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2014-06-29

「就業地別有効求人倍率」に見る人手不足の地域間格差

ここ数か月、従業員やパート・アルバイトの採用や定着化をテーマにした原稿依頼や講演の仕事が増えてきました。その関係で東北から沖縄までさまざまな地域に足を運んでいますが、ひと口に「人手不足」と言っても、その不足感に対する温度差は地域ごとに異なります。

Photoその温度差を明確に表す数値が、今月から発表されることになった「就業地別有効求人倍率」 (2014年5月)です。

いままで発表されていた「有効求人倍率」は、企業の求人を本社所在地でまとめて集計するため、東京都や大阪府など本社が集まる都市部が実態より高くなる傾向があり、雇用情勢の実態を正確に反映していないと指摘されていました。そこで厚生労働省は、今月から企業のオフィスや店舗など実際に働く地域で集計した「就業地別有効求人倍率」を発表することにしたのです。

確かに、この数値を見ると東京の「就業地別有効求人倍率」は、地域別と比較して0.41ポイントも低くなります。また、逆に東日本大震災からの復興需要による求人増と若者の減少が重なり合っている福島県では、0.22ポイントも高くなり、都道府県別で最も高い倍率になっています。

福島県では外食やコンビニなどのアルバイト時給も上昇傾向にあり、南相馬市内の牛丼店「すき家」では深夜の時給が1,500円にもなっていると、日本経済新聞に掲載されていました。我が家(東京・文京区)の近所の「すき家」でさえ1,288円なのですから、1,500円とは驚きの時給です。

就業地別で最も高い福島県と最も低い沖縄県では、なんと2.4倍の開きがあります。また、富山県・福井県・岐阜県・愛知県・岡山県・香川県などでも、沖縄と比較して2倍以上の開きになっています。

これだけ地域別に有効求人倍率の開きがあると、全国に店舗展開しているチェーン企業ではそれぞれの地域の雇用情勢に合わせた対応が必要になり、「人手不足」問題は今後ますます重要な経営課題になりそうです。

 

2014-06-22

第1回:「スタッフ育成力アップセミナー」を開催しました

Photo先週の6月17日(火)午後に御茶ノ水(東京・千代田区)で、コンビニオーナー・店長向けの「スタッフ育成力アップセミナー」を開催しました。

当日の参加者は、2~4店舗コンビニを経営されている会社の店長さんやベテランパートさんなど、スタッフの育成に直接関わっている方が中心でした。

いま、ファストフードや居酒屋チェーンなどではスタッフが集まらず予定通りの期日に開店できないなど、パート・アルバイト不足は深刻化しています。この傾向はコンビニ業界も同じで、参加していただいた皆さんの表情は真剣そのものでした。

セミナーを受けることで少しでも多くのことを学び、自店のスタッフの採用と定着化、さらには戦力化に結びつけようとする意欲を強く感じることができました。

10428513_764199713632382_2746645613今回は参加者同士の意見や情報交換の時間もこまめに入れたため、セミナーが進むごとに会場の雰囲気が和むと同時に、活気あるものになりました。特に、普段は話すことのできない他店の人と意見交換することで、スタッフ育成上の悩みを共有化したり、他の店長が頑張っている様子などを知ったりすることができたことは、参加者同士の励みや刺激になったようです。

また、DiSC教材を活用して自分の行動特性を理解することが、改めて自分のスタッフ一人ひとりに対する関わり方を見直す良い機会になったという声が多くありました。

つまり、自分のスタッフへの関わり方次第で早期の退職を防いだり、モチベーションを高める職場環境を作ることができる、ということに参加者が気づいたのです

さらに、参加者全員が当セミナーに価値を感じていただき、2回目・3回目の参加を約束してくれました。日々の業務で大変お忙しい中、来月・再来月と午後いっぱいの時間を確保していただくのは大変なことだと思います。

改めて、開催を企画した立場として感謝申し上げます。

参加された方のコンビニ店が採用に困らない店になり、スタッフの成長がより促され、戦力化し、業績がさらに向上するように、引き続き第2回・第3回と「スタッフ育成力アップセミナー」をブラッシュアップしていきたいと思います。

2014-06-15

最近の「母・息子関係」と世代間のギャップ

先週の後半は3日間、久しぶりに仕事で沖縄へ行ってきました。
その仕事とは、いま多くの小売業や外食・サービス業が困っている「パート・アルバイト採用難・定着難時代への対応」を目的に、ある小売業チェーンでセミナーの講師を務めることです。

沖縄はまだ梅雨の時期ですが、私が滞在している間は天候に恵まれ、2日目は沖縄らしい青空も出たので、少しだけ南国気分を味わうことができました。

Photo_2また、私が宿泊したホテルのフロント前には「かりゆしウェア」のレンタルサービスがありました。旅行で訪れた人のために当ホテルが数年前から始めたサービスだそうで、「かりゆしウェア」を着ると身も心も沖縄気分になれるようです。

私が見ている間に5人で旅行に来た年配のおばさま達や、50代と思われる母親と20代半ばの息子が楽しそうに「かりゆしウェア」を選んでいました。

「母と息子の2人組には父親もいるのかな?」と思いましたが、2日目の朝食会場で見かけた時にも2人だけだったので、どうやら2人で旅行に来たようです。私の20代の頃を思い出したら考えられないことですが、今の時代では特別なことではないようです。

5月19日(月)の日経MJには
「母・息子『学びあい』消費」というタイトルで次のような記事が掲載されていました。

「母息子消費」が芽吹きつつある。日経産業地域研究所は高校以上の男子生徒とそうした息子を持つ母親で、最近1年間に母息子の2人で外出した層に調査した。その結果、息子も母も8割前後が「仲良し」を自負し、2013年以降の母息子での国内旅行体験も共に1割を超えた。バブル期の元気な消費で「伝授」する内容の幅を広げた母と、情報機器活用などで「先生」にもなる息子たち。学び合いで新たな市場が開きそうだ。

少し前に母と娘が一緒に買い物をしたり、服を共有する「一卵性」と注目された母娘消費時代がありましたが、いまはさらに進んで母息子消費の時代が到来しているようです。

なるほど、このような消費生活や行動に慣れ親しみ、ユニセックス化した男子学生が新入社員として入社してきた場合、その上司との世代間のギャップはより大きなものになるのは当然です。

しかし、上記のような世の中の変化を情報としてキャッチしていれば、新入社員(男性)の言葉遣いや行動、仕事や人間関係に対する価値観などにも、一定の理解を示すことができるのではないでしょうか。

2014-06-08

「パートさん」、その呼び方を変えませんか?

居酒屋・ファストフード店など外食産業やコンビニ業界ではパート・アルバイトが思うように採用できず、募集時給が高騰しています。

そのため、店舗オペレーションを標準化し、人件費を抑えることで低コスト運営を成長力の源泉にしてきた企業は、これまでの経営戦略を見直す必要に迫られています。

一方で、「働きたい」と思いながらも、勤務条件や仕事の内容に関する情報不足、思い込みなどのミスマッチで働き始めることができていない人たちがいるのも事実です。

Photoそこで、私の知人で、「パート・アルバイト労働総合研究室」代表の赤沼留美子さんが発起人となり、日本で初めてと思われる『パート・アルバイトさん就活&採用応援お見合いフェスタ』が、6月5日(木)に長野県松本市で開催されました。

参加企業数は応募枠を超えた24社、当日の来場者も予想を大きく上回る105名、各企業との就職相談では待ち時間が発生するほどの盛況ぶりだったそうです。

確かに、いままで新卒採用のための就活イベントはたくさん行われていましたが、パート・アルバイト向けの就活イベントというのは聞いたことがありませんでした。今後は、一企業としてだけではなく、地域全体で「パート・アルバイトで働きたい」という潜在需要を掘り起こすことが必要なのかも知れません。

ただ、この「パートさん」という呼び方は変えられないものでしょうか。

厚生労働省の『パートタイム労働法の改正』では、「パート労働者とは、1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者(正社員)の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」とされているので、行政と連携したイベントの際に変更することは難しいでしょう。

しかし、「パート」という呼び方には、どうしても「一部の時間、決められた仕事だけしてもらう人」というイメージがあり、この呼び方では働く人自身もやりがいを感じることができないと同時に、自分の能力が活かされる職場だとは思えないでしょう。

いま、パート・アルバイトのやる気を喚起し、その能力を最大限活用している企業の多くは、「パートナー」「スタッフ」「クルー」など、社員と一体感を持って仕事に関われるような呼び方に変えています。

もちろん、呼び方を変えただけでは不十分ですが、それぞれの企業に合った呼び方を社内で検討することは、パート・アルバイトに対する企業姿勢を見直す良い機会になるはずです。

2014-06-01

聞けない理由はどこにあるのか?

一昨年、阿川佐和子さんの『聞く力』(文藝春秋)がミリオンセラーになって以来、良好な人間関係を作る上で「聞くこと」がいかに大切か、さまざまな場面で注目されています。

では一般的に、人は自分の聞き方について、どのくらい自信を持っているのでしょうか?
朝日新聞が2,419人にアンケート調査した結果(2014年4月19日・朝刊)を見ると、

「聞くことに自信がありますか?」という質問に対して、
『ある』と答えた人は52%、『ない』と答えた人は48%、
『ない』と答えた人の理由は、以下のようになっています(複数回答、7位まで)。

1位:話の腰を折ってしまう・・・440人
2位:すぐ要点をまとめたくなる・・・404人
3位:結論を要求する・・・395人
4位:我慢強くない・・・392人
5位:コミュニケーションべた・・・323人
6位:つい自分が多く話してしまう・・・320人
7位:そもそも他人の愚痴嫌い・・・291人

 

上位の回答を見ると、相手の話を受けとめたり、共感したりすることよりも、相手から話を奪い取り「聞き手」から「話し手」に変わってしまう人が多いようです。これでは話していた相手は安心感を持つことができないばかりか、「話さなければ良かった」と失望感を持つかもしれません。

職業柄、「どうしたら人の話を上手に聞けるようになるでしょう?」という質問を受けることがあります。上手に聞くためには、相づちの打ち方や表情・態度などに注意するなど、聞くスキルを身につけることが大切ですが、これだけでは不十分です。

なぜなら、相手が「話して良かった」と思えるような聞き方をするためには、自分を基準にするのではなく、相手を基準に話を聞くことが必要だからです。

しかし、「相手を基準に聞く」、これが意外と難しいのです。

私たちは会話をする時、自分の経験や価値観などに照らし合わせながら話を聞いています。すると、自分と同様の経験や価値観を持った人の話は比較的うまく聞けますが、そうでない相手の話はじっくりと聞くことができないため、アンケート上位のような言動をしがちです。

この自分と相手とのコミュニケーション上の「違い」を学ぶことができるのが、以前にも紹介した6月17日(火)開催の「スタッフ育成力アップ・セミナー(チラシ・申し込み案内はこちら)」 です。

Photo_3「コンビニ・・・のための」となっていますが、コンビニ業界以外の方も学ぶことのできる内容になっています。

また、全3回ですが「まずは1回目に参加して様子を見たい・・・」ということも可能ですし、3回全て出られなくても、1回目に参加しただけでも大きな成果を得ることができる内容構成になっています。

まだ、席に余裕がありますので、皆様の参加をお待ちしております。

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