「ビジョン」を持ったチーフ(主任)を育てよう!
5月31日に厚生労働省が発表した4月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月と比較して0.04ポイント上昇の1.34倍でした。この数値は24年5カ月ぶりの高水準で全都道府県で1倍を超えました。
【有効求人倍率=全国のハローワークで仕事を探す人ひとり当たり何件の求人があるかを示す数値】
私がコンビニ経営を任されていた24年前も、いまのように採用に大変苦労していたことを思い出しました。しかし、当時と異なるのは、「求人はあるけど、やりたい仕事ではない」と就職しない若者が増えていることです。
このような仕事に対する価値観の変化から、企業が求人を出しても条件が合わずに採用できない「雇用のミスマッチ」が続いています。そのため、小売業や飲食店チェーンなどでは出店計画が思うように進まず、企業業績にも影響を受けているチェーンが少なくありません。
そんな中、食品スーパーの売場担当者であるチーフ(主任)の研修をしていて、あることに気づきました。それは、売り場に対する「ビジョン」を持っているチーフがとても少ないということです。
「ビジョン」とは、将来のある時点でどのような発展を遂げていたいのか、自分が成長していたいのか、などの構想や未来像です。
しかし、研修時、チーフに「あなたは青果部門チーフとして、どのようなビジョン、つまり自分の青果売場(職場)をどのようにしたいと考えていますか?」と問いかけても、ほとんどのチーフが明確に答えることができません。
これでは、リーダーシップが取れないばかりか、チーフという「仕事そのもの」に魅力を感じることができない若者が増えないのも当然です。
今後は少しでも多くのチーフが「ビジョン」を持って仕事に取り組み、食品スーパーの仕事を「やりたい仕事」に変えるためにも、私が実施する研修のエクササイズでは「あなたのビジョンは何ですか?」というテーマを取り入れ、ビジョンについて考える機会を増やしていきたいと思います。