事(好きな食べ物、手料理など) 全体:24.4% 男性:21.4% 女性:27.4%
2位:お金(ボーナス、臨時収入など)   全体:20.8% 男性:26.1% 女性:15.4%
3位:スイーツ(ケーキ、アイスなど)       全体:10.7% 男性:4.2% 女性:17.1%
4位:テレビ(お笑い番組、DVDなど)   全体:4.7% 男性:5.0% 女性:4.4%
5位:仕事(仕事中、仕事の成功など)  全体:4.2% 男性:4.3% 女性:4.1%
[6位以下省略]

私がここで一番注目したのは、1位の食事と3位のスイーツです。
「家族で食べる食事」「妻の作る料理」「母親の手料理」「おいしい料理」「少し贅沢な食事」などが、何と言っても一番多くの人を笑顔にしているようです。また、特に女性を笑顔にしているのは「おいしいデザート」「ちょっと珍しいデザート」「プチリッチ気分が味わえるデザート」などです。

ただ、これらの商品を取り扱う食品スーパーやコンビニで、このような点に着目している企業はほとんどありません。「食の安全性とおいしさの提供」「便利で快適な店」「より良い商品をより安く」などを経営ポリシーとして掲げている企業は多いのですが、お客様と従業員の“笑顔”を掲げている企業は少ないのが現状です。

食品スーパーもコンビニも売上低迷に喘いでおり、従業員の士気が低下している店も増えています。しかし、このようなアンケート結果を見せ、「私たちは”笑顔”になれる機会を作るための仕事をしているのだ」という新しいスタンスを示すことができれば、従業員の意識や販売の仕方が変わり、お客様に商品をアピールする視点も変化してくるのではないでしょうか。

2010-08-22

「ベージュ色」の下着で新たなニーズを掘り起こせ!

今年の夏は猛暑が続いているため、「クールビズ」対応の会社が増えたことに大変感謝しています。営業や研修の打ち合わせ、さらには研修本番までノーネクタイ・上着なしで過ごせることが、こんなにありがたいと思った年はありません。

ただ、ひとつ問題(おおげさ?)が発生してきました。
それは、夏物半袖のワイシャツは生地が薄く、特に無地のワイシャツを着た場合、下着が透けて見えるということです。

先日、ある雑誌で「若い女性から見ると、ワイシャツに下着ラインが透けて見えるようなスタイルは『おやじ臭い』印象を与えるので避けたほうが良い(特にランニングは最悪)」という記事を見かけました。

今まで研修やセミナーの対象者は中高年男性が中心であったため、このようなことは気にしていませんでした。しかし、最近では20歳代の若手社員やアパレル関係を対象にした研修・セミナーが増え、参加者に占める若い女性の比率が高まってきたこともあり、どうしたものかと思案をしていました。

すると、また雑誌で「ワイシャツやブラウスの下着透け防止には肌色に近いものが効果的」という記事を見つけました。つまり、昔からある『らくだのシャツ』といわれるような下着の色が良いということです。

そこで早速、百貨店や総合スーパーの下着売場を見て回ったのですが、あるのは素材が「毛」の正統派「らくだのシャツ」ばかりで、夏に着られるようなものはありません。また、男性下着売場はどこに行っても「吸汗速乾」「消臭」「抗菌」をアピールしたものばかりで色もほとんどが白です。

女性の下着売場には肌色に近いベージュ色の下着がたくさんあるのに、なぜ男性の売場にはないのだろうと不思議に思いながら、ある百貨店で「男性用の夏に着るベージュ色の下着はありませんか?」と店員に聞いてみました。

Photo_2 すると、写真の商品を教えてくれました。
この商品は㈱ゴールドウインがJAXA(宇宙航空研究開発機構)と共同開発したもので、宇宙で数週間着続けても「汗の臭い」や「加齢臭」を抑えてくれるという優れものです。確か、8月18日のNHK:朝のニュース《情報コーナー》で、若田光一さんが宇宙滞在中に着用して効果が実証されたと紹介されていました。

早速購入して着てみると、下着が透けて見えることがなく大変満足いく商品でした。
でも、1,980円は高い!

下着メーカーさん、または総合スーパーのPB商品担当者さん、ここまで素晴らしい機能は付いていなくても良いので、夏向き男性用ベージュの下着を開発してくれませんか。

そうすれば、「吸汗速乾」「消臭」「抗菌」に加え、『ワイシャツの下着透け防止』という新たなニーズを開拓することができると思うのですが、いかがでしょうか。

2010-08-15

「ソラドファーム戸田」の人気の秘密は?!

JR恵比寿駅ビル(東京・渋谷区)の屋上には、トマト・きゅうり・なす・ズッキーニなどを育てている畑があることをご存知でしょうか。実はこの畑、㈱ジェイアール東日本ビルディングが運営している『ソラドファーム恵比寿』という貸菜園なのです。

『ソラドファーム恵比寿』は2009年9月1日、JR恵比寿ビル屋上に開設された貸菜園です。野菜・果物づくりを通じた、人と人との出会いや憩いの場の創出、農業・環境教育など様々なサービスを提供しています。特色はサポートスタッフが常駐していることです。ファーム初心者へのサポート、栽培管理のお手伝い、用具の貸し出し、種苗販売の他、スクール形式でのイベント企画なども行っています。[実質的な運営をしている「東邦レオ㈱」のプレスリリースより」

先日、このソラドファームが戸田(埼玉県)にもできて、大変人気になっているというニュースをNHKで見ました。番組の中では基本的な菜園用具を無料でレンタルしてくれたり、週3回サポートスタッフが菜園を訪問したり、野菜作りなどのアドバイスをしてくれる点などが紹介されていました。しかし、私が注目したのはサポートスタッフに会うことができない契約者に対する心配りです。

Photo どのような心配りかというと、レンタル用具置き場になっている小屋には全契約者分のポケットが付いた掲示板があり、会えなかった契約者の野菜の生育具合を見て、サポートスタッフが剪定(せんてい)方法や肥料の与え方などをメモでアドバイスしているのです。

また、契約者からはできた野菜でどのような料理を作って家族で楽しんだかなど、喜びやお礼の声がサポートスタッフに宛てて書かれていました。これはサポートするスタッフにとって大きな喜びになると同時に、契約者とスタッフをつなぐ双方向のコミュニケーション作りに役立っています。

ただ単にハードとしての「貸菜園」を作るのではなく、そこにソフト=サービス+コミュニケーションをしっかりと組み込んでいるところが、「ソラドファーム」の人気の秘訣なのだろうなと思いました。

2010-08-08

サブウェイの「野菜ラボ丸ビル店」とシズル感

Photo 先日、新しい研修プログラムの説明会が東京駅近くの研修会場でありました。東京駅に予定より早く着いたので時間つぶしに丸ビル内を探索していると、地下1階の奥にレタス栽培設備を導入したサブウェイを発見しました。

時間はすでに午後1時を過ぎていたのですが、店頭では「ランチBOXいかがですか、待たずにすぐ購入いただけます!」とスタッフが一生懸命声がけ販売をしていました。一段落したところで私が声を掛けると、社員らしき男性が気さくに質問に応じてくれました。また、店内の撮影も許していただくことができました。

【サブウェイ:野菜ラボの詳細】(日本経済経新聞、2010.6.16)
7月6日、丸の内ビルディング(東京・千代田)の地下1階に「野菜ラボ丸ビル店」を出す。直営店で運営し、店舗面積は66平方㍍。
店内中央部にガラス張りのブースを置き、その中に3段式の栽培棚を設置する。無農薬の水耕栽培でレタスを育てる。外食チェーンで同様の設備は珍しい。
光源には一部で発光ダイオードを使い、レタスの成長を促すためブース内の二酸化炭素(CO2)濃度を高める。
1店のレタス使用量はまかなえないが、日本サブウェイでは消費者の食材に対する安心感を高められるとみている。

Photo_2 新聞記事では「食材に対する安心感」という点を評価していますが、私はレタスが栽培されている様子を見ながらサンドイッチを食べている女性の後姿に、『シズル感』や『癒し』というキーワードを思い浮かべました。

シズル(sizzle)には、「揚げ物や肉が焼ける際の『ジュージュー』という音の擬音語。転じて、食品の味わいを想起させる写真・映像・図案など」という意味があります。目の前にある水耕栽培のレタスをいま食べているという想起が、サンドイッチに付加価値を生み出し、お客様の満足度をアップさせているのではないかと思います。

また、発光ダイオードに映し出されたレタスのグリーンを眺めていると、忙しい仕事の合間でもほっと一息つくことができて「癒される」ような気がします。サブウェイの“売り”はもちろんサンドイッチですが、仕事の合間にこのレタスを眺めながらコーヒーを飲むだけでもリフレッシュできるのではないかと思いました。

2010-08-01

この夏は「ゼロ系飲料」で売上アップを目指せ!

連日の猛暑の中、顧問先のコンビニで「何か炭酸系のさっぱりしたモノが飲みたいなあ」とソフトドリンク売場を眺めていたところ、『ゼロ』という文字が入っている商品がやたらと目につきました。

Photo それらをピックアップして並べてみると、炭酸系が多いものの乳飲料類もいくつかありました(写真)。これらは、『ゼロ』という文字が商品名に明確に入っているモノですが、キャッチコピーに入っているモノを含めると、その数は3倍以上になるのではないでしょうか。

もともと、「カロリーゼロ」や「糖類(糖質)ゼロ」を使った商品名はコーラやビールなど炭酸系飲料が中心だったのですが、最近では乳飲料類にまでその範囲は広がっており、着実に売上も伸びているようです。

カルピスの調査による2009年の飲料市場統計では、出荷量では炭酸飲料が前年比2%増と成長。その要因は、20%近い伸びを記録したゼロカロリー飲料だとされる。このブームに乗り、カルピスは7月26日に、ゼロカロリーを前面に打ち出した「カルピスクリアゼロ」を発売した。開発を担当した飲料事業部の田中孝一郎氏は語る。
「『人口甘味料』の消費者イメージが人工的というネガティブなイメージから、カロリーオフというポジティブな要素に変わった」
通常1年かける開発期間を半年に短縮して主力の「ゼロ化」に着手。バイヤーからも好評だ。限定発売期間の9月末までに、従来のカルピスウォーターに加えて40万ケースを出荷する予定だ。[日経ビジネス:2010.8.2号より]

しかし、カロリーゼロ、糖質ゼロだからと飲みすぎると結果的に過剰摂取になることもあるので注意が必要です。カロリーや糖類などの「ゼロ」の基準は、健康増進法に基づく栄養表示基準で決まっており、カロリーは100㌘(飲料は100ml)あたり5㌔㌍未満、糖類は同0.5㌘未満であれば「ゼロ」「ノン」「レス」などの表示ができるのです。つまり、全くの『ゼロ』ではないのです。
■栄養表示基準制度(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin90.pdf

また、お酒の場合もゼロ表示だけに惑わされると失敗します。なぜなら、糖質ゼロの発泡酒などはカロリーは抑えられていますが、アルコールそのものに含まれるカロリーはゼロではないからです。そのため、糖質ゼロだからと飲みすぎれば、結果的にアルコールでカロリーオーバーになることも考えられます。

ただ、このように暑い日が続けば、子供も大人もみんな炭酸系飲料が飲みたくなります。でも、「健康管理にも気をつけたい」と購入をためらっている方も多いことでしょう。そのようなお客様に『ゼロ系飲料』をアピールすることは、購買意欲を促すことにつながるかもしれません。

« 2010年7月 | トップページ | 2010年9月 »