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2010-12-26

食品スーパーと「メンタルヘルス対策」の現状

早いもので、今年もあと6日で終わろうとしています。
昨年の年末よりは景気が回復してきたとはいえ、雇用や収入など多くの不安を抱えながら仕事をしている方も多いのではないでしょうか。

今年はコーチング研修を行う際に、その効用として「職場のメンタルヘルス対策への活用」を訴えてきましたが、この年末になり食品スーパーにおけるコーチング活用の必要性を改めて感じました。
というのも、中央労働災害防止協会の調査データを見る機会があったからです。

Photo_3 左のグラフは中央労働災害防止協会が平成21年9月~10月に「百貨店・総合スーパー・食品スーパー・ホームセンターにおける安全衛生対策と活用好事例に関する調査研究」として実施したアンケート調査結果からの抜粋です。

(1)~(8)のアンケート内容は下記の通りです。

(1)心の健康に関する知識、ストレス対処の方法等についての労働者の教育
(2)心の健康問題を抱えた労働者への対応等について管理監督者に対する教育
(3)事業場内産業保健スタッフに対して心の健康づくりに関する専門知識を習得する機会の付与
(4)事業場外の専門機関の活用
(5)職業性ストレス簡易調査票などによるストレスチェック
(6)労働者が心の健康問題について相談できる窓口の設置
(7)心の健康により休職した労働者の職場復帰のための支援
(8)特に対策をとっていない


また、アンケート結果には、下記のような解説が添えられていました。

アンケートで、過去3年間の労働者の心身の健康問題がどのように変化したか尋ねたところ、「心の健康問題が増加している」は35.9%、「心の健康問題による休職が増えている」が32.9%あった。これに影響を与えている背景要因として、一人あたりの労働時間が減る中で、業務範囲・作業量が増えており、労働者同士のコミュニケーション機会が減っている面があることがアンケートから伺えた。
常時雇用する労働者に対するメンタルヘルス対策を行っているか複数回答で聞いたところ、管理監督者に対する教育は33.3%、労働者が相談できる窓口の設置は35.9%、求職者の職場復帰支援が31.2%と比較的高く、百貨店、総合スーパーにおいてはこれらの対策が半数以上で行われていた。「特に対策をとっていない」は百貨店、総合スーパーでは2割に満たないが、食品スーパー等では半数を超えていた。

日頃、私たちは「仕事が思うように進まない」「金銭的な不安がある」「家族に問題を抱えている」など、さまざまなストレスを持ちながら仕事をしています。しかし、そのストレス要因が重なり総和が大きくなりすぎたり、慢性的に続いたりした場合、対処できず心身の症状として「不眠症」「うつ病」「不安障害」などのメンタルヘルス不調が起こります。

その結果、集中力や体力が低下して本来持っている能力が発揮できなくなり、ミスやアクシデントが発生し、職場の生産性を低下させる要因になります。

仕事のストレスで最も大きなものは「職場の人間関係」だといわれています。
その人間関係を良い状態に保つためには、上司と部下、同僚の「コミュニケーション環境を整える」ことが最も重要だと私は考えています。

今年は私共の提供するコーチング研修を約1300名の管理職者(食品スーパー中心)に受講していただき、「コミュニケーション環境を整える」ことの必要性とコーチング・スキルを学んでいただきました。

来年はさらに研修機会を増やし、より多くの方に学んでいただき、食品スーパーの生産性向上と人材の活用、さらには社会的地位の向上に貢献していきたいと思います。

2010-12-19

クリスマス商戦の「ターゲット客層」は決めていますか?

Photo この時期になると、百貨店、スーパー、コンビニ、どこに行っても装飾はクリスマス一色。また、聞こえてくるBGMもクリスマスソングのオンパレードです。

そういう私もこのブログを書きながらクリスマスソングを聴いています。
私のお気に入りは、ボサノバ歌手・小野リサのアルバム「Boas Festas+」。クリスマスソングの定番である「ホワイト・クリスマス」や「アベマリア」「サイレントナイト」を中心に、軽快で楽しいクリスマスソングもたくさん入っているのでお薦めです。

さて、今週はクリスマスウィークですが、どんなクリスマス商戦になるのでしょうか。

12月11日(土)の日本経済新聞:別冊の「日経プラス1」に、
『今年のクリスマスシーズンに特別なごちそうをするとしたら、予算は1人あたりいくらぐらいですか?』
というアンケートの結果が掲載されていました。

①1000円未満=7%
②1000円以上~2000円未満=19%
③2000円以上~3000円未満=20%
④3000円以上~5000円未満=26%
⑤5000円以上~7000円未満=16%
⑥7000円以上~10000円未満=10%
⑦10000円以上=2%
[調査会社:マクロミルによるインターネット調査、対象は全国の成人既婚男女、有効回答618人(男女半々)]

もうすぐクリスマス。このシーズンに特別なごちそうをするとしたら1人当たりの予算はどれくらいかを尋ねたところ、「5000円以上」という人は3割弱にとどまった。クリスマスシーズンのごちそうに欠かせないものを複数回答で聞くと、1番多かったのは定番の「ケーキ」で75%。「ローストチキン・ターキー」「シャンパン・ワイン」が30%台前半でこれに続いた。空揚げやすしという回答もあった。

このアンケート結果を見ると、約7割の人が5000円未満と回答していることになります。

一般的なスーパーやコンビニの場合、この7割が顧客となりますが、その中でも立地や来店所得層を考慮し、①~④のどの層をメイン客層として位置づけるのか、“ターゲット・セグメンテーション”を個店別でしっかりと行う必要があります。

例えば、③を自店のメインターゲットとして位置づけたのであれば、中間値の2500円×4人家族=10000円で用意できるクリスマス料理を店内に演出します。

店内入り口付近にテーブルを出し、そこにクリスマスカラーのクロスを敷いて、予算内に収まるケーキ、チキン、シャンパン、ジュース、サラダ、デザート等を配置し、個別とトータルの金額を表示します。料理プラスお皿やグラス、ナイフ&フォークも置けばより消費シーンがビジュアル化され、衣類のトータルコーディネイトと同じような生活提案が可能になるのではないでしょうか。

2010-12-12

地下鉄の車内に見る「社内の孤立化」と対応策

来年からある流通業界の月刊誌にコーチングに関する記事を12回連載で書くことになりました。まず、全体の構成を考えるにあたり、組織における人材開発の変遷と現状について考えていたところ、日本経済新聞のコラム「春秋」に目が止まりました。

地下鉄が日本に開通したばかりのころ、よく知り合いにあったのだそうだ。窓の外が真っ暗なので車内をきょろきょろしたから。種を明かされれば半ば洒落とは分かるが、いま車内を見回せば、地下鉄に限らずきょろきょろしているのは当方だけだったりする。
携帯電話ありゲームあり。本も読むし居眠りもしたい。車窓に目を凝らすより、ヒトを観察するより、なすべきことがあるということだろう。(中略)
ただ、気になることがある。次女がカナダの高校に留学中という神奈川県の女性からいただいたはがきに、「大荷物を棚にのせようと格闘していても皆知らん顔をしていることで、娘はああ日本に帰ってきたんだと思うそうです」とあった。たまにはきょろきょろもして、娘さんには思い直してもらわねばならぬ。 [2010.12.10、日経]

Photo そこで昨日地下鉄に乗った際、乗客が何をしているのか観察をしてみました。
すると、同じ車両にいた24人のうち、13人が携帯電話を操作していました。また、ゲーム機を操作している人が3人、新聞や雑誌・書籍などを読んでいる人が5人、居眠りしている人が3人、私以外は皆それぞれ自分のことに夢中で、他の乗客には無関心でした。

この状況は「車内」だけではなく、「社内」でも同じという職場がたくさんあるのではないでしょうか。

日本の会社は研修などの人材開発費が欧米に比べて半分以下だと言われています。しかし、国際競争力も高く、欧米諸国の企業と互角に戦ってきました。では、なぜそのような少ない人材開発費でやってこれたかというと、春に学卒を一律採用し、現場の実践(OJT)を通じて一人前に育てていくという日本特有の高い教育機能が現場にあったからです。そのため、わざわざ研修などをやらなくても現場に任せておけば人は育ったのです。

しかし、そのような教育機能は崩壊しつつあります。長引く景気の低迷、ますます厳しくなる競合環境などの理由から目先の成果を強く求められる現場に、もはや人を育てる余裕などありません。また、それに追い討ちをかけるように、働く価値観の多様化と個人主義が台頭しています。そのため、人と人との関わり合いが希薄になり、多くの従業員が「孤立化」しているのです。

地下鉄の「車内」と同じくなった「社内」では、生産性が上がらないばかりか、お客さまからの支持も得られません。そうならないために、従業員と従業員をつなぎ、お互いの存在と価値を認め合いながら組織目標に向うことのできる仕組みが必要なのだと思います。

2010-12-05

調査データから見た「売上が高い店の店長の特徴」

2010年11月26日(金)の日経MJに、「小売店店長 半数、仕事で『孤独感』、業績に悲観的」というタイトルで、次のような記事が掲載されていました。

JTBモチベーションズが小売店の店長を対象に実施した調査で、ほぼ半数は日々の仕事で「孤独感」「無力感」を感じるという結果が出た。会社の業績については悲観的な見方が多く、昇進を望む人も少数派だった。約6割は仕事にやる気と誇りを持っていると回答したが、多くが悩みを抱えていることが浮き彫りになった。

と書かれており、どちらかというと「ネガティブな捉え方をしているな」と感じました。改めて、JTBモチベーションズのホームページにある【物販店店長の悩みとモチベーションに関する調査 】を見てみると、とても興味深い調査項目がありました。

それは、4つの質問項目について「あてはまる」と回答した店長の割合を、売上の昨年対比が【5%以上高い】店の店長と、【5%以上低い店】の店長とで比較したものです。

■質問1:店のスタッフの中に、自分の右腕として頼りになる人がいる
 【昨年対比売上が5%以上高い】 70.6%
 【昨年対比売上が5%以上低い】 39.9%

■質問2:店のスタッフを、研修や勉強会などに参加させている
 【昨年対比売上が5%以上高い】 56.9%
 【昨年対比売上が5%以上低い】 24.8%

■質問3:仕事上で困ったことや悩みなどを、気軽に本社や本部、上司に相談できる
 【昨年対比売上が5%以上高い】 62.7%
 【昨年対比売上が5%以上低い】 28.1%

■質問4:本社や本部、上司から期待されている
 【昨年対比売上が5%以上高い】 74.5%
 【昨年対比売上が5%以上低い】 39.9%

これらの項目を見ると、売上が昨年対比5%以上高い店の店長は、部下とだけではなく上司とのコミュニケーション環境が良好で、上司からの「期待感」も感じられる職場にいることが分かります。このような職場環境は店長の力だけでできるはずがないので、会社全体で販売の現場を支えようとする姿勢を強く感じることができます。

小売業では販売の意思決定主体は本部にあり、「本部の指示に基づいて売っていくのが店である」と考えている企業が少なくありません。しかし、そのような考え方では店長のモチベーションは上がらず、業績も伸びることはないでしょう。


【JTBモチベーションズ:HPアドレス】
http://www.jtbm.co.jp/report

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