公取委の調査報告書に見る「本部と加盟店の関係」
7月27日(水)の日経MJ(流通新聞):1面の特集には『コンビニ出店再加速』という見出しで「2010年度コンビニ調査」が掲載されていました。
日経MJがまとめた大手5社の2011年度出店計画は10年度比2割増の2,814店(買収によるブランド転換を除く)と過去10年間で最高の数値となっています。出店が集中するのは三大都市圏ですが、東日本大震災の復興需要への対応や出店形態を見直すことで地方進出を計画しているチェーンもあるようです。
しかし、7月に公正取引委員会から「フランチャイズ・チェーン本部との取引に関する調査報告書」が発表され、日本フランチャイズチェーン協会に対して取引適正化に向けた自主的な対応要請があったことを受け、各社の出店攻勢に変化が見られるかも知れません。
公正取引委員会はフランチャイズチェーン(FC)本部と加盟店の取引に関する実態調査をまとめた。(中略)昨年12月から今年5月まで、1万店を対象に書面による調査を実施。回答があった1,903店から本部直営店を除いた加盟店1,389店(うちコンビニは1,358店)を集計対象とし、うち46店には聞き取り調査も実施した。
コンビニでは「(加盟募集時の)本部の開示内容と実際の内容が異なっていた事項」として、本部の費用負担など「経営指導の内容」を27.9%の加盟店が指摘。「店舗周辺に直営店または他の加盟店を出店させる可能性の有無」が24.0%、「更新の条件」が23.1%などとなった。(中略)
コンビニでは「(加盟募集時の)本部の開示内容と実際の内容が異なっていた事項」として、本部の費用負担など「経営指導の内容」を27.9%の加盟店が指摘。「店舗周辺に直営店または他の加盟店を出店させる可能性の有無」が24.0%、「更新の条件」が23.1%などとなった。(中略)
こうした事例が独禁法に抵触する「欺瞞(ぎまん)的顧客誘引」「優越的地位の乱用」「再販売価格の拘束」などにあたるおそれがあると判断。公取委は今月11日、日本FC協会に調査結果を示し、「独禁法に違反する行為が認められた場合には厳正に対処する」と伝えた。公取委の指摘を受け、協会では「調査内容を検討し、適切に対応する」と話している。
[2011年7月25日、日経MJより抜粋]
■フランチャイズ・チェーン本部との取引に関する調査報告書【PDF版は下記サイト】
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/11.july/110707honbun.pdf
上記のほか、報告書には「仕入れ数量」「消費期限」「値引き販売」などに関する問題や、契約更新時の条件として本部から出された改善策が経費的に大きな負担増となったトラブルなどが紹介されています。
上記のほか、報告書には「仕入れ数量」「消費期限」「値引き販売」などに関する問題や、契約更新時の条件として本部から出された改善策が経費的に大きな負担増となったトラブルなどが紹介されています。
その中で私が最も興味を持ったのは、「本部が加盟店をどのような取引相手と見ているか」という質問に対するコンビニ加盟店の回答です。
「対等な関係にある取引相手であると見ていると思う」・・・36.7%
「本部よりも弱い立場の取引相手であると見ていると思う」・・・54.9%
「その他」・・・8.3%
上記のほかにヒアリング意見として、「(取引相手ではなく)本部の下部組織であるという意識」「本部が収益を上げる為の道具のように見ているように感じる」という回答も紹介されていました。これらの回答からフランチャイズ本来の姿である「事業のパートナー」としての関係が構築できている本部と加盟店は少ないことが分かります。
フランチャイズ・ビジネスは本部と加盟店が契約書という“約束”を基に、お互いがやるべきことをやってはじめて成立するビジネスです。しかし、契約という概念が希薄な日本では本部はより心情的な部分(加盟店側の心理)に配慮した対応が必要だと、回答結果を見て改めて感じました。
なぜなら、コンビニの現場では加盟店と本部をつなぐ役割である「経営指導員」の加盟店心理への配慮不足やコミュニケーション能力不足から生じるトラブルがあとを絶たないからです。
フランチャイズ・ビジネスは本部と加盟店が契約書という“約束”を基に、お互いがやるべきことをやってはじめて成立するビジネスです。しかし、契約という概念が希薄な日本では本部はより心情的な部分(加盟店側の心理)に配慮した対応が必要だと、回答結果を見て改めて感じました。
なぜなら、コンビニの現場では加盟店と本部をつなぐ役割である「経営指導員」の加盟店心理への配慮不足やコミュニケーション能力不足から生じるトラブルがあとを絶たないからです。