最低賃金アップ、すぐできる「生産性向上策」とは?
私が実施している管理職者向けのコーチング研修では「聞く」スキルの体験エクササイズとして、
①無表情・無反応な相手に話す
②相づちを打ちながら関心と共感を込めた表情で聞いてくれる相手に話す
という2つを行っています。
このエクササイズの所要時間は1分30秒ですが、②は参加者に知らせず10秒伸ばして1分40秒にしています。しかし終了後、参加者に「どちらの時間が長く感じましたか?」と質問をすると、ほぼ全員が①の方がとても長く感じたと答えます。
そこで、私は次のようなコメントをします。
私たちはストップウォッチ(機械)ではありません、人間です。そのため、時間経過の感じ方にも感情が伴います。つまり、「つらく・楽しくない時間」は長く感じ、「楽しい時間」は短く感じる傾向があります。
みなさんの店(売場)が「コミュニケーション環境の取れた」「仕事が楽しいと感じられる」職場であれば、パートナーさんは1日5時間の勤務時間を短く感じることができます。その結果、精神的疲労感は少なく、生産性が高まります。さらに、「明日もがんばろう」という気持ちが生まれるため、定着率も高まります。
しかし、逆であれば、5時間はとても長く感じられて精神的に疲労感が増すため、パートナーさんが本来持っている力(能力・情報・経験)を発揮してもらうことができず、生産性は低下します。また、短期間で退職する人も多くなることでしょう。
パートナーさんが「楽しい」「やりがいがある」と感じられる職場にすることができるかどうかは、みなさんのコミュニケーションの取り方次第です。
今年も最低賃金の改定時期を迎えました。
まだ確定前の答申ベースですが、全国平均で現在より25円高い823円という金額が報道されています。上げ幅は比較可能な2002年以降で最高となり、なんと昨年比で3.13%の上昇です。
安倍晋三政権は最低賃金1000円を目指す中期目標を掲げているため、今後も最低賃金は上昇することが考えられます。そのため、パートナーやアルバイトの時給アップは企業の利益圧迫につながり、ますます経営環境は厳しくなることが想定されます。
このような環境下、まず店長や売場責任者が取り組める「生産性向上策」は、パートナーさんが「楽しい」「やりがいがある」と感じられる職場環境作りです。
そのためにも、パートナーさんの意見や提案、さらには仕事に対する想いに耳だけではなく「相づち」や「表情」でも聞き、しっかりと受けとめていただきたいと思います。