小売業の生産性向上には「IT化」が欠かせない!
スーパーやコンビニなど、小売業界は人手不足で困っている店が多く、チェーン本部ではさまざまな対応策に取り組んでいます。そのような中、商品会計や袋詰めを自動化する無人レジの実用化にローソンとパナソニックが取り組んでいるという記事が、「レジ係はロボ」 という見出しで日経の朝刊に掲載されていました。
このような取り組みは以前にも行われており、2007年2月25日の当ブログでは、 「ついにコンビニ・スーパーにも『ICタグ』導入?」というタイトルで、ファミリーマートの取り組み事例を紹介しています。
コンビニで最も多い仕事はレジ会計業務です。今回、ローソンとパナソニックが取り組んでいる袋詰めまでするレジロボが開発されれば、一人当たりの会計時間は10~30秒程度は短縮できるでしょう。
仮に、一人当たり平均20秒短縮できたとして、コンビニの平均客数を1,000人とすると、一日当たり20,000秒=約333分間の作業改善になります。その短縮できた時間分で他の作業をすることができるようになるため、スタッフの人時(シフト入りする人員数)が少なくても済むようになります。
また、約333分間は約5.6時間なので、時給1,000円として一日当たり5,600円(年間では2,044,000円)の人件費が削減できる計算になります。これだけ改善できれば、時給を大幅にアップして従業員満足度を高めると同時に、スタッフへの応募者を増やすことにもつながります。
上記の記事と同日の日経に、「サービス生産性、日本は米の半分 IT化導入遅れ格差拡大」という見出しで、日本の小売業の生産性がいかに低いかという記事が掲載されていました。
日本生産性本部の調査によると、2010~12年の生産性の平均を日米で比較したところ、サービス業では卸業・小売業が米国の38.4%、飲食・宿泊業が34%と低水準になっており、その主因はIT(情報技術)の遅れだとされています。
今後、日本はますます人手不足になるのは確実です。ローソンとパナソニックには一日も早くレジロボを実現させてほしいものです。
しかし、最も大きな課題はICタグの価格です。この問題は2社だけでは解決できません。ぜひスーパーやコンビニ各社が一緒になって取り組み、IT化を推進し、小売業の生産性向上を目指してほしいと思います。