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2014-03-30

近畿大学の入学式に学ぶ、入社式のあり方

あなたは、「近畿大学」と聞いて何をイメージしますか?
 
私は、真っ先に「マグロ」をイメージします。
 
当ブログでも以前、「『大学は美味しい‼』フェアが大盛況」というタイトルで近畿大学水産研究所の「近大マグロ」を紹介したことがあります。また、昨年の12月には同研究所で養殖したマグロ類を専門に扱った飲食店『近畿大学水産研究所』が銀座(東京:中央区)にオープンし、4月末まで予約が取れないほど人気になっています。
 
いま、その近畿大学の「ド派手入学式」が大学関係者の間で話題になっています。
過去には有名OB歌手のステージ、テレビ局とのタイアップ、ダンスやよさこいのパフォーマンス、大阪名物「くいだおれ太郎」の登場などがありました。今年は同校の卒業生である大物音楽プロデューサーが企画を担当し、例年以上にド派手な入学式を行い、新入生の学生生活に対するモチベーションを高めようとしています。
 
Photo なぜ、近畿大学がこのような入学式をするようになったのか。そのいきさつが3月24日(月)の日本経済新聞に、 「近畿大、ド派手入学式 『不本意新入生』に愛校心」という見出しで次のように書かれていました。

近畿大学では2004年、当時の理事長が「前例踏襲型の入学式を全面的に見直し、若手職員のみで組織され、かつ上層部の干渉を受けないプロジェクトチームが企画運営を行い、新入生にとって一生忘れられない入学式を挙行せよ」というミッションを出した。これには、本学が抱える「不本意入学者」問題を解決する目的があった。本学だけではない。現在の入試制度では、東京大や京都大など一部の国立大学を除くすべての大学に、第1志望を不合格になり、もしくは受験自体を断念してその大学に入学した「不本意入学者」が一定数存在する。昨年のアンケートでは、3割を超える新入生が不本意ながら近畿大学に入学していた。こうした学生は学生生活へのモチベーションが上がらず、留年や退学になるケースもあることが、過去の追跡調査で判明している。
 
このような現象は大学だけではなく企業にもあります。
小売業や飲食・サービス業は学生から第2・第3志望の業種として位置づけられていることが多く、「不本意新入社員」は近畿大学と同様の割合で存在するのではないでしょうか。また、地方の食品スーパーの人事担当者に聞いたところによると、「本当は金融やメーカーに就職したかったが、地元に戻って働くために仕方なく食品スーパーを選んだ」というケースもあったそうです。地方の食品スーパーの「不本意新入社員」の割合は大学以上になるかも知れないと言います。
 
来週の4月1日には多くの企業で入社式が行われることでしょう。
あなたの会社は年々変化する新入社員の心情やニーズを捉え、入社式を最初で最大の新入社員の会社・仕事に対するモチベーションアップの機会として活用しているでしょうか。

それとも、従来通りの形式的な年間行事のひとつとして実施し、「不本意新入社員」のモチベ―ションを上げることができないまま入社させてしまっているのでしょうか。
 
近畿大学の取り組みを事例に、自社の入社式のあり方を改めて確認をしていただければと思います。

2014-03-23

「消費税増税」の対応で分かる企業の経営姿勢

昨日、池袋(東京・豊島区)のビックカメラに出かけたところ、消費税アップ前の駆け込み需要のためか買い物客が多く、売り場は正月の初売り時のような混雑ぶりでした。
 
この機会を逃さず売上に結びつけようとする従業員の積極的な接客姿勢も加わり、特に家電とパソコンの売り場は熱気に包まれていました。そのおかげで、一か月ほど前から狙っていたノートパソコンを大幅に値引きしてもらうことができ、予算よりかなり安い金額で買えました。
 
Photoまた、販売員が4月になっても同様の条件で値引き交渉に応じることや消費税アップ分については値上げをしない(またはポイントアップで対応)など詳しく説明してくれたことも安心感につながり、大変満足して帰ってきました。
 
ところが、夜に宅配ピザの注文をした時はその逆で、消費税増税の対応で大変不愉快な思いをしました。
 
我が家でいつも注文しているピザのLサイズは3,315円(税込み)なのですが、受付の女性から告げられた価格は3,590円。
 
その時は疑問に思わず電話を切りました。
しかし、お金を用意しながら「あれ、いつもより高いな? もしかしたら、新人のような慣れない受付だったので間違えたのかも知れないな」と思い、一応電話で確認する前にメニューチラシを見て驚きました。
 
なんと、3月17日から有効の新しいチラシでは価格が変わっていたのです。
 
しかし、そのチラシにはどこにも価格改訂のことは書かれていません。前回の配達時にチラシを持ってきたスタッフから説明や価格改訂のお知らせなどもありませんでした。
 
円安などの影響でピザの原料となる食材が値上がりしていることは理解しているつもりですが、このタイミングでお知らせもなく値上げでは、消費税増税に伴う便乗値上げと思われても仕方ないでしょう。
 
長年、この宅配ピザチェーンのファンであった顧客の一人として、今回の対応には大変残念な思いをしました。また、一消費者として消費税増税への対応が顧客との信頼関係という点でいかに大切かを体験しました。
 

2014-03-16

「賃上げ」:大手と中小企業、小規模企業との違い

先週は新聞やテレビのニュース番組で毎日のように「ベア」という言葉を聞きました。「ベア」と聞くと、鉄道やバスのストライキを思い浮かべるのは何歳ぐらいからでしょうか。

私が学生の頃、この季節になると毎年「労使、徹夜で100円玉の攻防!」などという見出しが新聞の誌面を飾ったものです。ベア(ベースアップ)に対する交渉が決裂してストに突入すると、電車やバスが動かなくなり授業が休講になるということが頻繁にありました。

今年の春季労働交渉では組合のベースアップ要求に応えた大手企業が多く、その業種もメーカーだけではなく流通・外食産業など広範囲になっています。

■トヨタ自動車:2700円
■日産自動車:3500円
◆日立製作所:2000円
◆パナソニック:2000円
●NTT:1600円
◎イトーヨーカ堂:2031円
◎ライフコーポレーション:2000円
○コロワイド:5000円
○ゼンショーHD:3500円


久しぶりのベースアップに景気回復の明るさを感じることができる反面、「中小企業はやむを得ず賃上げに踏み切っているところが多い」という実態を理解しておくことが必要です。
3月12日(水)の日本経済新聞には『賃上げ、中小にも拡大』という見出しで、次のような記事が掲載されていました。

働く人の7割を雇っている中小企業で賃上げの動きが広がってきた。全国8200社の賃上げ動向を集計した民間調査で、2014年度に賃金を上げる企業は47.6%となり、07年度以降で最高となった。基本給を上げるベースアップ(ベア)実施企業も3割を越す。ただ、賃上げ理由は「人材確保」が「業績回復」を大幅に上回っており、人手不足が賃上げを促す構図だ。

また、さらに厳しい状況に追い込まれるのは従業員20人以下の小規模企業でしょう。その代表格として上げられるのがコンビニエンスストアを経営している加盟店です。

◎セブンイレブン:2031円(セブン&アイ)
◎ローソン:5000円
◎ファミリーマート:5000円


このようにコンビニ本部は店舗数拡大と業績回復によって、本部従業員のベースアップを行っています。しかし加盟店では他チェーンの競合出店だけではなく自社競合による売上低下、やむをえない複数店経営による人件費負担で賃上げどころではないのが現状です。

このような状況になると、「共存共栄」というフランチャイズの基本理念が崩れるばかりか、加盟店のモチベーションを大きく下げることにもなります。この点を考慮し、本部従業員のベースアップを実施する企業には、同時に加盟店支援策も打ち出して欲しいものです。

2014-03-09

第30回:フランチャイズ・ショー2014に参加してきました

今年も3月5日(水)・6日(木)・7日(金)の3日間、東京国際展示場「ビッグサイト」で開催された“第30回フランチャイズ・ショー2014”に参加してきました。

Fc2014_2 私が参加した目的は、東京都中小企業診断士協会・フランチャイズ研究会が毎年出展しているブースで相談員をするためと、今年で7回目になる加盟希望者向けセミナー「独立開業の成功を左右するパート・アルバイトの『採用』と『戦力化』のポイント」の講師を務めるためです。

今年はフードサービス業42社、サービス業72社、小売業26社、ビジネスパートナー募集(フランチャイズ以外)33社、フランチャイズ支援ビジネス&店舗開発&立地戦略11社、コンサルティング・相談&出版&海外関連16社と、私が知っている限りでは過去最大規模の出展社数でした。

フードサービス業の今年の特徴は銀座ルノアールの「ミヤマ珈琲」、スイートスタイルの「元町珈琲」、J・ART産業の「さかい珈琲」などカフェの出展が6社と目立ったことです。昨年からセブンイレブンを中心にコンビニでコーヒーがヒットし、レギュラーコーヒーの需要が伸びていることも関係しているのかも知れません。

サービス業では癒しの手の「やすらぎ処 ほぐしの手」、HCCの「全身ほぐし整処ゆるり」、ファクトリージャパングループの「カラダファクトリー」などのリラクゼーションマッサージ系が4社、さらには鍼灸整骨院のアトラなどもあり、マッサージ用のベッドを持ち込んで自社のサービスを体験してもらっているブースが賑わっていました。

小売業ではコンビニ大手4社が揃い踏みで、今回は珍しく「コミュニティ・ストア」を展開する国分グローサーズチェーンもビジネスパートナー募集をしていました。最大手のセブンイレブンは会場正面入り口の最も良い場所に陣取っていて、他の3社は少し奥のコーナーに3社が対面する形で出展していました。セブンイレブンは今年度も1600店舗以上の出店を計画、他のチェーンとの差をさらに広げようとしていますが、会場の立地取りにもその意気込みが表れているようです。

しかし、出展社数が最大規模であったにも関わらず、来場者数は前年よりも少ない結果となりました。
3月5日(水) 11,482人(11,077人)
3月6日(木) 10,712人(11,528人)
3月7日(金)  9,746人(10,437人)
    《合計》 31,940人(33,042人)
     ※主催者発表数値、( )内は昨年

前年比96.7%と来場者が少なかった原因は天候などさまざまな要因が考えられますが、このフランチャイズ・ショー以外にもマイナビやフランチャイズ比較.NETなど、他社が開催するフランチャイズビジネスを紹介するイベントの開催回数や地域が増えたことも一因ではないかと思います。

開催が増えているということは、「フランチャイズビジネスが求められる」ということでもあると思いますので、これからもフランチャイズビジネスに加盟しようとしている方がしっかりと情報と判断力を持ち、加盟する本部を選択できるようにサポートしていきたいと思います。

2014-03-02

「カット野菜」の新しい食べ方で需要喚起!

先日、顧問先のコンビニを訪問したところ、一人の男性スタッフが事務所で昼食休憩を取っていました。何やらビニール袋に割り箸を差し入れながら食べているので、何を食べているのだろうと覗いたところ、なんとカット野菜を食べていました。それも、カット野菜の袋に惣菜パックのひじき煮も入れて混ぜながら食べているのです。
 
「面白い食べ方をしてるね」と声をかけたところ、
「これだとカップの野菜サラダの半分の値段で済むし、ひじき煮も入れているので栄養もしっかり取れていいんですよ!」と得意げに説明してくれました。
 
Photo いまコンビニのカット野菜は分量が手ごろな上、洗わなくても袋から出してすぐに食べられるため、年配のご夫婦や単身で生活をしている人を中心に夕方から夜にかけて売れています。また、先週は大雪の影響で葉物野菜の産地が被害を受け、キャベツやレタスなどの価格が高騰したこともあり、コンビニのカット野菜に対するニーズはより高まっています。

先に紹介した男性スタッフのような食べ方は特別として、カット野菜が夕方から夜だけではなく昼食時にも売れているという記事が2月19日(水)の日本経済新聞に「カット野菜昼食ヒット」という見出しで掲載されていました。

セブン-イレブン・ジャパンはカット野菜の昼時(午前10時~午後4時)の売上高が前年比1.5倍で推移しており、1日の売り上げの25%を占める。ファミリーマートでは午前11時から午後1時のカット野菜の販売額が1月、前年同月の約2倍。ローソンも昼時の売り上げ構成比が11%と前年より5ポイント高い。使い切のドレッシングとの同時購入が多い。

また、記事の中では2人の女性社員がランチに一袋のカット野菜を紙皿に分けて食べている様子が紹介されていました。

確かに、ランチのサイドメニューとして女性ひとりで一袋を食べるのは多いかも知れません。しかし、2人で分ければちょうど良い量になる上、カット野菜・ドレッシング・紙皿代を合計しても一人当たり100円以下で済んで大変お得です。
 
「健康意識と節約志向の両方を持ち合わせる消費者の知恵と工夫は素晴らしいものがあるな」と思うと同時に、このようなニーズをいち早くキャッチすることができれば、消費税増税をカバーするぐらいの売上アップは可能なのではないかと、改めて新たな需要喚起の必要性を感じました。

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