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2012-03-25

新入社員に「コミュニケーション能力」を求める理由は?

最近、企業研修で人事教育担当者とお会いした時、新入社員の応募状況や選考に際しての苦労話を積極的に聞いています。すると、その話の中で必ず出てくる課題が「コミュニケーション能力の有無」です。

Photo 企業の採用担当者は選考基準としてどのくらい「コミュニケーション能力」を重要視しているのかと思い、(社)日本経済団体連合会が実施したアンケート調査『新卒採用(2011年3月卒業者)に関するアンケート調査」を見てみると、「コミュニケーション能力」は80.2%とダントツの1位になっていました。

ひと昔前であれば、「チャレンジ精神」や「責任感」を挙げる企業が多かったと思うのですが、いまやどの会社も「コミュニケーション能力」を新入社員に求めています。この現象の要因は色々と考えられると思いますが、多くの企業が「従業員のコミュニケーション能力の低さがさまざまな問題を引き起こしている」ということに気づいたからではないかと思います。


ということは、どんなに学業の成績が良くて資格を持っていたとしても、またサークル活動や社会活動をしていたとしても、コミュニケーション能力が低いと見られた学生は内定が取れないということになります。では、そのコミュニケーション能力の高低はどこから生まれてくるのだろうと考えていたところ、世代論に詳しい山本直人氏の新書『世代論のワナ』に次のような記述を見つけました。

自信が持てずにコミュニケーション能力に問題を抱える学生は、親からダメ出しをされてきたパターンが多い。大学の進路や、企業の選択などで「これは無理」というような束縛を根拠もなく受けていることが多いのだ。かつて「好きなことをしなさい」と言った親が、結果的に「働かない/働けない」若者を生み出したということの反動だろう。一方で、「好きにしろ」という親もいる。これはこれで、何も考えていない。「まあどうにかなるだろう」というのも、一種のダメ出しなのだ。(中略)
得意のコミュニケーション能力を発揮する者は、「親から信頼されている」という意識を持っている。親もダメ出しをしないし、好きにしろというわけでもない。結局、親が自分の生き方や考え方に自信を持っているのだ。自信を持つ者は、他者を信頼する。それは、親子でも同じである。結果的に、目に見えない「自信の相続」が起きているのである。【小見出し:「自信の相続」からの一部抜粋】

親からの「自信の相続」だけがコミュニケーション能力の高低要因ではないと思いますが、確かに家庭におけるコミュニケーション環境は大切です。

自分に対して自信(自己肯定感)を持っている人は「自己開示」することに長けていると同時に、価値観の異なる他人の意見を受け入れるキャパシティーも持ち合わせています。そのような人材は職場での人間関係を円滑に保つことができるため仕事上の成果も出しやすい、と人事担当者は考えているのではないでしょうか。

2012-03-18

セブンイレブンの「チルド和菓子」と売上の関係

最近、「食」の嗜好が変わってきたなと思うことがたびたびあります。
その事例をいくつか挙げると、

①野菜を好んで食べるようになった
②佃煮がおいしいと思うようになった
③熱い番茶のお茶請けにおいしい梅干がほしいと思うようになった
④和菓子とお煎茶の組み合わせが好きになった

これらは明らかに年齢的(今年54歳)な嗜好の変化からくるものだと思います。特に原稿書きや企画書作りなどデスクワークが多い日は脳が糖分をほしがるためか、午後になると無性に甘いものが食べたくなります。

711_2 こんな時に重宝しているのがセブンイレブンの和菓子です。
近所に老舗の和菓子屋は何店かあるのですが、さすがに1個だけ買いに行くことはできません。しかし、コンビニならば気後れしないで買うことができます。


コンビニの和菓子といえば大福や串だんご、どらやきやミニ羊羹など、パン売場やレジ前平台で常温販売をしているものが一般的で、どこのチェーンもあまり代わり映えしないものでした。しかし、最近のセブンイレブンはデザート専用の冷蔵ケースを設置し、「桜あんみつ」「白玉ぜんざい」「わらび餅」などのチルド和菓子の品揃えを増やして他チェーンとの差別化を図っています。


このチルド和菓子、実は店にとって大きなメリットがあります。
それは、販売期限が長いということです。

通常、常温販売しているNB和菓子の消費期限は製造日から約3日間ですが、チルド和菓子は1週間近くもあります。そのため、店では廃棄ロスを増やすことなく欠品の無い・品揃えの充実した売場作りができるので、大変ありがたい商材となっています。

また、東日本大震災後、コンビニでは主婦や高齢者の来店が増えています。これらの新しく取り込んだ客層とチルド和菓子は相性がピッタリです。

このような顧客とそのニーズの変化に合わせた取り組みの1つひとつが成果を出し始め、セブンイレブンと他チェーンとの売上格差が拡大しているのかも知れません。

2012-03-11

東日本大震災1年目に考える復興支援のあり方

東日本大震災から今日で1年。新聞でもテレビ番組でも多くの震災特集が組まれています。新聞紙面で見る被害状況の数値や震災特集番組の内容から復興の歩みはまだ遅く、原子力発電所事故の影響が大きく立ちはだかっていることを改めて痛感しました。

Photo そのような被災地の特産品を購入することで復興を支援しようとする『応援消費』が定着化しています。写真の「うす焼チーズせんべい」は東京・銀座にある岩手県のアンテナショップ「いわて銀河プラザ」で購入したものです。私の妻は昔からこのせんべいが好きで銀座に出かけた際にはよく購入しています。

震災前の店はお客の比較的少ない店でしたが、震災直後の4~5月頃はいつ行っても大勢のお客でにぎわっていました。最近ではそのような混み具合も落ち着きを取り戻しましたが、来店客数は確実に増えているようです。3月9日(金)の日本経済新聞に掲載されていた記事『応援消費、シニアに定着』には、次のように書かれていました。


震災直後の昨年4~5月は売上高が前の年の2倍近くにまで伸びた。今年1月の伸び率は8%に縮小したが、店内は中高年客でにぎわう。妻と来店した東京都江戸川区の田中英秋さん(60)は「震災を機にこの店を知った。好みの日本酒がそろい、よく立ち寄る」と話す。

東北には魅力的でありながらも知られていない商品がたくさんあります。そのような商品が『応援消費』をきっかけで知られ、購入され続ければ復興の大きな後押しになると思います。

そんなことを考えていた今日、「被災地のビジネス支援」をさらに進化させている人がいることを知りました。それは、『ほぼ日刊イトイ新聞』を主宰する糸井重里さんです。

『ほぼ日刊イトイ新聞』の中にある「今日のダーリン」という糸井さんのエッセイは東日本大震災後、毎日読んでいます。糸井さんの震災復興に向き合う考え方や具体的な行動には勇気づけられたり、自分の在り方を考えさせられたりすることが多々あります。

最近、その糸井さんが編み物を始めたことをエッセイに書いていて作品の写真をサイトにアップしていました。「いまなんで編み物なのかな?」と疑問に思っていたのですが、その理由が今日の日本経済新聞のインタビュー記事で明らかになりました(一部抜粋)。

――被災地の自立をめざすということか。その方法は。
考えているのは編み物、フィッシャーマンズセーターです。それも1着10万円以上を目指している。頼りにしているのは気仙沼のおかみさんパワー。漁師の奥さんは、夫がいない時は常に自分で決断するから、自由度も判断力もすごい。雑談でも目を輝かせて「ああそれいいね、やってみよう」と言ってくる。このパワーを組織化したい。
講師も本場の英国から呼んで、その後はそこで学んだおばちゃんが、他の人に教えてというふうに広がっていけばいい。できたものはサイトを通じ世界中に売りたい。


糸井さんは昨年11月、震災を忘れず復興を支援し続けるビジネスを始めるため気仙沼に事務所を開設しました。その第1弾がフィッシャーマンズセーターの製作・販売のようですね。おばちゃんたちの潜在能力と自社の販売ノウハウ・ネットワークをいかして、気仙沼に新たな仕事を生み出していこうとする「復興支援」が糸井さんならではだなと思います。

2012-03-04

デパ地下惣菜専門店の躍進とコンビニの現状

毎年3月、コンビニエンス・ストアでは商品廃棄ロスが増え、売場の品揃えが不十分になる傾向があります。なぜ商品廃棄ロスが3月に増えるのか? その理由として「冬季商品への飽き」「三寒四温」を挙げることができます。

コンビニの代表的な冬季商品といえば、「おでん」「中華まん」「鍋物惣菜(スープも含む)」などです。これらの商品に対するニーズは気温が低ければ低いほど高くなるため、品揃えとして欠かすことができません。しかし、この時期になると食べ飽きているお客様が多いので需要が減るのですが、その変化に店側の対応が追いついていないのが現状です。

また、3月は寒い日と比較的気温の高い日が交互にやってくる「三寒四温」の時期であるため、惣菜やおにぎり・弁当・麺類に対するお客様のニーズは日々大きく変化します。しかし、コンビニの発注担当者は過去の販売実績(POSデータ)や発注日の売場状況、さらには廃棄ロスの現況を見ながら注文を出していることが多く、目まぐるしく変化する気候に対応することができずに廃棄ロスを増やしてしまうのです。

苦戦しているコンビニに対してデパ地下の惣菜売場や持ち帰り惣菜専門店などの売場を見ると、お客様のニーズに臨機応変に対応しているなと感じます。3月2日(金)の日経MJには『惣菜個性派成長に隠し味』というタイトルでデパ地下の惣菜店チェーンの取り組みが掲載されていて、その中に下記のような記述がありました。

外食産業総合調査研究センターによると、コンビニエンスストアを除き総菜業界の大半をカバーする「料理品小売業」の市場規模は、2010年が前年比2.4%増の6兆2000億円。リーマン・ショック後に一時縮小したが再び拡大に転じ、東日本大震災のあった11年も大手各社の売上は堅調だ。(中略)
もっとも、ライフスケープマーケティング(東京・千代田)が家庭の食卓メニューを集計した「食MAP」によると、11年の総菜の食卓登場頻度ではスーパー、百貨店がそれぞれ10年前に比べて4%、11%増えたが、コンビニは1%減った。

コンビニは野菜の取り扱いを始めたり、パウチされた日持ちするサラダ・煮物・焼魚・煮魚などの取り扱いを増やしたりすることで「中食」部門の売上を伸ばしてはいますが、フレッシュな惣菜に関してはデパ地下専門店やスーパーに押されぎみです。

今後、コンビニ、デパ地下、スーパー、持ち帰り惣菜店の戦略構図がどのように変化していくのかが楽しみです。

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