« 2012年1月 | トップページ | 2012年3月 »

2012-02-26

マルエツプチの実験店、何が変わった?!

『石川和夫の流通業界ウォッチング』の“検索フレーズランキング”を見ると、1位「マルエツプチ」、2位「マルエツプチとは」、3位「マルエツ プチ」と上位3つのフレーズは全てマルエツプチが占めています。ただ私がマルエツプチについて書いた「コンビニ跡地に出店した『マルエツプチ』の実験店」は2010年10月31日のもので、既に1年4ヶ月が経過した古い情報です。

Photo_3 そこで、それだけ人気のあるフレーズならばと思い、『マルエツプチ神田司町店』(東京・千代田)を再び訪れてみました。

訪れたのは月曜日の午後3時、神田司町店は事業所立地にありますが昼ピークを過ぎているため客も少なくのんびりした雰囲気の店内でした。前回訪れた時は実験店として開店したばかりであったため、今回はどのような点が改善されているのか楽しみにして店内に入りました。

まず、目についたのが品揃えと取り扱い商品の変化です。
鮮魚コーナーでは刺身の1人用パック(まぐろ5切れ程度)が品揃えの中心を占め、開店当初は取り扱いの多かった切り身や干物が減り、カレイの煮つけやサバのみそ煮など湯煎してすぐに食べられる調理済み1人用パック(198円)が増えていました。

精肉コーナーでも1人用を意識した分量の豚肉、鶏肉が品揃えの中心となっていました。また、ビーフハンバーグ(130円)・チーズハンバーグ(140円)など、すぐ焼けるように成型したハンバーグの1個入りパックも品揃えされていました。

次に惣菜コーナーを見ると、以前はなかったレンジで温めるだけのポトフやミネストローネなどのスープ類(4種類:398円)や1人用の鍋もの(5種類)など、コンビニなみの品揃えがされていました。

また、葉物サラダや調理サラダなどの品揃えも充実しており、煮物は筑前煮・里芋のイカ煮など5種類(198円~)あり、コンビニよりもはるかに充実した品揃えです。

前回見た時はあくまでもミニスーパーという作りでしたが、今回見た感じでは「おひとり様」「高齢者」「利便性」ということを考慮したコンビニ的な商品作りと品揃えが進んでいるなという印象を受けました。

しかし、前回課題として書いた「接客」については改善されていませんでした

私が店内に入った時は社員1人とパート2名がいましたが、相変わらず店に入った時も通路ですれ違った時も挨拶がありませんでした。


また、前回は開店2日目であったため課題になりませんでしたが、今回は「クリーンリネス」が出来ていない点が課題だと感じました。店の入り口ガラスは手垢だらけで「よくもここまで汚くしておけるな」と思うくらい汚れていました。また、商品が陳列されている冷蔵ケースの吸い込み口や棚板の汚れも目立っていました。さらに、店の外にある「たばこ」「ATM」「弁当・寿司」の“のぼり”はだらしなく垂れ下がり、一部は地面を這っている状態です。

マルエツプチは現在、東京都で49店、神奈川県で2店、千葉県で1店と50店舗を超えています(マルエツのホームページより)。コンビニ跡地でも営業が可能となればますます店舗数が増え、品揃え的にはコンビニの大きな脅威になることは間違いありません。しかし、接客やクリーンリネスなどの運営レベルではまだまだ不十分な点が多いようです。

しかし、これらの問題は『マルエツプチ神田司町店』だけの課題かも知れません。これを機会に出かけた先で出来るだけ多くのマルエツプチを見て、またブログで取り上げたいと思います。

2012-02-19

コンビニ大手が複数店を推奨する「隠れた事情」

今年の『フランチャイズショー2012』にコンビニ大手5社が揃って出展する理由を前回のブログで書きました。

その直後、2月16日(木)の日本経済新聞:朝刊に『コンビニ大手 複数店オーナー拡大』という見出しで、大手5社は
過去最高の計約3400店の出店計画(来期)を持ち、複数店経営を推進しているという記事が掲載されていました。

コンビニのオーナーは、かつては酒販店など個人商店からの転換が多かったが、近年は本部が店舗を用意する会社員からの転身が主流。ただ商売には素人で、研修や開業後の手厚いケアが欠かせない。しかも国内店舗数が4万6000店を超え、競争が激化する中、新規のオーナーが事業を軌道に乗せるには時間もかかる。
これに対して経験を積み、住民構成や顧客ニーズを把握している既存店オーナーに近隣物件を一体運営してもらえば、競争力を高めやすい。


また、記事内の「大手5社の複数店オーナー」という表を見ると、各社のチェーン全体に占める複数店比率は次のようになっていました。

セブン-イレブン・ジャパン=27%(約3600店)
ローソン=50%(約4500店) 
ファミリーマート=55%(約4300店)
サークルKサンクス=37%(約2200店) 
ミニストップ=40%(約800店)  
(注①)カッコ内店舗数は複数店オーナーが経営する店舗数
(注②)2012年2月末見込み 直営店は除く

もともとローソンとファミリーマートは複数店経営に対して積極的でさまざまな優遇策を取り入れていたため、法人契約の加盟者(社)も多く複数店の占める割合が高くなっています。これに対してセブンイレブンでは複数店経営を積極的に進めてきませんでした。しかし、数年前から複数店を経営する加盟店向けにチャージ(ロイヤリティ)を下げるなど複数店経営を推進する方針に転換したため、次第にローソンやファミリーマートの複数店比率に近づくと思われます。


日本経済新聞には書かれていませんでしたが、大手が揃って複数店経営を進める理由には『ドミナント化(高密度多店舗展開)』があると私は考えています。

コンビニの店舗数は全国で約46000店を超え、出店できる余地は少なくなっています。そのような状況の中で出店を進めようとすれば、商圏人口が厚く購買力のある立地(首都圏など)が候補となります。ただ、そのような立地にはすでに営業している自社コンビニがあり、出店をしようとすれば当然既存店の商圏と大きく重なり合います。

コンビニはピザ配達業や学習塾とは異なり、店舗ごとのテリトリー権(独占的営業権)は契約上認められていません。そのため本部は既存加盟者の了承を得ることなく近隣に出店することは可能ですが、商圏が既存店と大きく重なる場所に出店しようとすれば、既存店との信頼関係に亀裂が生じる恐れがあります。しかし、本部と加盟店の信頼関係で成り立っているフランチャイズビジネスにとっては、そのような事態は何としても避けなければいけません。

そこで本部はさまざまな優遇策を導入して
近隣の加盟者に複数店経営を促し、円滑に店舗展開を進めようとしているのです。

2012-02-12

「フランチャイズ・ショー2012」にコンビニ大手5社が出展!

今年も3月6日(火)、7日(水)、8日(木)と3日間、東京ビッグサイトで『フランチャイズ・ショー2012』が開催されます。私も、2008年から5年連続で加盟希望者向けセミナーの講師を担当させていただきます。
2012fc_5  私が担当するセミナーのテーマは、
「フランチャイズ加盟希望者必見~パート・アルバイトの活用法と人材育成のポイント~」  【開催日時】3月8日(木)14:00~15:10

フランチャイズビジネスの現場で働く従業員の多くはパート・アルバイトです。そのためいかに優秀なパート・アルバイトを採用し、定着率を高め、戦力化し、生産性の高い職場を作ることができるかが、ビジネスの成否を決めると言っても過言ではありません。

そこで私のセミナーではより良い人材を採用するために必要な「採用のポイント」とパート・アルバイト個々人の成長過程別に育成手法を変化させ、定着率と生産性を高める「人材育成のポイント」をご紹介します。
ぜひ、多くの皆様の参加をお待ちしています。

なお参加費は無料ですが、事前にインターネット上でセミナーの参加申し込みが必要です。セミナーの詳細や申し込み方法は下記サイトからご確認ください。
http://www.shopbiz.jp/fc/

今年のフランチャイズショーの目玉は何といっても「コンビニエンスストア」でしょう。
なぜなら、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート、サークルKサンクス、ミニストップと、大手5社が揃って出展をするからです。私の記憶では昨年と一昨年はサークルKサンクス1社のみ、それ以前も毎年1社程度しか出展していませんでした。それが今年はなんと大手5社の揃い踏みです。

2000年以降、売上の前年割れが続いていたコンビニ業界ですが、2010年のタバコの値上げを機に前年割れを回復し始めました。また、東日本大震災以降改めてコンビニの便利さが見直され主婦層やお年寄りの利用機会が増えているため、食品を中心に売上も順調に伸びています。

これを機会に、各社より出店攻勢をかけようと考えてのフランチャイズ・ショー出展なのでしょう。昨年・一昨年出展していたサークルKサンクスは、法人の複数店経営希望者向けのパッケージを新たに用意して積極的に加盟希望者を募っていました。

今年は各社、どのような戦略(パッケージ)を持って加盟希望者獲得を競い合うのか、いまから楽しみです。

2012-02-05

「ゲーミフィケーション」が若者のやる気を引き出す?!

以前、コンビニエンスストア(以下、コンビニ)の経営をしていた時、レジ誤差金額の多さに悩まされたことがあります。

レジ誤差を減らす方法は単純です。スーパーのようにレジ担当者を決めてシフト交替ごとに清算すれば個々人の責任が明確になるため、誤差に対する意識は高まり、レジ誤差金額は自然と減るものです。

しかし、コンビニでは実施できないのが現状です。というのも、1人の従業員がレジ・商品補充・清掃などさまざまな業務を兼ねるのがコンビニでは一般的です。また、ある人が休憩中や発注をしている間は他の従業員がレジを打つため、1日に3~4回仮清算を行なったとしても誤差が誰の責任か明確にすることができないからです。

そこで、私はレジ誤差に対する従業員の意識を高めるため、レジ誤差管理にゲーム性を持たせることにしました。

まず、「自分が担当となっていないレジを打ってはいけない」というルールを作り、3台あるレジの時間帯別担当者を決めてシフト表にマーキングをしました。次に、仮清算(または本点検)から仮清算までの間に発生した誤差金額を、担当したレジの時間数によって個々人に配分します。

つまり、17時から22時の5時間でA君が3時間、B君が2時間レジを担当して100円の誤差が出た場合、A君=60円、B君=40円の誤差負担が発生します。しかし、この金額を本人から徴収するという訳ではありません。

結果はバックヤードの一覧表に日々公開し、1ヶ月分を集計して各自の1時間当たりのレジ誤差指数(数値が少ないほど優秀)を順位と共に発表しました。また、本点検・仮点検ごとの誤差金額合計が(+-の両方の合計)一定金額以下の月は、上位3人に賞金を出しました。

このような取り組みの結果、レジ誤差は見違えるように減り、1日4回のレジ締めで3台のレジが全て誤差ゼロという日も生まれるくらいでした。このとき、課題解決に取り組む時には工夫が必要であるということを改めて学びました。

私が取り組んだ手法は『ゲーミフィケーション(gamification)』と呼ばれ、課題解決や顧客満足度の向上にゲームのメカニズムを利用したもので、いまビジネスの分野でも注目されているということを1月25日(水)に放映されたNHKのクローズアップ現代「ゲームが未来を救う!?~広がるゲーミフィケーション~」で知りました。

番組の中では若者の車離れを阻止するために自動車業界が運転技術を採点し、ドライバー同士で競わせる機能を搭載した車を開発した例や、パソコンでお互いを認め合うバッチを贈ることでチームワーク作りに取り組む事例などが紹介されていました。

いまの20代~30代の従業員はパソコンや携帯電話(スマートフォン)を活用したゲームに慣れ親しんでいるため、若い世代の従業員が多い職場ではこのような取り組みは大変有効だと思います。

■番組の内容はNHKオンデマンドで見ることができます
http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail.cgi?content_id=3147

« 2012年1月 | トップページ | 2012年3月 »