« 2011年1月 | トップページ | 2011年3月 »

2011-02-27

食品スーパーと「60歳代男性」との関係は?

Photo ここ1ヶ月の間、私の実家がある宇都宮(栃木)へ頻繁に行っていました。そのため、実家に居る間は近所のお年寄りに頼まれた食品や実家の食材購入のため、毎日のように数店の食品スーパーに通いました。

その中で私が最も注目をしたのが「パワーマート」という食品スーパーです。
この食品スーパーの特売日には朝10時の開店前に行く必要があります。なぜなら、特売品は数量限定の商品が多いため、開店時には駐車場がすでに満杯で入ることができないからです。

「パワーマート」は茨城県にある㈱黒田青果という会社が茨城、栃木、埼玉、群馬、千葉、東京の関東圏を中心に20数店舗展開しているチェーンで、売上の6割以上を青果部門が占めています。定休日は毎週日曜日です。

Photo_2 また、この食品スーパーで私が「特徴的だな」と思ったのは圧倒的に男性が多いことです。それも高齢の男性が多いのです(店入口写真)。私の母は、「ここに買い物に来る人は一人暮らしの男性や奥さんが体が弱くて買い物に出られない人、それに年金生活者が多い」と言います。確かに、ほとんどの男性が軽自動車に乗って1人で来店し、チラシ片手にお目当ての商品を狙って開店前から並んでいました。

この食品スーパーの販売戦略を裏付けるような調査データが、2010年1月13日の日経MJ「消費分析:60代男性、価格・鮮度に敏感」という特集に掲載されていました。
【調査対象者は全国の20~69歳の既婚男性:398人】

その記事内の調査データを見ると、60歳代男性が食品スーパーに行く回数は「ほぼ毎日」「週に数回」の合計で60%を超え、50歳代の約40%を大きく上回っています。また、食品スーパーに行く日を「平日」と「休日」で比較してみると、50歳代が「平日:56.3%」「休日:80.0%」であるのに対して、60歳代は「平日:84.0%」「休日:75.5%」と大きく逆転しています。また、食品スーパーに行く時間帯も60歳代は10時~12時がピークとなっており、退職して時間が自由に使える60歳代ならではの行動です。

また、60歳代男性の食品スーパーで買い物をする際の重点項目を見ると、「特売や値引き」「手ごろな価格帯」「賞味期限・鮮度」などが上位にあり、チラシ広告をしっかりチェックし、鮮度と値頃感を大切にして買い物をしている様子が伺えます。

このように60歳代男性の購買傾向と経営スタイルがマッチングしているため、「パワーマート」は開店前から多くの男性客を惹きつけているのだと思います。

2011-02-20

「ターゲット客層」にマッチングしたBGMを流そう

今日は1ヶ月ぶりに床屋に行ってきました。
おかげで髪がスッキリすると同時に気持ちもリラックスすることができました。

Pod 私が床屋でリラックスするのに欠かせない物が「iPod」です。
行きつけの「理容室ベーラ(東京・文京区)」は、3代目のオーナーが1人で営業していることが多いため、基本的にお客は私一人です。そのため、サービスを受けている間、私の好きな音楽を流してもらうことができます。
【ベーラのホームページ】http://bela3.com/index.html

聴く曲はその時の気分でジャズだったり、ボサノバであったり、エンヤのようなイージーリスニング系であったりと様々ですが、今日はTVCMにも使われた「ピアソラ:リベルタンゴ」が入っているヨーヨー・マ(チェリスト)ベストアルバムを聴きながら過ごしました。

ところが、飲食店では店の作りが落ち着いた雰囲気で気に入り、料理も従業員の態度も申し分ないにも関わらず、BGMがひどくて2度と行かなくなったという経験が何度かあります。これらの店に共通しているのは、明らかに従業員が自分たちの好みの曲を流しているということです。

もし、「たかがBGMだろう」と考える方がいるとしたら、それは大きな認識違いです。
お客様はBGMによって「この店は自分にふさわしい店かどうか?」を判断しています。その判断をお客様が明確に意識していなくても、お客様は自分に合わないBGMを流している店に対して、「なんとなく居心地が悪いなあ」と感じています。
結果、そのような店には「また行こう」とは思わないと同時に、滞店時間が短くなるため客単価も低くなります。

これは小売業も同じです。
先日、宇都宮(栃木県)で入ったスーパーではボサノバが流れていました。このスーパーは宇都宮では比較的高品質のスーパーで内装や照明がとても落ち着いているため、BGMが店の雰囲気にとても良くマッチングしていました。このような店舗空間が演出されていれば、お客様はゆったりと心地よく買い物ができるだろうなと思いました。

「たかがBGM、されどBGM!」です。
ターゲットとした客層に「居心地がいいな」と思われるような空間を作るためにも、BGMを見直すことは必要だと考えるべきでしょう。

2011-02-13

就職できない「原因」は親にもある?

今から約30年前、大学4年生だった私は㈱セブン‐イレブン・ジャパンに就職が内定していました。
しかし、当時のセブン-イレブン・ジャパンは店舗数が1000店を少し越えた程度で、全国的には知名度の低い中堅企業でした。

そのため、前年の春に就職が内定した時、母親からは「イトーヨーカドーに入るなら分かるけど、何で子会社のセブンイレブンに入るの?」と渋い顔をされた記憶があります。

私はそのような親の思いを振り切り、自分で決めた仕事をしていこうとセブンイレブンに就職をしましたが、親の影響を受け中小企業を敬遠し、この時期になっても就職できない大学生が多いようです。

Photo 今春卒業を予定する大学生の就職内定率は2010年12月時点で68.8%と、09年の同時期を4.3ポイント下回り過去最低となった。ただ就職情報サービスのディスコ(東京・文京)によると、中小企業の選考に応募した学生は全体の5割強にすぎない。(中略)中堅以下の大学や地方大学の学生の内定率は特に低く、3月まで諦めずに就職活動を続ける人も多いという。地方の中小には、内定率の低い地元の大学との結びつきを強める活動も重要だ。中小への就職では学生の親が難色を示す場合もある。そのため、「親を対象にした内定者懇談会なども必要ではないか」(就職支援会社)との指摘も出ている。[2011年2月9日、日本経済新聞]

親としては仕事そのものや経済面の大変さを経験しているため、子供にはできるだけ仕事や生活で苦労をさせたくない、心配したくないという理由から「安定性のある仕事に就いてほしい」「できるだけ大きな企業に入ってほしい」と望むのでしょう。

しかし、ディスコが行った『中小企業を受けていない理由』のアンケート調査(写真)を見ると、6位に「世間体が気になる」という項目が入っています。これは、学生本人の考えというよりも、親の発言に影響を受けているところから出てきた理由ではないかと、私は考えます。

表向きには「子供のことを思って」と言いながら、世間体に囚われて子供の就職活動に口を出している親が多いのではないでしょうか。また、そのような親の意見を疑問なく受け入れる学生が増えていることも、就職難の状況を生んでいる一因ではないかと思います。

2011-02-06

コンビニの強さは「付加価値」の高い商品開発

最近では食品スーパーの惣菜売場に行くと、200円代の弁当があるのは当たり前の時代になりました。そのため、今までコンビニで買っていた人の多くが食品スーパーで買うようになり、コンビニの弁当売上個数は減少傾向が続いていました。しかし、昨年の暮れあたりから売上が持ち直しています。その原動力となっているのが付加価値を高めた弁当類です。

つい先日、テレビ朝日「お願い!ランキングGOLD」でセブンイレブンの『鶏の甘酢あんかけ弁当(450円)』が紹介されていました。この番組では美食家4人が実食して商品の美味しさを10点満点で判定するのですが、この商品は「味のバランスがいい!」と4人が絶賛、なんと4人全員が満点の40点で1位になりました。
早速、買い求めて食べたところ、40点で1位に輝いたことに納得しました。
価格は450円と決して安くはありませんが、カロリーが458kcalなのに食べ応えがあり、味も栄養もバランスが良く満足のいく商品でした。

Photo ご飯の量は150グラムとちょっと少なめ、通常の弁当の3分の2程度でしょうか。お米は健康を意識して発芽玄米と青玄米、さらにカロリーを押さえるためにコンニャクを利用した『マンナン米』を使用しているのですが、食べて違和感はありませんでした。

おかずの「鶏の甘酢あんかけ」の鶏は油で揚げずオーブンで焼いたもので、大き目のモノが4個も入っていたので大変食べ応えがありました。さらに、人参、ブロッコリー、さつまいも、レンコン、インゲン、パプリカ、じゃがいもなどが入っており、野菜も食べたい人にも満足いく内容になっています。
また、私は商品そのもの以外にもう一つ、この商品の付加価値を見つけました。
それは、弁当のフタを止めているオレンジ色のテープです。

セブンイレブンでは弁当のラッピングをやめ簡易包装にした際、フタを止めるテープを通常のセロテープではなく、どこからでも簡単に切れるオレンジ色の特殊なテープを使用しました。もし、これを普通のセロテープにしていたら、テープが見え難い上に剥がしにくく、特にお年寄りなどは「開けにくい弁当=食べにくい弁当」と敬遠したことでしょう。
このように、「商品内容だけではなく包装まで付加価値を高めることが、価格競争という同質化競争から抜け出るためには欠かせない時代なのだ」ということを、この弁当を食べて改めて感じました。

« 2011年1月 | トップページ | 2011年3月 »