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2011-08-28

「薬味」のメニュー提案で客単価アップを目指せ!

Photo お盆が過ぎてから梅雨に戻ったような天気が続いていた関東地方ですが、今週は湿度の高い暑さがぶり返してきました。このような気候の時は食欲も減退しがちです。
そこで、今日の昼食はさっぱりと食べられる『だしのせそうめん』をいただきました。

昨日、日本経済新聞の「NIKKEI プラス1」の一面に『我が家自慢のアレンジそうめん』というランキングが掲載されていました。これは、日経が生活モニターにそうめんを食べる時、めんつゆにつける以外の調理方法を聞き、84品に集約。それを料理研究家ら10人に栄養バランスがいいなどの視点で15品選んでもらい、さらにおすすめ順に10品まで順位づけしたものです。

1位:冷や汁そうめん(宮崎県などの郷土料理の冷や汁をかけたもの)
2位:ビビンめん風そうめん(韓国の大衆料理、汁なし冷めんのビビンめん風)
3位:豆乳ピリ辛ダレそうめん(トウバンジャンと豆乳でたれを作り、蒸し鶏のせ)
4位:ラタトゥイユそうめん(フランスの煮込み料理である夏野菜のトマト煮込みのせ)
5位:ウナギのかば焼そうめん(ウナギのかば焼きと山芋のとろろのせ)
6位:トマト野菜ダレそうめん(トマトと野菜の微塵切り炒めをめんつゆと合わせてのせる)
7位:ベトナム風そうめん(ヌクマムや酢で作ったたれと野菜の千切り、鶏肉のせ)
8位:ジャージャーめん風そうめん(中華のジャージャー麺を応用)
9位:サクラエビ入り焼きそうめん
   (キャベツ、豚肉と一緒にオイスターソースでそうめんを炒め、干しサクラエビを混ぜる)
10位:タイ風そうめん(グリーンカレーなど市販のレトルトタイカレーをのせる)

Photo_3 この順位を見ていたら、つい自分でも何かチャレンジしてみたくなり『だしのせそうめん』を作ることにしました。なぜ、『だしのせそうめん』かと言うと、
近くのセブンイレブンに買い物に行ったところ東京では見かけない山形名物の「だし(写真)」が売られていて、手書きPOPに日本そばにのせて食べる提案があったからです(山形のそば屋では夏季限定メニューとしてある)。

日本そばもいいけど、そうめんもいいですね!
きゅうり・なす・昆布刻みと、みょうがや大葉などの香味野菜が麺つゆとからみ合って、適度の塩気があり、いくらでもそうめんが食べられそうです。

近年では「食べるラー油」のように、独特の文化として地方に根づいている食習慣が全国的に広がりを見せています。例えば、関東のセブンイレブンでおでんの薬味として「ゆずこしょう」「八丁味噌」「からし」を揃え、お客さまに選んでもらっているケースもそのひとつです。

調味料や薬味は価格的に大きな出費とならないため、店の提案の仕方によっては食品スーパーやコンビニの買い上げ点数アップに結びつくのではないかと、自家製『だしのせそうめん』を食べながら考えました。

2011-08-21

「笑顔」のない人は“商人”にはなれない?

今日の日経朝刊を見ていたら、「SUNDAY NIKKEI サイエンス」欄に『道険し、憧れの宇宙飛行士』というタイトルで、宇宙飛行士になるための応募条件や採用後の過酷な訓練の様子が書かれていました。

ジェット練習機を使った操縦訓練、プール内で宇宙服を着けたまま6時間もの潜水、米ユタ州の渓谷地帯を10日間も歩くサバイバル訓練など、さまざまな内容が紹介されていましたが、私が一番興味を持ったのは「笑顔を作る研修」があるということです。

宇宙飛行士は世界から注目されると同時に、子供達に夢を与える仕事でもあります。そのため、厳しい訓練で落ち込んでいても、訓練センターに見学の子供達の姿があれば笑顔で手を振ることを求められるそうです。

この記事を読んで、おととい実施させていただいた食品スーパー団体様主催の店長向けコーチング研修を思い出しました。

コーチング研修の中に3人組でロールプレイをするプログラムがあります。これは、相手の話を『展開型の問いかけ』を使って広げたり深めたりすると同時に、相手のことを認めたりほめたりする練習です。今回のテーマは『自分の仕事上の強み、または過去の成功事例』。

まず、参加者に実施してもらう前に私がデモンストレーションを行います。今回、私の相手をしてくれた店長さんが話してくれた自分の強みは「笑顔」でした。

その店長さんは学生時代、ホテルなどの宴会場でサービスをするアルバイトをしていたそうです。その時、お客様から「君の笑顔はいいね」と言われることが度々あり、笑顔がいかに相手との良好な関係を作る上で大切か、また自分の「強み」であるかに気づかれたそうです。
そこで、今でも店の従業員との関わりの中で笑顔を重要視しているという話をしてくれました。

私がその店長さんにデモンストレーションの相手をお願いしたのには訳がありました。

彼は私がレクチャーしている間、相づちを打ちながら聞いてくれると同時に、時々笑顔を見せてくれるのです。そのため、スポットライトを当てたように彼のまわりだけが明るく感じられ、話し手である私が惹きつけられていたのです。

管理職者のバイブルである『人を動かす』(デール・カーネギー)のPART2:「人に好かれる6原則」の“笑顔を忘れない”には、次のような記述があります。

むかしの中国人は賢明だった。処世の道にきわめて長じていた。そのことわざに、こういう味わい深いものがある――
「笑顔を見せない人間は、商人にはなれない」。
笑顔は好意のメッセンジャーだ。受け取る人々の生活を明るくする。しかめっ面、ふくれっ面、それに、わざと顔をそむけるような人々のなかで、あなたの笑顔は雲のあいだからあらわれた太陽のように見えるものだ。とくにそれが、上司や、顧客や、先生、あるいは両親や子供たちからの圧迫感に苦しんでいるような人であれば、「世間にはまだ楽しいことがあるんだな」と希望をよみがえらせる。

「笑顔」は管理職者にとって、スーパーの従業員にとって、必要不可欠な成功要素であることは間違いないのではないでしょうか。

■食品スーパーと笑顔の関係については、昨年の8月にも調査データをもとにブログを書いています。興味のある方は下記アドレスからご覧ください。
「食品スーパーとコンビニの売上低迷を『笑顔』が救う」

2011-08-14

今年のお盆商戦とスーパーの社会的役割

今週後半は実家で雑誌の原稿書きをしていました。
仕事の合間に母親の買い物の付き合いで4店のスーパーに行きましたが、どのスーパーの惣菜売り場も大皿に盛られた寿司やてんぷらセット、さらにはオードブルやサラダ・カットフルーツなどのセットが大量に陳列されていました。それらを見て「いつものお盆はこんなにないのに!」と母が驚いていました。

ある生命保険会社の調査によると、夏の過ごし方として「帰省」をあげた人が今年は例年になく多いそうだ。震災をきっかけに家族の絆を改めて意識する人が増えたと同社は分析している。そのお盆の里帰りはきょうとあすがピークだ。

8月12日(金)日本経済新聞のコラム『春秋』にあった一文です。

確かに東日本大震災後、家族の絆は強まったと見聞きする機会が増えました。その上、今年は節電対策による家庭内調理の手控えで、スーパーやコンビニでは揚げ物の売上が大きく伸びています。例年以上に人が集まると同時に猛暑が戻ったお盆、各スーパーがここぞとばかりに売上を伸ばそうと力を入れるのは当然のことでしょう。

しかし、その一方で「このような時、スーパーの店長は従業員に対してどのような意識づけをしているのだろう?」と考えてしまいました。

ただ単に「今年は客数・単価アップが期待できるからがんばろう!」と、数値目標だけを示しているのでしょうか。

それとも、今年のお盆に対する価値観の変化を伝えた上で、「久しぶりに会った家族が笑顔で楽しい時間を過ごせるように、品揃えとお薦め販売をしっかりとしていきましょう!」と、スーパーの社会的役割や仕事の意味も伝えているのでしょうか。

スーパーの社会的役割・価値は震災を機に高まったと言われています。
しかし、日常業務の中で自分たちの仕事が「地域社会に役立っている」ということはなかなか感じることができないものです。

だからこそ、今年のお盆のような機会にしっかりと伝えてもらいたいと思います。

2011-08-07

公取委の調査報告書に見る「本部と加盟店の関係」

7月27日(水)の日経MJ(流通新聞):1面の特集には『コンビニ出店再加速』という見出しで「2010年度コンビニ調査」が掲載されていました。

日経MJがまとめた大手5社の2011年度出店計画は
10年度比2割増の2,814店(買収によるブランド転換を除く)と過去10年間で最高の数値となっています。出店が集中するのは三大都市圏ですが、東日本大震災の復興需要への対応や出店形態を見直すことで地方進出を計画しているチェーンもあるようです。

しかし、7月に公正取引委員会から「フランチャイズ・チェーン本部との取引に関する調査報告書」が発表され、日本フランチャイズチェーン協会に対して取引適正化に向けた自主的な対応要請があったことを受け、各社の出店攻勢に変化が見られるかも知れません。

Photo_2 公正取引委員会はフランチャイズチェーン(FC)本部と加盟店の取引に関する実態調査をまとめた。(中略)昨年12月から今年5月まで、1万店を対象に書面による調査を実施。回答があった1,903店から本部直営店を除いた加盟店1,389店(うちコンビニは1,358店)を集計対象とし、うち46店には聞き取り調査も実施した。
コンビニでは「(加盟募集時の)本部の開示内容と実際の内容が異なっていた事項」として、本部の費用負担など「経営指導の内容」を27.9%の加盟店が指摘。「店舗周辺に直営店または他の加盟店を出店させる可能性の有無」が24.0%、「更新の条件」が23.1%などとなった。(中略)
こうした事例が独禁法に抵触する「欺瞞(ぎまん)的顧客誘引」「優越的地位の乱用」「再販売価格の拘束」などにあたるおそれがあると判断。公取委は今月11日、日本FC協会に調査結果を示し、「独禁法に違反する行為が認められた場合には厳正に対処する」と伝えた。公取委の指摘を受け、協会では「調査内容を検討し、適切に対応する」と話している。
[2011年7月25日、日経MJより抜粋]

■フランチャイズ・チェーン本部との取引に関する調査報告書【PDF版は下記サイト】
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/11.july/110707honbun.pdf

上記のほか、報告書には「仕入れ数量」「消費期限」「値引き販売」などに関する問題や、契約更新時の条件として本部から出された改善策が経費的に大きな負担増となったトラブルなどが紹介されています。

その中で私が最も興味を持ったのは、「本部が加盟店をどのような取引相手と見ているか」という質問に対するコンビニ加盟店の回答です。

「対等な関係にある取引相手であると見ていると思う」・・・36.7%
「本部よりも弱い立場の取引相手であると見ていると思う」・・・54.9%
「その他」・・・8.3%

上記のほかにヒアリング意見として、「(取引相手ではなく)本部の下部組織であるという意識」「本部が収益を上げる為の道具のように見ているように感じる」という回答も紹介されていました。これらの回答からフランチャイズ本来の姿である「事業のパートナー」としての関係が構築できている本部と加盟店は少ないことが分かります。

フランチャイズ・ビジネスは本部と加盟店が契約書という“約束”を基に、お互いがやるべきことをやってはじめて成立するビジネスです。しかし、契約という概念が希薄な日本では本部はより心情的な部分(加盟店側の心理)に配慮した対応が必要だと、回答結果を見て改めて感じました。

なぜなら、コンビニの現場では加盟店と本部をつなぐ役割である「経営指導員」の加盟店心理への配慮不足やコミュニケーション能力不足から生じるトラブルがあとを絶たないからです。

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