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2012-09-30

参加者と講師、双方の快適さを目指す研修施設

研修やセミナーを主な仕事にしていると、全国さまざまな研修施設に行く機会がありますが、先日コーチングセミナーを行なったセミナーハウス(クロスウェーブ府中)は見たことのない充実した施設でした。

何が充実していたかというと、写真のように10階建ての建物中央部は吹き抜けになっていて、その各階の周りにはテーブルとイスが置かれているため、1階のパティオを眺めながらゆっくりと休憩したり資料を読んだりすることができます。

また、研修ルームのイス(参加者用)も普通のイスではありません。体がすっぽりとおさまるような肘掛のついたイスで、油圧リクライニング機能が備わった大変グレードの高いものでした。

さらに、このセミナーハウスの地下には456名収容の大ホールがあり、現在公開中の映画「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」の劇中に登場する『湾岸署捜査本部』の撮影地として使われました。このホールの客席は可動式で、ホールとして使用しない場合は体育館のようになり、企業研修時のレクレーション会場などになるそうです。

このような環境や充実した設備の中で研修ができると、参加者はリラックスして受講することができるため、学ぶ意欲が高くなると同時に研修効果もより高いものを期待することができます。しかし、私が「充実した施設だな」と思ったのは設備だけではありません。

Photo_3 講師用としてミネラルウォーターやおしぼりが用意されているのは一般的ですが、この施設では講師用机の上に「のど飴」と「息リフレッシュ用のタブレット」が折り紙で作った箱に入れて置かれていました。

研修の時にはいつも自前の「のど飴」「ガム」「のどあれ用スプレー」を持参しているのですが、そのような講師の潜在的ニーズをキャッチして、それも手作りの折り紙の箱に入れて用意しているセミナーハウスの心遣いがとてもうれしく、快適に充実した研修を実施することができました。

このセミナーハウスでは参加者だけではなく講師に対しても、どうしたら快適に研修に参加してもらえるかを常に考え、取り組んでいるのだなということがとてもよく伝わってきました。

2012-09-23

女性が言う「かわいい」を、脳構造の違いから学ぶ!

Photo 今日の日本経済新聞の朝刊に『日経マガジンスタイル』の広告特集号が付録として入っていました。この冊子で紹介されているスーツやカジュアルウェアなどはとてもおしゃれで価格も高いため手を出しにくいのですが、洋服の組み合わせを考えたり小物を選んだりする時の参考になるので毎号楽しみにしています。

今回の特集は『男のお洒落にはどうして論理(ロジック)が必要か?』というタイトルで、冒頭に私がいつもコミュニケーション研修で話している男女の脳構造の違いが、図解と共に次のような記述で掲載されていました。


Photo_2 人間の大脳は左右ふたつの半球、右脳と左脳に別れている。右脳が「感性」を、左脳が「論理的思考」を司ることも一般常識の範疇(はんちゅう)だ。しかしながら、それらをつなぐ神経繊維の束である「脳梁(のうりょう)」の形状が、男性と女性とで異なることは、あまり知られていない事実だろう。
具体的には、この「脳梁」の後部に位置する「膨大部」に違いがある。男性の膨大部は棒状であり、女性のそれは丸く膨らんでいるのだ。これは女性の方が左右の脳を連携させるパイプが太いということ。何かを思考したり、会話をする際、女性は左右の脳をきちんと連携させて使っているという説の論拠となる。一方、男性は左右の脳を区別して使い分けており、思考し、会話をする時にはひたすら左脳のみで処理をする。そのため会話をひとつずつ積み重ねながら、理解していくと推察できるのだ。

確かに、女性の多くは気に入った商品を見たときに「かわいい、これいいと思わない?」というような表現をします。そこで、男性が「どこがかわいいの?」と聞くと、「だって、かわいいものはかわいいじゃない」と、理解しがたい意見が返ってくることが多々あります。

このような表現こそ、商品を全体像のイメージ(右脳)で捉える女性の特性であり、商品を価格や量、さらには細かいスペック(左脳)で捉える男性の特性との違いだと思います。そのように考えると、『男のお洒落には、どうして論理が必要か?』ということも、すんなりと理解できたりするところがまた男脳なのでしょう。

すると、女性を主な顧客とするスーパーやドラッグストアなどは、より女性の右脳に訴えかけるような陳列やディスプレイ、さらにはコトPOPが必要だということになります。しかし、男性の店長や売場担当者にはなかなかその発想は難しいでしょう。

しかし、あきらめることはありません。
店には多くの女性従業員が働いています。その女性従業員の
潜在能力(ポテンシャル)と協力を引き出すことができれば、どのような店でも女性客の「ニーズ」と「心」をしっかり掴んだ売場作りはできるはずです。

2012-09-16

若手社員の定着率を高めている会社は強い!

新卒者の離職率は「七五三現象」と言われていますが、みなさんの会社はいかがでしょうか?

ご存知のように、中学、高校、大学の卒業後、3年以内に離職する割合が、それぞれ約7割・5割・3割であることからこのような言われ方をしています。しかし、最近の景気低迷による再就職の難しさ、安定志向の強まりから、離職率は改善されるのではないかと思いましたが、流通・サービス業ではそれほど大きな変化がないようです。

Photo8月29日(水)の日経MJには『若手辞めない会社は強い、3年内離職率、大卒30%』というタイトルで、次のような記事が掲載」されていました。

厚生労働省の全産業調査によると、2008年に新卒で入社した社員のうち、3年以内に辞めた割合は大卒が30%、高卒が38%。1年以内の離職率を見ると10年に入社した大卒は13%強、高卒は20%超になった。景気低迷による若年層の安定志向の高まりもあって比率は低下傾向にあるが、流通・サービス業にはいまだ全体平均を10ポイント以上上回る企業が多い。(注:各企業の離職率は2008年入社の社員のうち11年までの3年間に辞めた人の割合)

また、さまざま工夫をして離職率改善を行なっている企業が、次のように紹介されていました。

強いから辞めないのか、辞めないから強いのか――。雇用流動性が高い流通・サービス業界で、離職率の低さが同業の中でも目立つ好業績企業がある。長く働き続ける社員が多ければ生産性も高まるというのが各社の共通認識。少子化に伴う労働力人口減少への備えにもなる。若手らのやる気を引き出し、会社への満足度を引き上げるために「辞めない会社」はどんな一工夫をしているのか。

紹介されていた企業は4社。
まず、入社1年目から先輩がチューターとして付き「ツアー設計」を任せる『阪急交通』(離職率11%)。早くからツアー設計に取り組むことでプロ意識と会社へのロイヤリティーを高めています。

2社目は、評価の公平さから新入社員の満足度を高めている衣料品販売の『しまむら』(離職率14.6%)。情意評価については自己評価と上司評価を行い、評価内容について協議する機会を設けています。また、売上目標を全体評価の60%に抑え、情意評価を40%にしているためノルマに追われず働き続けることができるようになっています。

3社目は、週休3日制を導入しているスポーツ専門店の『アルペン』(離職率4.1%)。休日の利用について会社は「1日はスポーツ、1日は勉強、1日は休養」を推奨しています。特に、各自が得意なスポーツを続けることで、その経験が商品開発や販売ノウハウに結びついています。

4社目は、入社後の「理想と現実」のギャップを最小限に抑えているスーパーの『原信ナルス』(5.9%)。会社説明会では入社を希望する学生に幻想を抱かせないように、投資家向け用の事業説明報告を使い経営計画やサービスの理念などの説明が中心で、若手社員のスナップや希望に満ちた文言などは紹介をしていません。

各社、それぞれに自社の経営理念や業務上の特徴を生かした工夫をしています。
冒頭に「強いから辞めないのか、辞めないから強いのか」とありましたが、
これは当然「辞めないから強い」が正解です。

しかし、何も策を講じないで、費用もかけずに自然と辞めなくなったのではありません。
紹介されていた企業はいずれも、社員のやる気や働く上での満足度を高めるためにさまざまな工夫をして現在があるのだと思います。そして、「早期離職」というリスクを減らした結果、労働生産性が向上し、業績も良くなっているのです。

2012-09-09

セブンイレブンがついに四国出店を決定!

仕事で四国に行くと、地元企業の担当者から「セブンイレブンはどうして四国に出店しないのでしょう?」という質問を受けることがよくあります。そのたびに、「セブンイレブンはドミナント出店(高密度多店舗出店)を基本戦略としているため、まとまった出店計画が可能であると市場規模的に判断できるまで出ないのだと思います」と話していました。

しかし、今日の日本経済新聞の朝刊に『セブンイレブン、四国進出』という見出しで次のような記事が掲載されていました。


セブン-イレブン・ジャパンは2013年春、空白地だった四国に進出する。3年で250店を出店する計画で、47都道府県のうち、青森、鳥取、沖縄の3県を除きほぼ全国をカバーすることになる。こうした単独での出店に加え、四国では「サンクス」の地域運営会社がセブンイレブンへの転換を希望。大手コンビニエンスストアのシェア争奪の激しさを映し出す場になりそうだ。

Photo 写真の「コンビニチェーン別:都道府県別店舗数(7月末)」【資料出所:㈱商業界、月刊コンビニ9月号】を見ると分かるように、ローソンやファミリーマートが全国の都道府県に出店しているのに対して、セブンイレブンは出店していない県が7つあります。それも、四国4県がそっくり抜けています。

しかし、四国4県にはすでにコンビニが1241店舗あり、4県合計の人口398万人(2012年2月発表:総務省統計局)で計算すると、1店舗当たりの人口は3,207人。セブンイレブンは18年度末までに独自で520店を展開する計画なので、単純に現在の店舗数に上乗せすると1761店舗。人口が変らない前提で計算すると1店舗あたりに人口は2260人になり、個店別の経営は大変厳しい状況になると想像できます。

このような状況も想定して四国への進出を見送っていたセブンイレブンですが、「セブンプレミアム」を中心に惣菜や野菜など食品スーパーに近い品揃えにシフトしたことで、人口の少ない地方の店舗でも主婦や高齢者などの来店が増えて売上が伸びているため、出店が可能だと判断したのでしょう。

しかし、セブンイレブンの出店によって影響を受けるのはコンビニだけではありません。近隣の食品スーパーや持ち帰り弁当店、惣菜店、飲食店など、その範囲は多岐におよぶことが想定されます。セブンイレブンの出店によって四国の小売・サービス業界がどのような変化を見せるのか、これから目が離せなくなりそうです。

2012-09-02

多様化するニーズに商機を見い出す「バナナ」の販売

Photo 私の朝食は基本的に納豆とごはんですが、大学生の息子と妻の朝食は1年ほど前からバナナをベースにしたフルーツヨーグルト(きなこのトッピング付き)です。忙しい朝に手軽に用意ができて、あまり食欲がなくても食べやすい点が魅力のようです。

2008年~2009年にかけてダイエットを目的としたバナナブームがありました。その後も手軽に・
手早く栄養補給できる食材としてマラソンやランニング愛好家などから支持をされ安定的な売れ行きを見せていたバナナですが、最近になり「朝食として」再び脚光を浴びています。

2012年8月24日(金)の日経MJには『朝型生活でバナナ再熱』というタイトルで次のような記事が掲載されていました。

朝食メニューとしてのバナナの存在感が高まっている。日本バナナ輸入組合(東京・千代田)が調査会社を通じ毎年インターネットで実施している消費者アンケートでは、11年6月時点で朝食をとる人の39%(複数回答)がメニューとしてバナナをよく選ぶと回答。10年調査より約8ポイント増えた。パン(74%)、ごはん(57%)に次ぐ3番手で、リンゴやシリアル食品のほぼ3倍だ。バナナを月1回以上食べる人の62%は「朝に最も食べる」と答えた。

当ブログでは、2010年2月7日に『バナナのニーズ多様化と「売場作り」の提案』というタイトルで、安価なバナナだけではなく高地栽培の糖度の高い食べ応えのあるバナナも品揃えしようと、コンビニや食品スーパー向けに品揃え提案を書きました。しかし、現在ではさらにバナナに対するニーズは消費シーンにまで多様化しているようです。
さらに、日経MJの記事内で驚いたのは、「熟度別」の販売提案(帝京大や弘前大の研究成果)を日本バナナ輸入組合がおこなっていてカスミなどのスーパーが売場展開をしている事例です。

売場の平台にはグリーンの濃い「少し硬いのではないか」と思われるバナナから一部が茶色くなって熟した黄色いバナナまで段階別に陳列されていて、次のような熟度別の商品説明が書かれている写真がありました。

①青色バナナは食物繊維と同等の働きをする難消化性でんぷんが多く腸の働きを活発にする

②黄色バナナはビタミンB群が含まれ、肌の健康にいい

③熟して茶色になったバナナは免疫増進の効果に期待できる成分が増える

なるほど、同じバナナでも熟成度合いによってこんな違いがあるとは「目からウロコ」でした。ひとつの商品でもその商品をより深く追求していけば、さまざまなニーズを掘り起こすことができる、ということを改めて感じました。

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