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2012-10-28

「本郷いちょう祭り」から消費の喚起策を考える

Photo_2 今日は小雨降る中、近所の中学校で開催されている「本郷いちょう祭り」に出かけてきました。
このイベントは今年で3回目、NPO法人『街ing本郷』が中心となり近隣の商店会と合同で開催しているものです。

本郷商店会では北海道の釧路市や周辺の町とタイアップして日頃からさまざまな商品を紹介していますが、このイベントでは生産者が直接販売するため、会場は百貨店で開催される「北海道物産展」のような雰囲気になります。

さらに今年は、その半生を文京区で過ごした森鴎外の生誕150年にあたるため、「文人ゆかりの郷」として本郷を中心にさまざまなイベントが開催されていて、今回の本郷いちょう祭りでも『第1回全国文人フェスタ 文人ゆかりの郷から名産品大集合』というテーマで、森鴎外や石川啄木ゆかりの津和野町・盛岡の物産品が多数紹介されていました。

Photoこのようなイベントに行くと、なぜか財布の紐がゆるくなるから不思議です。
つい北海道白糠町のツブ貝漬けやごぼう茶、釧路町の焼きツブ貝、標茶町の「星空の黒牛ステーキ串」など、いろいろと買い込んでしまいました。

地元の方から商品にまつわるさまざまな特徴や工夫、さらには歴史的背景などを聞いていると、商品だけではなく商品誕生にまつわるストーリーにも価値を感じ、「買って帰って、家族と聞いた話をしながら食べたい、楽しみたい」と思うようになります。
私はそのような思い(価値)に対してお金を出しているのだろうなと改めて感じました。

10月11日(木)の日本経済新聞には「快走コンビニに陰り スーパー値下げも効果薄く 消費の変調にじむ」という見出しで、今年度上期に好調だった個人消費が下期に入り停滞しているという記事が掲載されていました。

また、その記事の中には「消費者動かす『革新』を」という小見出しで、好調を維持しているテーマパークの新規アトラクションへの積極投資を事例に、消費を動かすためにはいかに新しい価値を提供することが必要であるかが書かれていました。


確かにその通りですね。
もう「価格」だけでは消費を喚起できないステージになっていることは多くの人が気づいています。

これからは、お客が自分でも気づいていない価値(思い)を企業側が把握し、その価値を満たす創意工夫ができるかどうかで、企業間格差・個店格差がつく時代なのだと思います。

2012-10-21

常に新しい商品やサービス、文化が生まれる「秋葉原」

今日は久しぶりに秋葉原(東京・千代田)に出かけてきました。
しかし、秋葉原の電気街に買い物などの用事があったわけではありません。私が所属しているフランチャイズ研究会の分科会ミーティングがJR秋葉原駅近くで開催されたため、昼食に駅周辺に繰り出したのです。

そこで、5月のミーティング開催時に食べた「あきばカレーへ行こう」ということになったのですが、「あきばカレー」の店はすでになくラーメン屋に変っていました。

「なんだ、せっかくカレーと決めていたのに!」と思っていたところ、メンバーの1人が「駅ビルに東京の老舗有名店のカレーが色々と食べられるユニークな店がある」というので、さっそく行ってみました。

Photo 写真は私が食べた「大正13年の創業以来、変らぬ味と品質を守り続けている日本で唯一のスマトラカレー」を提供していると紹介されていた『共栄堂』(神田神保町)のスマトラポークカレーと、名店会オリジナルチキンカリー「エチオピア」の2点盛(1090円)です。

この他にも、『デリー』『トプカ』『京橋ドンピエール』『エチオピア』『プティフ』など、有名老舗のカレーが単品や組み合わせで食べることができるようになっていました。どのような運営方法でさまざまな店の商品を出しているのだろうと思い調べたところ、運営母体の『東京カレー屋名店会』のホームページには次のように紹介されていました。

2001年にオープンしたが、横濱カレーミュージアムが今年2007年3月に閉館した。東京カレー屋名店会の5店の中には複数のお店が横浜カレーミュージアムに出店していた。せっかくのカレーのテーマパークだったのにと多くのカレーファンには惜しまれてはいるが、そんなカレーファンにこたえるように「東京カレー屋名店会」は自らが立ち上がり、しのぎを削るライバルが結束し、ユニットとしてのイベント活動からスタート

なるほど、始まりは横浜カレーミュージアムだったのですね。
秋葉原に来るたびに思うのですが、秋葉原は常に新しいモノを取り入れ、そこからまた新しいモノやサービス、文化を生み出し続けています。

最近では電気街としてよりも「オタク文化」の発信地として有名になっていますが、それ以外にも新しいサービスや文化に触れることも多く、特に若者の嗜好や価値観を理解する上で、ときどき出かけてウォッチングする必要がある街だなということを改めて感じました。

2012-10-14

立川談春の落語に学ぶ「話し方」と「場の作り方」

いままで落語を聴きに出かけるというと、もっぱら上野にある「鈴本演芸場」(東京都台東区)でしたが、先週は友人に誘われて初めて独演会に出かけてきました。それも、いま最もチケットが取れない落語家のひとりと言われている立川談春の独演会です。

Photo 開催地の戸田市(埼玉県)は立川談春の出身地ということもあり、高校生時代の話を中心にした「マクラ」がとても長かった。だいたい、40分ぐらい話していたのではないでしょうか。「マクラ」は本来、噺への軽い助走として語られるものですが、これだけ長いマクラを聞いたのは初めてでした。しかし、地元客を中心とした会場の1,200人を飽きさせることのないマクラでとにかく面白かった!

また、ひとつ目の噺である「粗忽の使者」も談春がハジケタ面白さを発揮するにはピッタリのネタで、思わず大きな声で笑いが出るくらい楽しめました。さらに、ふたつ目の「白井権八」は笑いはありませんでしたが、立川談志の講釈ネタの美学を受け継ぐ唯一の弟子といわれる談春だけに、ぐいぐいと引き込まれるものがありました。


一般的に、落語では事前に演目が発表されません。
その理由としては、会場の客層を見て演目を決めるからだとか、前出の演者の噺によって変える必要があるとか、さまざまなことが言われていますが、聴きに来たお客に満足してもらえるように臨機応変に噺を選んでいるのだと思います。

私のようにセミナーや研修を生業としている者としては、落語家の話し方や客層に応じた「場の雰囲気」の作り方には学ぶべきものがたくさんあります。

先日も、ある製薬会社から依頼を受けている薬局・薬店の経営者向けセミナーに出かけたところ、その会場は他県の会場とは異なり参加者の8割以上が従業員の方でした。そこで急遽、セミナーの一部内容と運営方法を変更して、参加者と主催社の双方に満足をしていただくことができました。

今後も、落語は落語として楽しみながらも、お客を惹きつける話術や運営法などをしっかりと学ばせてもらおうと思います。

2012-10-07

家庭の食卓に登場する「駅弁」の脅威?!

Photoいまのような仕事をするようになってから東北新幹線と東海道新幹線を利用する機会が増えたため、東京駅に行くことが多くなりました。東京駅はここ10年ぐらいさまざまな変化を見せていましたが、10月1日に復元工事を終了して創建時の姿を見せてくれました。

その東京駅の中でも特に目を引いたのが丸の内南口ドームの内部です。ここ数年はいつ通っても工事中でシートに覆われている印象しかなかったため、復元された荘厳で重厚なルネッサンス様式の明るいドームは印象的でした。

Photo_2 しかし、私がより関心を持ったのは、JR中央口・セントラルストリートにオープンした「駅弁屋祭」です。ここでは常時150種類以上の弁当を販売しており、期間限定・入れ替わり制で実演販売も行なっています。私が行った時にはとても美味しそうな『飛騨牛ちらし寿司』が実演販売されていて、次から次へと売れていました。

Photo_3 また、なんと言ってもすごいのが弁当のサンプルディスプレイです。
料理メニューのサンプルは飲食店では当たり前ですが、これだけ多くの駅弁サンプルを一箇所に集めているのを見たことがありません。思わず、「おっ、これは美味しそうだな。でも、こちらも食べてみたいな」と迷ってしまいます。

買い物をしている人をよく観察してみると、通常の駅弁売場と客層や買い方が異なることに気づきました。

通常、駅弁を買っている人はこれから新幹線に乗る男性が多いのですが、ここでは中高年の女性が目立ちます。それも、1人1個ではなく2~4個買っている人が多いのです。おそらく、この人たちは仕事帰りや買い物のついでに家族の夕食のために駅弁を買っているのだと思います。

「駅弁」はいまや電車の中で食べるだけのものではなく、家庭の食卓にも登場するようになっているようです。しかし、このような駅弁の買われ方が増えてくると、デパ地下やスーパー、さらにはコンビニや弁当(惣菜)専門店にとっては新たな競合の誕生となり、ますます厳しい時代の到来となりそうです。

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