「就業地別有効求人倍率」に見る人手不足の地域間格差
ここ数か月、従業員やパート・アルバイトの採用や定着化をテーマにした原稿依頼や講演の仕事が増えてきました。その関係で東北から沖縄までさまざまな地域に足を運んでいますが、ひと口に「人手不足」と言っても、その不足感に対する温度差は地域ごとに異なります。
その温度差を明確に表す数値が、今月から発表されることになった「就業地別有効求人倍率」 (2014年5月)です。
いままで発表されていた「有効求人倍率」は、企業の求人を本社所在地でまとめて集計するため、東京都や大阪府など本社が集まる都市部が実態より高くなる傾向があり、雇用情勢の実態を正確に反映していないと指摘されていました。そこで厚生労働省は、今月から企業のオフィスや店舗など実際に働く地域で集計した「就業地別有効求人倍率」を発表することにしたのです。
確かに、この数値を見ると東京の「就業地別有効求人倍率」は、地域別と比較して0.41ポイントも低くなります。また、逆に東日本大震災からの復興需要による求人増と若者の減少が重なり合っている福島県では、0.22ポイントも高くなり、都道府県別で最も高い倍率になっています。
福島県では外食やコンビニなどのアルバイト時給も上昇傾向にあり、南相馬市内の牛丼店「すき家」では深夜の時給が1,500円にもなっていると、日本経済新聞に掲載されていました。我が家(東京・文京区)の近所の「すき家」でさえ1,288円なのですから、1,500円とは驚きの時給です。
就業地別で最も高い福島県と最も低い沖縄県では、なんと2.4倍の開きがあります。また、富山県・福井県・岐阜県・愛知県・岡山県・香川県などでも、沖縄と比較して2倍以上の開きになっています。
これだけ地域別に有効求人倍率の開きがあると、全国に店舗展開しているチェーン企業ではそれぞれの地域の雇用情勢に合わせた対応が必要になり、「人手不足」問題は今後ますます重要な経営課題になりそうです。