コンビニの「新そば」に学ぶ、客単価アップ策
景気の先行き不透明感や将来への不安から、いま消費者は財布のひもを引き締め始めています。そのような消費者心理に対応するため、食品スーパーの品揃えも節約志向に合わせた低価格帯への移行が進んでいます。
一方、新たなニーズを掘り起こしたり価値ある商品を提供したりすることで、商品単価を上げ、売上を伸ばしているのがコンビニ業界です。
その一例が、いまコンビニの店頭で販売されている「新そば」です。
今日の私の昼食は、セブンイレブンの『北海道産玄蕎麦使用 石臼挽き蕎麦粉の新そば』(430円)でした。いつもであれば、買い置きの乾麺を茹でて食べるのですが、店頭で「新そば」のPOPに惹かれつい買ってしまいました。
この蕎麦は、「今年収穫された蕎麦を使用した、期間限定の「新そば」です。蕎麦は粘りの強いななこいもを練り込み、風味よく仕上げました。つゆはかつお節、さば節、昆布を使い、だしの風味を引き出した甘めの味わい」だそうで、確かに蕎麦の香りが感じられ、コンビニの蕎麦とは思えないおいしさでした。
また他のコンビニでも次のようにさまざまな工夫を凝らした「新そば」で季節性を演出しています。
■ローソン
『新そばレンジだし香るかき揚げそば』(399円)
~3種類の太さの麺で異なる食感を楽しめる~
■ファミリーマート
『北海道産そば粉使用 あい鴨つけそば(新そば)』(598円)
~かつお節など3種類でダシを取ったつけ汁を温めて食べる~
■ミニストップ
『北海道産玄蕎麦使用ざるそば』(360円)
~太さが異なる「乱切り」の麺を採用、つゆと絡みやすく~
コンビニのそばの売上ピークは冷たい麺がよく売れる夏場で、その後は急激に売上が減ってしまいます。しかし、11月頃になるとそば専門店では新そばの提供が始まり、新米やボージョレヌーボーと同様の感覚で「今年の新そばを味わってみよう」と訪れるシニア層でにぎわいます。
そこで、コンビニ業界でも新そばをアピールして、もう一度そばの需要喚起を図ろうとしているのです。
また、新そばはコンビニが増やしたいと考えている客層との相性にも合致しています。なぜなら、節約志向が強まるなかでも、質が良ければ多少高くても購入してくれる「心を動かされるコト消費」を好むのがシニア層だからです。