« 2013年9月 | トップページ | 2013年11月 »

2013-10-27

コンビニ各社が酒類販売に力を入れ始めた理由は?

昨日、コーチング研修で埼玉県蕨市に出かけた際、駅から会場へ向かう途中にあるコンビニに寄ったのですが、店内を見て驚きました。なんとエンドゴンドラ1本が全て日本酒になっているのです。それも上から3段が全てワンカップで単にフェイスを広げているだけではなく、廉価なお徳用カップから地方色豊かな純米酒カップまで20種類以上の商品を揃えていました。

このような品揃えをしているコンビニを見たのは、セブンイレブンの1号店である豊洲店(東京都・江東区)以来です。豊洲店は酒のゴンドラを7本も取っていて、特に焼酎の品揃えは圧巻です。いも、米、麦、蕎麦などをバランス良く多品種・サイズ別に揃えているほか、最上段には化粧箱に入った1本2,000円~7,000円台のプレミアム焼酎がずらりと並び、とてもコンビニの品揃えとは思えません。

本部推奨の商品だけでは品揃えできないのでオーナーか店長が独自に仕入れているのだと思いますが、その力の入れようには頭がさがります。

今まで、コンビニ本部は酒の品揃えにあまり力を入れてきませんでした。
というのも、酒の販売には酒類免許が必要であり、その免許はオーナーが持っています。そのため、酒の品揃えはオーナーの裁量に任されている部分が大きかったのです。

11 しかし、最近ではコンビニ各社が酒類販売に力を入れ始めています。
10月24日発売のコンビニ業界専門誌『月刊コンビニ』では、「お酒が主役!」というタイトルで酒類の品揃えによる客単価アップ特集を組んでいました。

いまコンビニ各社は総菜類の販売に力を入れています。そのため、酒類とつまみとしての総菜の組み合わせ提案は客単価アップに結びつけやすいのでしょう。また、おでんやフライドチキンなどカウンターフーズとの組み合わせ提案もできるので利益率アップも期待できます。

セブンイレブンはワインやプレミアムビールに、ナチュラルローソンはワインに、ファミリーマートはカクテルにと、チェーンごとの品揃え拡充策はさまざまですが、これから本部主導で各チェーンの品揃えがどのように変化していくのか定期的に観察していきたいと思います。

2013-10-20

もうひと工夫の“情報提供”で商品価値を高めよう!

「運動の秋、読書の秋、食欲の秋、あなたの秋はどれですか?」
と聞かれたら、やはり「食欲の秋」でしょうか。
ブログのテーマが3週続いて秋の味覚になっていることを見れば、改めて言わなくても誰にでもすぐ分かってしまいますね。

Photo つい先日も昼食をどうしようかと思案していたところ、美味しそうなフランスパンの写真を雑誌で見かけ、無性に「フランスパンサンド」が食べたくなりました。さっそくいつも買い物をしている近くのデパ地下に出かけましたが、結局同じフロアに入っているパン屋でサンドイッチセット(写真)を買ってしまいました。

目的のパンではなくサンドイッチセットを買ってしまった理由は、なんと言っても「秋」をたっぷりと感じることができる商品だったからです。
Photo_2
商品名は「プティ・ボヌール秋」(ドンク)

秋を感じさせる4種類のサンドイッチが入っており、POPには「秋の味覚を詰め込んだ、4種類の小さな幸せをお楽しみください」というキャッチコピーと共に、次のような商品紹介が書かれていました。

■かぼちゃサラダとリンゴのサンド
  かぼちゃサラダとりんごのやさしい味わいのサンド
■根菜とパストラミビーフのサンド(バルサミコ風味)
  さつまいも、かぼちゃ、にんじんの根菜とパストラミビーフにバルサミコソースが効いたサンド
■豆と豆乳のサラダときのこのサンド
  豆サラダときのこのチャバッタサンド
■マロンクリームのサンド
  マロンクリームをはさんだバタールサンド

季節感たっぷりで秋の味覚を楽しめるサンドイッチで「さすがドンクならではの商品だな」と感心しましたが、ひとつだけ残念なことがありました。

それは、POPにある商品説明が商品自体にないことです。
これでは食べる時に一つひとつの商品特性が分かりません。

商品内容を確認しながら食べたり、誰かと一緒であれば「どれが好き?」などと会話しながら食べることができれば、この商品の価値をより高めることができるのに残念です。


私のように「POPを撮ってもいいですか?」と聞く客は稀でしょう。

POPをコピーした小さなお知らせを商品と一緒に提供して、より美味しさと季節感を感じることのできる“情報”を商品に加えてほしいと思いました。

2013-10-13

秋の味覚「柿」で思い出した“問いかけ”の力

昨日は全国57地点で最高気温が30度以上の真夏日となり、東京でも98年ぶりに観測史上最も遅い真夏日記録が更新されました。今日も全国的に晴れて気温は高めですが、風が涼しく気持ち良いため、暑さの中にも秋の気配を感じることができます。

2013 そんな日曜日の昼、今年初めて柿を食べました。
食べたのは楽天マート(ネット宅配)で買った3個498円の和歌山県産:種なし柿です。まだ出始めのためか値段は少し高めですが、来週のカタログには218円(同条件)で特売が入っていました。また、チラシで「渋柿の渋を抜きました。滑らかな歯ざわりが特徴です」とアピールされていた通り、もとは渋柿だったと思えないくらいおいしい柿でした。

柿を食べると「これから秋が深まっていくんだな」と感じると同時に、2年前に行った食品スーパーの研修を思い出します。

この食品スーパーではコーチング研修を積極的に行っており、学んだことを現場で活用して数値を変化させることを目的にモデル店を作ることになりました。そこで対象になったのが、毎月全社的に取り組む“量販コンテスト商品”です。

農産部門の対象商品は「柿」でした。
まず販売計画を立てるため、店長・副店長と各部門の主任が集まりミーティングを行ったのですが、ベテラン主任は「柿」の販売に対して消極的で、次のように話し始めました。

「当店の周辺の人は柿を買わないんですよ。このあたりの家には柿の木があり、柿は買うものではなくもらうモノなんです。だから、うちの店に不利な商品で取り組んでも成果は期待できないと思います」

この意見に対して「それじゃ仕方ないなあ」と他の参加者はあきらめモードになっていました。
しばらく沈黙が続いた後、ある主任から

「店の周辺には最近マンションが増えていますよね。あのマンションに住んでいる人達は誰からもらうんでしょう?」

という問いかけがあり、この一言でミーティングの流れが大きく変わりました。
その後、ターゲットにする客を昔から住んでいる人ではなく、ここ数年で店の周辺に住み始めた比較的若い世代に変更しました。また、柿の種類と特徴をより明確に告知したり、食べ比べの試食を出したりするなど、参加者から新たな取り組みアイデアが次々と出てきました。

結果、量販コンテストではチェーンの中でもトップクラスに入ることができました。

同じ部門の担当者として長く働いていると、「先入観」や「固定概念」に囚われ、商圏環境や顧客ニーズの変化が見えなくなることはよくあるものです。

このような時にこそ、他部門の視点や発想から生まれた“問いかけ”が必要であり、その問いかけが”新たな需要の創造”につながるのだと思います。

2013-10-06

「価値」が伝わらなければ、買ってもらえない!

Photo 朝夕の風に冷気を感じるこの季節になると「さんまの塩焼」が恋しくなります。また、脂の乗ったおいしいさんまの塩焼きを食べると『目黒のさんま』(落語)を思い出し、話に登場する殿様にも食べさせてあげたくなります。

つい先日、上野松坂屋百貨店(東京・台東区)の鮮魚売場を通ったところ、一尾(1パック)1,680円で売られているさんまがありました。黄色い口先と澄んだ目、大きな身と背の厚さを見ればいかに新鮮で脂が乗っているかはよく分かります。しかし、いくら何でもこの値段は高すぎでしょう!

この高額さんま、『大黒さんま』という黄色のシールが貼られてはいたものの、それ以外の販促物は見当たらず、「なぜ、この値段なのか」が分かりません。私と同様に感じる人が多いためか、閉店近い時間であるにも関わらず数多く残っていました。

なぜ、このような値段になるのか、
9月30日(月)の日経MJ:「バイヤー調査 ヒット分析」の特集“ブランド水産品”を見て分かりました。

この特集は、特定の地域でしか水揚げされない希少性と味を売りにしている主要30ブランド品を対象にした調査で、「味」「品質(鮮度・見た目)」「ブランド力」「認知度」「安全性の高さ」など16項目で評価しています。

1位「大間まぐろ」:398点
2位「氷見ぶり」:357点
3位「広島かき」:346点
4位「三陸わかめ」:323点
5位「沖縄もずく」:316点
6位「関あじ」:313点
6位「関さば」:313点
8位「下関ふぐ」:304点
9位「越前がに」:301点
10位「宍道湖しじみ」:290点
11位「大黒さんま」:288点

青森県の高級マグロ『大間のまぐろ』が1位なのは納得です。また、1位から10位までは私も知っているブランドが並んでいますが、11位の『大黒さんま』は知りませんでした。
また、この「大黒さんま」、総合評価は11位ですが、「品質(鮮度・見た目)」の項目では、何と1位なのです!

北海道厚岸町で水揚げされ、厳しく鮮度管理されることで知られているそうで、バイヤーが「仕入れたいブランド」でも首位に立っていました。

しかし、それだけ素晴らしい商品でも、その価値が消費者に伝わらなければ意味がありません。
売場担当者やバイヤーには、改めて伝えるための創意・工夫をしてほしいと思いました。

« 2013年9月 | トップページ | 2013年11月 »