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2012-08-26

「価格」から「品質」へと舵を切るPB商品戦略の行方

いままでプライベートブランド(PB=自主企画)商品を買うことは少なかったのですが、最近では洋服や食品などのPB商品を買う機会が増えてきました。その中でも気に入っているのが、セブン&アイ・ホールディングスのPB『セブンプレミアム』のフルーツグラノーラ筑前煮です。

Photo フルーツグラノーラは、前日に食べ過ぎた時など、カロリーを調整する目的で朝食や昼食によく食べます。刻んだバナナとグラノーラの上にヨーグルトをのせて食べると、量がそれほど多くなくてもグラノーラをしっかり噛むことになるので、満腹感が味わえます。また、何度か他のメーカーの商品も試したのですが、レーズンやパンプキンシードなどが偏って出てきて食べにくさを感じることがありました。しかし、「セブンプレミアム」のグラノーラは偏らず平均的に出てくるので、大変気に入っています。

Photo_2 筑前煮は、繊維質の多い野菜や鶏肉がしっかりと味付けされていて、酒のつまみにも御飯のおかずにも合いますが、私は主に温かいうどんやそばにのせて食べています。これなら湯煎するだけなので、デスクワークで忙しい時の昼食などにピッタリです。しかし、近所のセブンイレブンに行くと欠品していることが多く、買う時には何個かまとめて買っています。もしかしたら、私のような客がいるから欠品が多いのかも知れません。

英テスコの売上高に占めるPBの比率は50%を超えており、欧州の平均でも30~40%、米国でも20%を超えていますが、日本の大手スーパーのPB比率はまだ10%程度です。スーパーやコンビニではだいぶPBが増えてきたと思うのですが、これでも日本のPBの浸透度はまだまだ低いようです。しかし、今後は日本でもPB商品の開発や取り扱いが増えると同時に、購入金額も増えていくと考えられます。

というのも、いままでは「PB=中下位メーカーが作る安いもの」というイメージが強く、安ければ良いという品質にこだわらない消費者が購入するものといった捉え方がありましたが、小売側がPBに品質の高さも求めるようになり、上位メーカーがPB開発に対応するようになってきたからです。

例えば、次のように、取り扱い商品の一部を有名メーカーが作るケースが増えてきました。
ローソンの「ローソンセレクト」では、食パンを山崎製パン、牛乳を明治乳業、お茶飲料を伊藤園。
「セブンプレミアム」では、カップ麺を日清食品、ハム・ソーセージを日本ハム。
ユニーの「スタイルワン」では、スナック菓子をカルビー、食用油を日清オイリオグループ。


日本のスーパーではPB商品が誕生してから30年以上経ちますが、「安さ」という価値のみを追求してきたため市場はあまり成長しませんでした。しかし、ここに来てスーパー業界の寡占化が進み、メーカーとの交渉力が強くなったため、品質をより高めたPBが作りやすい環境になっています。

今後、日本の小売業界でPBがどのような成長ぶりを見せていくのか、またどのように品質が向上してブランド価値を作っていくのか、とても楽しみです。

2012-08-19

野球場の売り子に学ぶ? 「販売のタイミング」

昨日は大学時代の友人に誘われて、「巨人対広島」を観戦するため東京ドーム(東京・文京区)に行ってきました。夏休み中の土曜日ということもあり、球場は多くの親子連れでにぎわっていました。

8回までお互いランナーは出すものの無失点の状態が続き、「時間ばかりかかる面白みにない試合だな」と思っていました。しかし、8回裏に巨人:村田のヒットで均衡が破れ、その後には代打の谷が3点二塁打を放ち、私のいた一塁側スタンドでは観客の多くがオレンジのタオルを振り回して盛り上がり、結果的には楽しめた試合になりました。

そんな久しぶりのプロ野球観戦でしたが、それとは別に私が注目したのは、販売されている飲み物の種類の多さと販売している売り子の接客ぶりです。

気づいたことをメモしている私に「そんなことメモしてないで試合を楽しめよ!」と友人が言うのですが、仕事柄どうしても気になってしまうのは避けようがありません。
これはある意味、職業病かなと思います。

Photo まず興味を持った飲み物の種類ですが、生ビールは「サントリープレミアムモルツ」「サッポロエビス」「キリン一番搾り」「アサヒスーパードライ」が全て1杯800円。他に酒類は「サントリー角ハイボール」「レモンハイ」「サントリースーパーチューハイ」「ウィスキー」「「日本酒&梅酒」「焼酎」が500円~900円と、まるで居酒屋並みの品揃えです。この他にコーラやウーロン茶などのソフトドリンクももちろんありました。

私たちは席についてすぐにサントリーのプレミアムモルツで乾杯! 
その後もサントリーの角ハイボールなどを飲みながらの観戦でした。

それにしても生ビールの売り子というのは重労働だなと思いました。
重いタンクを背負いながらスタンドを上がったり降りたり大きな声で販売をアピールしたり、さらには声援にかき消されないような声でお客とやりとりをしなければいけません。売り子の中には試合開始2時間ぐらいになると汗だくで化粧が落ちかけている子もいました。


また、感心したのは観客の動きや表情をよく観察しているところです。
スタンドの下から観客を見上げて自分とビールの存在をアピールすると同時に、目の前にいる何百人という観客の表情や視線を細かくチェックし、いち早く「ほしいと思っているお客」に気づき、その席の方に向かっていきます。

この仕事は、人の表情や視線といったノンバーバル(言語以外の情報)をキャッチする感性に優れている売り子とそうでない売り子では、同じ商品を扱っていても販売成績に大きな差が出るだろうなと思いました。


私は研修で「相手とより良いコミュニケーションを取るためには言葉や文字だけではなく表情や態度が重要だ」ということ強調していますが、改めて販売に携わる者にとってお客の「表情」「態度」を読み取ることがいかに重要であるかを再認識しました。

2012-08-12

消費者心理を冷え込ます?「消費増税法」の成立

1989年3月31日の深夜、私はコンビニエンスストアの店長として店内にいました。
普段であれば深夜アルバイトに業務を任せて帰宅している時間ですが、この日はレジのシステム変更に立ち会う必要があったため帰ることができませんでした。

そのレジのシステム変更とは、4月1日から始まる消費税(3%)の導入に伴うものです。

この日は夜遅くなってもなかなか客足が途絶えず、3月31日の24時直前には消費税導入前に買い物をしようとするお客様で店内は賑わっていました。また、ちょうど4月1日に日付が変わろうとしていた時、レジに並んでいたお客様が「4月1日になったら、すぐ消費税付いてしまいますか?」と私にたずねてきました。私は「まだシステム変更をしていないので大丈夫ですよ」と答えたのをいまでも鮮明に覚えています。

その後、消費税は5%に引き上げられましたが、この時は導入時ほどの記憶がありません。おそらく店もお客様も冷静に受け止めていたためではないかと思います。

昨日、その消費税を2014年4月に8%、2015年10月に10%と2段階で上げる消費増税法が成立しました。

日本経済新聞に掲載されていた第一生命経済研究所の年間消費税負担額増の試算を見ると、

世帯主の年収が400万円の4人家族で、8%時には55,546円、10%時には90,894円
世帯主の年収が600万円の4人家族で、8%時には74,539円、10%時には121,972円
世帯主の年収が800万円の4人家族で、8%時には94,379円、10%時には154,439円

の年間負担額が増えることになります。

経済状況が厳しい中、この金額は多くの家庭でたいへん大きな負担になります。
また、この期間には年金保険料や復興増税に伴う所得税や個人住民税の負担増もあるため、給与所得が思うように伸びていない現状を考えると、「日本の財政再建のためには必要なことだ」と言われても、消費者心理がますます冷え込んでしまうのではないかと不安が先に立ってしまいます。

2012-08-05

正しい商品知識を持って「ノンアルコール飲料」を売ろう!

5月20日に『ノンアルコール飲料で健康診断を乗り切るぞ!』というタイトルで、検診日までノンアルコールビールを飲んでいると書いたところ、仕事でお世話になっている青森の方から「お互い肝臓には気をつけましょう!」というタイトルで励ましのメールをいただきました。
そのメールには、次のようなクイズがついていました。

平日のお昼にノンアルコールを飲むと、
①すご~く後ろめたい(罪の意識)
②すご~くゴージャスな感じ
③ノンアルコールなのに瞳孔が開いたようになり心なしか酔った気分
さて、どれでしょうか?

私は瞳孔が開いたようにはなりませんが、③は感じることがあります。また、②はほんの少しだけ。①はあまり感じたことはありません【青森の方の答えは:全部】。

しかし、一般的には①を感じている人が多いということを、8月1日(水)の日本経済新聞:夕刊の『ノンアルコール飲料で一服 「いつでもどこでも」許される?』という記事を読んで知りました。

この記事には「ノンアルコール飲料、こんなシーンでは許容?」というアンケート結果が掲載されていて、次のようなシーンでOK(許容)の割合が出ていました。

■仕事中=8%
■会議中=7%
■運転しながら=21%
■仕事の休憩時間=10%
■妊婦=54%
■運転する前=40%
■子供=9%
■入院中=35%

妊婦を除くと、思っていた以上に飲むことに否定的な人が多いのだなという印象を持ちました。
しかし、もともとお酒の代替品として開発された商品だけに、「いつでもどこでも飲んでもよい」と考えている人が少ないということなのでしょう。
また、コンビニでノンアルコールビールを購入する時、通常のビールと同様に「年齢確認」される点に疑問を持っていたのですが、次の記述を読んで確認の必要性を感じました。

ノンアルコール飲料のヒットの理由は「0.00%に加え、味の進化」(サッポロビール・サッポロブランド戦略部の桑原敏輝マネージャー)。だが、本物の味に近づけたがために「飲んだ子どもが本物の酒に手を伸ばしやすくなるのは皮肉な話」と、味覚に詳しい畿央大学大学院の山本隆教授は言う。「子どもも摂取を繰り返すと、味だけでなく香り、発泡感、色すべてに慣れてくる。のどの渇きをいやす、雰囲気が楽しいなどで快感を覚えると、本物のアルコールに抵抗感がなくなる」と指摘する。

なるほど、そのような理由があってアルコールが入っていないにも関わらず「年齢確認」が必要となっているのですね。ただ、このような理由を販売する店側(従業員)がどれだけ知っているのでしょうか?

今後ますます需要が伸びると思われるノンアルコール飲料です。
販売者の商品知識として、このような理由もあることをしっかりと理解して販売してもらいたいと、改めて思いました。

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