人事評価の「不満」を減らす『DiSC』の活用
企業の人事・教育担当者と研修内容に関する打ち合わせをしていると、人事評価制度の整備と運用に関する相談を受けることが増えてきました。その内容の多くは、「評価制度を作り、定期面談も実施しているが、上司の一方的な評価に偏りがちで、評価制度や面談が部下の育成に結びついていない」というものです。
このような人事評価・面談上の課題は、私が相談を受けている企業だけではなく、多くの企業の人事担当者にとって悩みの種になっています。少し前になりますが、3月3日(火)の日本経済新聞には「人事評価に『不満』4割」というタイトルで、次のような記事が掲載されていました。
人事評価の仕組みについて聞いたところ、「不満」「どちらかというと不満」が37.8%と「満足」「どちらかというと満足」の19%を2倍近く上回った。一方で「どちらでもない」は43.3%だった。(中略)
不満を感じている理由(3つまで回答可)のトップが「評価基準が明確に示されていない」(41.0%)。半数以上の人が評価結果のフィードバックを評価者から受けているものの、納得いく説明がなされていないのが現状のようだ。
「評価者の好き嫌いで評価される」(38.7%)、「評価者が直属の上司しかおらず、評価が一面的」(24.9%)も理由にあげた人が多かった。75.0%の人が課長・部長クラスの直属の上司が評価を決めていて、上司との相性が評価を左右することに不公平感があるようだ。
(回答数は1054人、20~50代の会社員を対象。男女比はほぼ半々)
確かに、上司との相性で自分の評価が決まるのであれば、多くの部下が人事評価に対して不満を持つのは当然です。しかし、人が人を評価する以上、そこに個人の「好き・嫌い」「合う・合わない」などの感情が入ってしまうことは仕方がないことです。
そこで、企業は評価する立場になった管理職者に「ハロー効果」「中心化傾向」「寛大化傾向」「論理誤差」「対比誤差」「期末誤差」などの評価エラーに対する知識を与えたり、それらをできるだけなくすための対応策について研修を実施したりしますが、それだけでは不十分です。
なぜなら、自分と部下の行動特性の「違い」を『違い』として受けとめられないと、部下に対して客観的な評価ができないからです。
そこで、私がお薦めしているのが評価者にDiSC研修を受けてもらうことです。
上司が自分の行動特性の強弱度を理解し、部下との行動特性の『違い』も分かった上で人事評価・面談に臨むことができれば、日経のアンケートにあるような不満や不公平感を少なくすることができます。
その結果、上司と部下の双方にとって納得性の高い人事評価が可能になり、信頼関係の強い職場が生まれることになります。