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2013-06-30

カットフルーツに見たコンビニの商品開発力と優位性

Photo スーパーの店頭にスイカが並ぶ季節になると、「甘くておいしい尾花沢スイカはいかがですか~!」と道行く人に声をかけていたミニスーパーでのアルバイト時代を思い出します。

私が学生の頃は、お客様の多くが丸ごと1個のスイカを購入していました。そして、おいしそうに食べている家族の様子を思い浮かべながら、誰もがうれしそうに重いスイカを持ち帰っていました。

しかし、最近では家族の人数が少なくて食べきれない、値段が高くなった、食べたあとの皮を捨てるのが面倒などの理由で丸ごと1個のスイカは売れなくなっています。
最近売れているのはカットしたスイカです。それも、大玉を8分の1や4分の1にカットしたものではありません。一口サイズに小さくカットして透明のカップに入れた、1つ200円から300円の商品です。

この商品を主に購入しているのはお年寄りや単身者のようです。
カップに入ったカットスイカであれば1人で1回に食べ切れる量です。また、1回当たりの購入費は少なくて済み、カップと種以外にはゴミも出ないので多少割高でも売れているのでしょう。

同様に、いまコンビニでもカップに入ったカットフルーツ類がよく売れています。
Photo_2 そのコンビニのカットフルーツの中でも最近私が気になったのはセブン・プレミアムの『皮むきりんご』(118円)と『パイナップル』(148円)です。

りんごは3カット、パイナップルは一口サイズが6カット程度しか入っていませんが、ちょっと食べたい時にはちょうどいい量と価格です。まだ2アイテムだけですが、多くの店では2~3フェイス陳列して在庫量もしっかり持っているので売れているのだと思います。

この「在庫量をしっかり持てる」というところに、スーパーとは異なるフランチャイズというコンビニ独特の事情があると私は考えています。なぜなら、この商品は加工日から消費期限までが6日間もあるため、店で欠品しないようにしっかりと在庫を持っても廃棄ロスが出にくい商品として開発されているからです。

このような点まで配慮した商品開発力はコンビニの競争優位性となり、今後ますます食品スーパーの脅威になるのではないかと思います。

2013-06-23

「すぐ分かるコーチングハンドブック」のお知らせ:第2弾

先週お知らせした『すぐ分かるコーチングハンドブック』が6月22日に発売となり、アマゾンや楽天ブックスなどのインターネットサイトで購入できるようになりました。

書店でも販売されているかと思い、お茶の水(東京・千代田区)にある丸善や神田の三省堂に行ってみましたが、売場にはまだ陳列されていませんでした。書店での販売は24日(月)からになりそうです。


コーチング関連書としては4冊目となる『すぐ分かるコーチングハンドブック』ですが、今回はいままでの本とは大きく異なる特徴があります。それは、「DiSC」という行動特性分析ツールの活用について詳しく書いているところです。


Photo 企業研修等でコーチングを学んだにも関わらず、職場でうまく活用できない原因のひとつとして、自分と相手の行動特性の「違い」を挙げることができます。一般的に私たちは、自分と同じような考え方や行動パターンを持った人とはコミュニケーションが取りやすいのですが、異なる人に対しては「どうしてそんな風に考えるのかな?」「なんでそんな行動をするのかな?」と疑問を持ちます。

この疑問がコーチングの妨げとなります。
そこで、その行動特性の「違い」を『間違い』とせず、『違い』として受けとめるために、本書では「DiSC」という行動特性分析ツールの活用について詳しく解説しています。

また、「最も優秀な店長(管理職者)とは、自分の行動特性の強弱度を理解し、店の現状や目標の進捗状況、または関わる必要がある従業員の行動特性に応じて自分の行動特性の強弱度を調整できる人である」という考え方のもとに、4つの行動特性別の育て方や強め方なども書いています。

なお執筆にあたっては、日本における「DiSC」の総販売代理権を所有しているHRD㈱の監修を受けています。

2013-06-16

『すぐ分かるコーチングハンドブック』が発売になります!

今月下旬に、私としては3冊目のコーチング関連本となる『すぐ分かるコーチングハンドブック』を上梓することになりました。

今回は「読みやすい」「わかりやすい」「行動しやすい」をテーマに、1冊目・2冊目の共著者である伊藤敦子に文章校正のサポートを受けながら書き上げました。

Photo この「コーチングハンドブック」は、スーパーやコンビニ業界など、チェーンビジネスを営んでいる数多くの企業で実施したコーチング研修やモデル店作りなどの経験から、販売業の現場に不可欠なコーチングスキルとマインドを体系的にまとめたものです。

第1部では、コーチングの意味、自分と他者の“違い"を行動特性で理解する「DiSC理論」、コーチング基本スキルである「聞く」「ほめる・認める」「問いかける」とその活用法を解説しています。

第2部では、販売の現場でコーチングが必要とされる場面を想定し、効果的な会話の進め方を紹介しながらコーチングスキルの活用ポイントを解説しています。会話に出てくる登場人物にはそれぞれ「D」「i」「S」「C」4つの行動特性を持たせ、「DiSC理論」への関心も高まる内容になっています。

第3部では、コーチング活用がより促進されるように、職場で活用し始めた人の多くがぶつかる悩みに関する「Q&A」を掲載しています。

本書は、現場ですぐ役立つようにテーマを細分化して一項目ずつ読み切りスタイルになっています。日々の業務の中でコーチングの活用に迷った時、該当する項目を開いて、現場の状況と相手に応じて最も適したコーチングのあり方を再確認する“ハンドブック"として活用していただければ幸いです。

なお『すぐ分かるコーチングハンドブック』はアマゾンの書籍販売サイトで紹介されています!
(画面の右上、石川和夫の本:表紙をクリックしてみてください)

2013-06-09

“第3の空間”として利用される『コメダ珈琲』に学ぶ

毎年この時期にマネージャー研修をやらせていただいている企業が名古屋市中区にあります。
研修会場の最寄り駅である大須観音駅(地下鉄鶴舞線)から上中津駅(地下鉄名城線)の間を歩くたびに、名古屋の商店街は独特の商業文化を持っているなと感じます。

何が独特かというと、まずアーケード街の多さです。
中区にある大須観音駅と上中津駅間は徒歩で15分程度かかりますが、その間にある商店街のほとんどがアーケードで覆われていて雨の日でも傘を差すことなく快適に買い物ができます。特に、道幅が狭く個人商店が多いところでもアーケードが設置され街全体がアーケードで覆われている印象を与えるのが名古屋の特徴だと思います。

またそのアーケード街に全国出店しているカフェチェーンではなく昔ながらの喫茶店が多いのも名古屋の特徴です。

Photo 写真の左側に写っているのは私が名古屋に行くたび入っている喫茶店です。
平日の昼時にもかかわらず店内は大学生や買い物途中のご年配など4~8人程度のグループ、ベビーカーを押したママ友3人組さまざまなお客でにぎわっていました。

なぜ、名古屋の喫茶店が多いのか?
その理由を地元の人に尋ねると、「名古屋では昔から友人やお客様が来た時に、自宅ではなく近所の喫茶店でもてなすことが多いからではないか」と教えてくれました。つまり、お茶の間代わりに喫茶店を使う人が多いため、狭い商圏でも需要があり数が増えたのではないかというのです。

なるほど、だから個人経営の喫茶店がいまでもやっていけているのですね。

その喫茶文化で競争厳しい名古屋からスタートし、店(空間)作りとサービスのコンセプトが支持され全国にフランチャイズ店を展開しているのが『コメダ珈琲』です。

競争が厳しい名古屋で生まれたコメダ珈琲は、来店されたお客さま一人ひとりにリピーターになっていただくことに力を注ぎました。その結果として、仕事前のモーニング客、ゆっくりと朝食を食べたい年配のご夫婦、商談に利用する営業マン、ママ友グループの集まり、学校帰りに宿題や読書をする学生や仕事帰りにくつろぐ女性同士など朝から夜までさまざまな利用の仕方をする老若男女の客に、学校・職場や自宅でもない“第3の空間”として利用されています。

最近ではコンビニでもコーヒーの販売に力を入れていますが、商品そのものだけではなくコーヒーを軸に“第3の空間”を提供するというコメダ珈琲のコンセプトは、他の販売業にも参考になるのではないでしょうか。

2013-06-02

職場の「お兄さん・お姉さん」とDiSCとの関係

新入社員が入社してから約2ヶ月、それぞれが店舗や部署に配属された頃かと思います。これからは研修と異なり仕事も人間関係も実戦になるため、新入社員はさまざまな不安や恐れを抱えながら仕事をしなければいけません。

しかし、大きな不安や恐れを抱えたまま仕事をしていると、新入社員の多くは本来持っている力を発揮することができません。また、自分の存在そのものや能力を否定的に捉えて退職するケースもあります。


そこで「メンター制度」を作り、新入社員の早期退職を防ごうとしている企業があります。しかし、最近では下記アンケート結果のように新入社員のニーズが大きく変化しています。そのため、メンタル面から新人をサポートする仕組みを作る企業が増えているという記事が「職場に『お兄さん・お姉さん』」というタイトルで日本経済新聞(2013.4.22)に掲載されていました。

■新入社員が上司・先輩に期待すること
「頻繁にコミュニケーションを取ってくれる」 50.1%
「チャレンジする機会・場を与えてくれる」 42.0%
「仕事について事細かに教えてくれる」 31.7%
「困った時は助けてくれる」 29.9%
「自分で考えるように仕向けてくれる」 14.6%
「良い点をほめてくれる」 13.7%
「厳しく指導してくれる」 9.0%
「プライベートな相談にも乗ってくれる」 3.9%
※日本能率協会調べ。2013年4月入社の新入社員1002人が回答(2つまで選択)

また、記事の最後には次のようなまとめがありました。

制度をうまく機能させるにはマッチングが問われる。「まずは新入社員とお兄さん・お姉さんをうまくマッチングする。人事が経過をフォローし、頑張ったお兄さん・お姉さんにはきちんと報いることが大切」(村橋健司・日本能率協会経営・人材センター長)。手間暇かかるが、人間関係が希薄になりがちな大企業ほど必要な制度だ。

「お兄さん・お姉さん」と新入社員のマッチングはとても重要であり、このマッチングに必要不可欠な知識とスキルが「DiSC」です。私はいま、コーチングの効果性を高めることを目的に企業研修で「DiSC」を活用していますが、今後は新入社員と「職場のお兄さん・お姉さん」とのマッチングにも活用範囲を広げていきたいと思います。

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